付き合いが始まってから、4ヶ月が過ぎたが、
哲也は、試験や何やらで忙しくなり、
アクセサリーのアルバイトには週1回土曜日しか行けなくなってしまった。
そして、ある金曜日の夜だった、
「哲也、良く当る占いがあるらしいよ。行ってみない?哲也ってば」
香織は電話をしてきた。
断る必要もないし、しばらく逢っていなかった、
香織が指定された場所で合う事にした。
待ち合わせは、西新宿の改札口、午後6時。
いつも通りの青い上着を着て、
香織もいつもどおりの白いYシャツ姿、お互いジーンズにスニーカー、
全てがいつもどおり、変ったのは僕かもしれない。
香織の過去を知りながら、距離を置いて付き合った。
改札口で少し話し、午後7時、占い師のところへと向かった。
香織は哲也に言った。
「相性とか色々みてもらおうね」
香織は弾んでいたが、哲也は、当るわけないよな占いなんて、
当るんだったら、世界中の人達がいい生活してるさと、
心の中で思っていた。
でも、それが・・・
香織は、シンプルで、まじめ、素直。
無邪気な子供のような性格で、高い理想を持つ。
しかし常に未熟であるがために夢で終わる。
哲也は、感性があり、自制心を持ち合わせている。
誠実でたいていの事はやり遂げるとの事だった。
二人で会っているときの事を思い出した。
「当ってるかも」
哲也は、鳥肌が立った。
香織は、哲也の前では、子供のようにはしゃぎ、面倒な事を嫌がってる。
哲也は、絵を描き、何も考えず、たいていの事はやり遂げてきた。
相性は良いのだが、微妙にすれ違う所があって、結ばれる事はないらしい。
但し、同じ思いを共有できるのなら、結ばれる運命かもしれない。
「哲也、ちょっとだけがっかりしたね」
香織は小さな声で言った。
そのあとは、哲也と香織は新宿の街、眠らない街を歩いた。
眩しいくらいのネオンの灯かり。
香織は、歩きながら哲也の手を握ってきた。
「どうしたの?」
哲也は、香織に聞いた。
「どこかに行っちゃいそうな気がしたから」