◆ ショッピングモール内 2階 ◆
茜:(あああああっ、ここどこやろ)
(また葵と はぐれた)
(まだ海渡ってないから日本にいるんやろうけど)
(どうしよう、早く戻らないと葵に怒られるぅぅぅ)
P:茜さん?華緒洲茜さんですよね?
茜:(なんや、このおじさん)
(なんか胡散臭い人やな)
(何でうちの名前知ってるんやろう)
(こういう輩は事件起こすかもしれないから注意しとかんと)
うちのことか? 何でうちの名前知っとるん?
P:日曜日の午後にショッピングモールで、そんな服着て買い物している人は茜さんしかいませんよ。
ハロウィンもとっくに終わってるのに。
茜:(めちゃ失礼なやつやな)
(まるでコスプレしてるみたいな言われかたして)
これはうちのいつもの服や!デフォルトのコスチュームや!
要するにデフォコス。コスプレなんかやないで!
P:ああ、大変失礼しました。つい口が滑ってしまって。
茜:(素直に謝ってくるんやな)
(悪人づらしとるけど、悪い人ではなさそうやな)
P:実は茜さんにご相談したいことがあります。
忙しいところ悪いんですが、ちょっとお時間いただけませんか?少しお話ししたいんですが・・・
もしお時間をいただけるようでしたら、ここではなんですから場所を変えてお話しさせていただきたいんですが。
茜:うち時間ないねん。
今、葵と灯ちゃんと買い物してるで・・・
(いやいや待てよ、もしかしたら芸能事務所のスカウトちゃうか?)
(ようやくうちの大人の魅力に気づいたんかこの人)
(そうなら見る目がある人かもしれんな)
(話ぐらいなら聞いてやってもいいか)
少しの時間やったらいいで。
P:そうですか。ありがとうございます。
手短にすませますので。
ところで茜さんはケーキは好きですか?
このモールの前に最近亀田珈琲とかいうお店ができて、若い女性に人気らしいんですよ。
特にケーキバイキングが流行っているらしいです。
私がおごりますので、いかがですか?
茜:分かったわ。それじゃちょっと待ててや。
葵に一言連絡しとかんと。
また、迷子になってるって心配するから。
P:それじゃ、私、先に行ってますね。
混んでると思いますので、席、取っておきますから。
茜:あっ!ちょっと待ってくれ。
ここからその亀田珈琲はどうやって行くんや?
P:えっ!そこの窓から見えますよね。
このエスカレーターで一階まで降りて左側が正面入口です。
そこから出れば正面にお店が見えますから。
茜:ああ、そうやった。
それじゃ、また後で。
それじゃ、葵に連絡入れとかんと。
後でうるさいからな!
<店内アナウンス>
「お客様の、お呼びだしを申し上げます」
「華緒洲家から、お越しの、華緒洲、茜さま」
「三姉妹の、長女、茜さま」
「お連れ様がお待ちです」
「至急、1階、インフォメーションカウンターまで、お越しください」
茜:なんか子供が迷子になってるみたいやな!
んっ! あっ、うちのことや!
葵から着信が何回も来てたみたいや!