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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第6話

2012-02-03 11:17:47 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

「てっちゃんは、青が好きなの?」


何度か、店で会っているうちに、店員さんに言われた事を思い出した。

哲也は、店員さんに言われたように声をかけてみた。


「いつも白のYシャツだけど、白が好きなの?」


哲也は、青色が好きな事を話したあとに、聞いてみた。

いつも白のYシャツにジーンズ、スニーカー姿だった。


「そうかもね、ほとんど白いYシャツしか持ってないかも」


彼女は哲也に返答してきた。


何でも、仕事でいつも派手な服を着ているから、

プライベートでは真っ白な部屋で、白い服を着てると言っていた。

まだ、店員とお客であったので、お互いのことを深く知る必要もなかった。

派手な服を着てるなら、ホステスかなんかだろうと思っていた。

顔を見合わせることは、ほとんどなくて、声ばかりであった。

ふと顔を見合わせると、綺麗な人で、笑顔で瞳が輝いていた。


「ねえ、私だけの物、作ってくれない?」

彼女は哲也に言った。


「いいですけど、僕でいいですか?」

「うん、君のデザインでいいよ」


頬笑みを浮かべながら、彼女は哲也に言った。



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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第5話

2012-02-03 09:46:26 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

ある日、店の中がいつもよりざわめいて騒がしくなった。

この店でオーダーして作ったものに気に入らなくなって、

クレームをつけに来た一人の女性がいた。


「まただよ、これで3回目じゃない、顔合わせない方がいいよ」


店員さんが哲也に言った。


でも、哲也が作ったものではなかったけど、その女性と目が合ってしまった。

本来なら店長を呼ぶのだが、店長も忙しいし、

店員さんも横目で引きつったような顔してたし、

哲也は、そのクレーム処理をすることになった。


「どこが気に入らないんですか」

哲也は、彼女に聞くと、あれこれと言われた。


「まあ、いいか」

哲也は削ったりするのはした事はないが、

希望を聞きながら形を作り、望通りの刻みをしてあげた。


「そうやって作るんだね」

彼女は、不思議そうな感じの声だった。

その女性は、目の前で作業する哲也には、きつい言葉は特になく、

哲也も平気な顔していたと思う。

その女性と会話も弾み、制作にも力が入った。

その女性は、オーダーでなければアクセサリーは買わない人で、

この日をさかいに週に2回、月曜日と土曜日に来るようになった。

そして、哲也が作業している姿をみながら、

くすくす笑ったり、珍しげな顔したりしていた。

他の店員さんから言うと、

女性のニックネームは「クレーマー」と呼ばれていていた。

まあ、ブラックリストの一人という事であったのだろう。

その女性が来ると、態度も変わり、近くにいれば離れたりと、

よほど嫌っていたんだろう。




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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第4話

2012-02-02 22:03:04 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

専門学校では、哲也は主にキャラクターデザインがメインだった。

リングとかネックレス、ピアスなどデザインした事はなかった。

この店での哲也の仕事は、ルーターを使い、

ネームや生年月日などの刻みと磨きであった。

時々、お客さんがいない時は、

店の裏で最初から形作りをしていたのをみて学んだ。

店にいると、買ってくれたアクセサリーやオーダーで、

作られたものを綺麗にしてあげたりした。

ルーターで記念日やイニシャルなどを刻んであげたりすると、

お客さんは喜んでくれる。

そのお客さんの笑顔を見るのが、哲也は楽しかった。

新作ができると店員さんが紹介してる。

お客さんと楽しそうに会話が弾んでいて、

それだけで哲也も嬉しくなっていた。

最初から作ってみたいなって思うようになり、

心に隙間が出来て満たされなくなっていく。

エアーブラシで細かい絵をアクセサリーに、

店長は描いたりしていた。


「エアーブラシもやってみたいな」


哲也はアルバイトだし、


「やらせてはもらえないかな?」


と思いながらも、チャンスを待っていた。


「けっこうお客さん多くなってきたね、てっちゃんが来てからだよね」


他の店員さんは言ってたけど、

店員数が増えれば待たせずに店はまわるだろうって思ってた。


それから「てっちゃんは青色が好きなの?」って。


「そういえば、青のTシャツやYシャツばっかり着てるよな」


哲也は、店員に言われるまで気づかなかった。

そして、哲也は香織の容姿を気にしていた。

香織は色白の肌に、会うたび、白いYシャツだったと、

哲也の記憶に、香織の姿が残されていた。




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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第3話

2012-02-02 15:57:36 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ
この頃の哲也は「アーティスト」でも目指そうかと思ってもいたが、

思ったよりは、力強く目指してはいなかった。

目標を持つ事で達成できる人もいれば、

ただ努力もせずに達成できる人もいる。

哲也は、ホームレス体験や多くのアルバイトでの出会いによって、

今のままが自分らしく思えていた。

親元を離れ、東京という都会の中で、

たった一人で何かを探しはじめていたのだろう。

それは何かと言われても、この時の哲也には解らなかった。

ただ言えることは、

学校で学ぶだけでは満たされる事はなかったという事だ。

学校の周囲には、多くの出店などがあり、

道端でアクセサリーなど手芸作品が並んでいた。

哲也は、創作というものに興味深くなっていく。


松下通りには、ほぼ毎日、店で売られているものを見てまわった。

道端では、外人もいた。

片言の日本語で誘われる。

声を掛けられ、誘われることが、哲也にとって嬉しく感じる時だった。


「どうしたら、こんなの作れるんだろう、どんな技術を持ってるんだろう」


哲也は、店舗めぐりによって、

アルバイトの募集広告が店先に張られていた事に気づいた。

その店に入り、求人について聞いてみた。


「デザインを学んでいるならいいんじゃないかな」


店長さんから言われ、アクセサリーの店でアルバイトをするようになった。

すぐに哲也は、他の店員さんとも仲良くなった。

独りぼっちと思っていた哲也だが、

周囲の目から、孤独には見られることはなく、

哲也の絶えない笑顔が、周囲との関わりを容易にしていた。

そして、しばらくすると、

ニックネーム「てっちゃん」と、呼ばれるようになった。

その店では、売り物のオリジナルアクセサリーはあるものの、

オーダーを受けてから作るものもあって、

感性と知性、そして、センスが要求された。



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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第2話

2012-02-02 11:22:17 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ
先の事は解らない、今自分はなすべきかを考えていた。

この時に感じて、求めるものに気の向くまま正直に生きようとしていた。

専攻は、デザイン、イラスト、入学した理由は、

これまでの人生の中で、ただ絵画だけが哲也を励ました。

哲也の描く、絵画は独特の表現で、

小学校、中学校では、全ての絵画は、金賞、銀賞しかなかった。

教師達は、哲也の絵画を、授業で使われ、そして保管されている。

それだけの絵画を描く哲也には、

癒され安らぐものは、絵画だけが信じられる存在であった。

仲間が多くいたとしても、孤独感を感じせずにはいられなかった。

絵画やデザインは感性や知性、個性を学ばせてくれる。

そして、同じ感性を持った人間達。

その感性を求める人間たちが集まり、友達が出来た。

デザイン学校では、さまざまな表現の絵画をみせてくれる。

生徒皆、同じ絵を描くわけではない、様々な表現で皆、絵を描く。

平面な絵だけではない、立体的なもの、陶芸、建造物、

アクセサリー、ファッション等、様々にデザインをする。

あふれんばかりの鼓動の高まり、活発で燃え上がるような日々を、

いつも、ドキドキとワクワクしながら毎日を過ごしていた。

東京に行けば、何かが見つかるような気がしていた。

ここへ来るまでは、緑の多くの自然があり、空気も澄んでいたのに、

今では夜になるとネオンでカラフルになる。

そして、太陽の日がさすと灰色のアスファルトとコンクリートの街になる。

ああ、雨が降ってきた、雨も灰色だ、

雨宿りしながら思う事と言えば、あの場所で再会するとは思わなかった。

哲也は、まさか再会するとは思いもよらなかった。



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