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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第11話

2012-02-04 15:08:04 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

付き合いが始まってから、4ヶ月が過ぎたが、

哲也は、試験や何やらで忙しくなり、

アクセサリーのアルバイトには週1回土曜日しか行けなくなってしまった。


そして、ある金曜日の夜だった、


「哲也、良く当る占いがあるらしいよ。行ってみない?哲也ってば」

香織は電話をしてきた。


断る必要もないし、しばらく逢っていなかった、

香織が指定された場所で合う事にした。

待ち合わせは、西新宿の改札口、午後6時。

いつも通りの青い上着を着て、

香織もいつもどおりの白いYシャツ姿、お互いジーンズにスニーカー、

全てがいつもどおり、変ったのは僕かもしれない。

香織の過去を知りながら、距離を置いて付き合った。

改札口で少し話し、午後7時、占い師のところへと向かった。


香織は哲也に言った。

「相性とか色々みてもらおうね」


香織は弾んでいたが、哲也は、当るわけないよな占いなんて、

当るんだったら、世界中の人達がいい生活してるさと、

心の中で思っていた。

でも、それが・・・


香織は、シンプルで、まじめ、素直。

無邪気な子供のような性格で、高い理想を持つ。

しかし常に未熟であるがために夢で終わる。


哲也は、感性があり、自制心を持ち合わせている。

誠実でたいていの事はやり遂げるとの事だった。

二人で会っているときの事を思い出した。


「当ってるかも」

哲也は、鳥肌が立った。


香織は、哲也の前では、子供のようにはしゃぎ、面倒な事を嫌がってる。

哲也は、絵を描き、何も考えず、たいていの事はやり遂げてきた。

相性は良いのだが、微妙にすれ違う所があって、結ばれる事はないらしい。

但し、同じ思いを共有できるのなら、結ばれる運命かもしれない。


「哲也、ちょっとだけがっかりしたね」

香織は小さな声で言った。


そのあとは、哲也と香織は新宿の街、眠らない街を歩いた。

眩しいくらいのネオンの灯かり。

香織は、歩きながら哲也の手を握ってきた。


「どうしたの?」

哲也は、香織に聞いた。


「どこかに行っちゃいそうな気がしたから」





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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第10話

2012-02-04 11:20:04 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ
「僕はただ、あの店にいただけ、ただアルバイトしてるだけだよ」


哲也は香織の人生の話しを聞きながら、

優しい言葉すらかけてあげることができなかった。

でも、そうすることが、香織にとっては良かったようだった。

両親の顔を知らず、施設で育ったといえば、

誰もが同情し、慰めの言葉しかなかったからだ。


「もういい加減、同情なんていらないのに、どうして私は生きてるのよ」

香織の心の響きを感じ取っていたのかもしれない。


この日を境に時々、二人で逢うようになっていった。


「最近付き合い悪いよね~なんで?」


専門学校の仲間からよく言われた。


香織の存在は仲間には話せなかった。

話せば、同情と慰めの言葉しかおそらくでないだろうと思ったからだ。

二人で逢うのが楽しくなった。

共に喜び、悲しみ、泣いた事もある。

香織の住まいは、身元保証人の離れのアパートであった。

そのアパートを時々、学校帰りに寄ってもいないときもあった。

身元保証人は不動産屋と小さなスナックを経営していた。

香織が、アパートにいないときは、

そのスナックのカウンターの奥のすみで、酒に酔い泣いていた。

哲也は、その横に座り、

ただ、黙って座り、香織が泣き止むのを待つだけだった。

何回かスナックに立ち寄ると、経営するママと会話がはずんだ。

でも、香織の話をするときは、静かなものだった。

香織へのことが、哲也の香織への思いが、変ってきたような気がした。

気が強く、わがままは表面で、

心の中では、爆発寸前の苦しみを叫んでいたのだろうと思えた。

香織の人生を考えるようになると、哲也も変わっていったのかもしれない。

恋、愛というものではなく、ただの知人でもなく、

表現が言葉にはならないものだと思う。

香織は真っ白なウェディングドレスを着た写真を大事に持っていた。


それは、結婚式場の仕事で、モデルをしたものだった。

香織は、昼間は明るく笑顔をみせる、

夜になるとその反対に、湧き出る感情に苦しめられている。


「哲也、あそぼうよ」

「哲也、哲也、哲也、哲也、哲也、・・・・・」

香織の口癖だった。


香織の気持ちがわかっていたのにもかかわらず、

いつしか哲也は、少し怖くなり、わずらわしいことが嫌になってしまう。

哲也は香織と、しばらくは静かに距離を置いて逢う事にした。

哲也は、自分のためにも、香織のためにもと思っていた。

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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第9話

2012-02-04 10:35:21 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

「ねえ、哲也、できたんでしょ、オーダー料金3000円ね」

「どうしてわかったの?」

「哲也、哲也はいつも青なんだね」

「そうみたいだよ、どうやら青が好きみたい」


香織の姿をみると、いつもと同じ、

白のYシャツとジーンズ、スニーカー、なのにいつもと違う感じがした。


「待っててくれたんでしょ、眠そうだし、お酒の匂いしないし」


香織はいつも、哲也のことみててくれたんだ。


「哲也、今日は帰れ、学校の課題もあるんだろ、

  一睡もしてないと良いものも描けないぞ、あとは大丈夫だから」


店長と他の店員さんに言われ、店を離れた。

違ったところは、香織が来ても店員さんも笑顔で挨拶を交わしていて、

どうやら「クレーマー」のニックネームはなくなっていたようだ。


「哲也、遊ぼうよ」


二人で歩いていく、

新宿の街を歩きながら前へ前へと歩き日比谷公園にたどりついた。


「これでいいのかなー」

哲也は香織に2連リングを渡したのだが、つまらない顔をしながら返された。


「指輪、指にはめてくれないの?」

哲也に言われても、困ったしぐさをする哲也のことを見て香織は大笑いした。


「ねえ、私達ってどんな関係なんだろうね」

哲也は、からかってるのか?と思った。

しょうがなく、出された指に指輪をはめた。

よく考えると、なれなれしくなってきたなって思うようになってきた。

香織と会うときは、彼女のペースで、その日を過ごした。

二人でベンチに座り、お互いのことを話した。

香織は両親には育てられず、施設で育ち、

両親の愛情なんて知らない、何も知りたくもない、

周り全ての人間が面白くないという。


「幸せって言葉、大嫌い!」

哲也の小さい頃は両親と弟と暮らしてきたが、

考えてみると「愛情?」感じたことなかった。


あまりにも自由すぎて、この自由が僕にとって両親の愛情だったのかな。


「哲也と会うと気分が変るんだよね、いつも変らず、会いたいときに、
 
  そこにはいつも哲也がいるような、そんな気がするの、おかしい?」




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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第8話

2012-02-04 09:30:53 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

傘で顔は見えなかったが、香織の姿を映し出した時、

何故だろうか、心地よく包まれているような気がした。


「できた、描けた、よっしゃー」


最終授業をボイコットして、アルバイトの店へと向かった。

店長に頼み込んで、店裏の工具などを借りた。

使った事ない機具でも、使ってる姿を見てたから、大体わかる。

これだけは、哲也一人で作りたかった。

香織は一つのチャンスをくれたんだと思った。

ワクワクしながら、失敗しながら、指にけがをしながら、


「失敗は成功の元だ」


と小言をいいながら、一人、アクセサリー作りに没頭した。

今日は金曜日、明日は土曜日、香織が来る日だ。

きっと必ず来ると思いながら、夜を明かした。

何度失敗した事か、店長に叱られるかと思ったが、

店長は特に何も言わず、だいぶ費やしたなって言われただけだった。


「眠い、眠い、眠い」


朝、午前:9時、店員さん達によって店が開かれた。

哲也がデザインしたものは、金銀メッキのユリの花をかたどった、

制作日とイニシャルを刻んだ2連リング(from-T)であった。


哲也は小さい時から、

ユリの花を観て香りを嗅いでいたせいか、とても好きな花だった。

ぼんやりしていると、

陽の灯を背にした、香織がこっちへ向かってくる気がしてきた。

店の入り口に目を向けると、香織の姿があった。

香織は、他の店員さんにも挨拶を交わしながら、

哲也のいる方を向いて真っすぐに歩いて来る。

香織は、哲也の正面に立ち、


「哲也、できたんでしょ、それとも飲みすぎたの?」

「え? なんで?」

「顔色悪いし、眠そうだし、瞼重そうだし」

「ん・・・」



哲也は、こんな綺麗な人と出逢えていたんだと、

香織の微笑みは天使のように、輝きさえ覚えた。




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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第7話

2012-02-03 18:06:29 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

「ねえ、名前なんて言うの?年いくつ?」

「私の名前は香織、年は秘密」

「僕は、哲也、19才だけど」

「それじゃぁ、私の一つ下だね」と微笑んだ。

「あっ年、わかっちゃったじゃん」


彼女は、子供みたいに、くすくす笑った。


「ところで、本当に僕のデザインでいいの、補償は出来ないけど」

哲也は確認をした。


「哲也のだったらいいよ、

  気に入ったのできそうな気がするからさ手抜きしなそうだし」


正直この時「哲也」と、再会したばかりなのに、

すぐに、名前を呼び捨てに言われた事が嫌な気がした。


なれなれしい人なんだなって思っていた。


しかし、たいしたもんだバイトに顧客がついた。


哲也は、学校の授業中でも、家にいても、

バイトしていても、香織へのデザインしか頭になかった。

彼女をイメージしながら数日を過ごした。

何も浮かばない、どうでもいいから何十枚もデザインを描いた。

哲也は、香織の事は何にも知らなかった。


「香織って、ホステス?モデルだけ?何も知らないよな」


哲也は香織の事が、もっと知りたくなっていた。

ある雨の日、授業中に教室から外を眺めると、

そこには、白い傘をさした女性の姿があった。

哲也は、白い傘と香織の白いYシャツを重ね合わせていた。




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