棺に蓋をする前に、遺族が、本人縁の物を中に入れる。あの世まで一緒に持っていくようにするのだろう。親友が写経してくれたものや、写真やら、寄せ書きやら--。
そこで思った。いずれ自分の番がくる。すると、棺の中に何を入れて欲しいかは、生前に言っておかねばならない。私も、「寄せ書き」類は捨てずに残しておかねばならない。大学のクラブの友人たちや、生徒が寄せ書きをしてくれている。写真も希望する。愛用の品というと、パソコンだろうが、これは無理だ。山でお供した登山靴やピッケルはあるが、これも嵩張るから無理かも知れない。
骨だけになって出てきたものに立会ったが、針金のようなものと、ボルトが数本あった。高熱にも耐えたものだが、火葬場の職員によると、兄が埋め込んでいたペースメーカーとのことだ。すると、ピッケルも無理だ。
結論として、寄せ書きと写真くらいかも。卒業写真というのもあるが、嘗ての生徒たちは私より若いのだから、一緒に連れていくわけにはいかない。
さて、他に何があるか----。いずれにしても、棺に入れるものを考えておく必要がある。勿論、祭壇に飾る遺影も指定しておかねばならないだろう。