色は、よく見て欲しいと言われた。近くで見た色と遠くで見た色は同じ色だとは思わないぐらい、よく見ると複雑に見えた。色はその色に染めるけど、染める素材を変える事は絶対にしない生き物だった。色は時間と共に剥がれる事も考えてる。単純に色は色を変えるだけの存在だと思ってたけど、そうじゃない
恋なんてしないと思っていたけど、恋はするものでは無く恋は染まる物なんだ。色の世界の言葉だけど、大した言葉じゃないと思ってたら、本当に恋に染まった薔薇を見たんだ。それもその人の色に染まらず、その人の気持ちに無い色に染まって、恋を表現していた。色の世界の恋は、本当の恋のような気がした
ペンキの世界の個性は秘密を持つ事だと聞いたよ。生まれた時から決められた色でしか生きられないペンキの世界は、秘密を持って、それを自分の色で隠す事が、あたり前の事で誰でもやってる事だと教えてくれたんだ。じゃあその秘密はいつ秘密から出してあげるのと聞いたら、それは気づかれた時だってさ。
頑張るとその勢いで、その先を超えてまで色を塗ってしまったペンキは、少し落ち着いて少し戻ってるようです。みんな同じ様な戻り方で楽しく会話を始めていた。先はいつでも塗れそうな気がしてきたから、塗った所を戻って遊ぼうよ。また先が気になったら、塗ればいいと思うんだ。ちょっと戻る競争する。
まあ、難しい事は言わないけど、いつの間にか、壁が合って、いつの間にか、壁を縦に曲がって、いつの間にか、壁がただの縦の存在で収まっていた。歯の詰め物が取れた後の空洞は、気になって舌の先で、どんな空洞だろうと想像しながら、早くこの空洞を埋めたい気持ちが高まる。歯医者の予約日までの壁。