本日も、特記事項なく論文紹介です。
CT and MRI Imagin Findings in Adults with Cerebellar Medulloblastoma:
Comparison with Findings in Children
Pierre M. Bourgouin et al.
AJR:159;609-612,1992
○目的
・成人では稀な腫瘍である、髄芽腫の画像所見について、小児でみられるCT,MRI所見との対比を行う
○Materials and Methods
・症例:28例(男性15例、女性13例)病理学的に髄芽腫と診断されている症例
・年齢:18~47歳(平均28歳)
・腫瘍:小脳虫部;14例(Desmoplasiaは3例21%)
小脳半球;14例(Desmoplasiaは5例36%)
・撮像:造影CT;28例
単純CT;13例
単純MRI(T1WI, PDWI, T2WI軸位断);8例
・評価項目
灰白質と腫瘍との吸収値の比較
造影前後の吸収値
灰白質と腫瘍との信号強度の比較
腫瘍辺縁の性状
腫瘍サイズ
嚢胞、壊死、石灰化、浮腫、水頭症の有無
○Results
●CT所見
・単純&造影CT:すべての症例で、正常灰白質より高吸収
・造影効果:軽度~中等度の増強効果
・辺縁性状:境界明瞭;13例・・虫部発生の大部分(64%)が境界明瞭
不明瞭 ;15例・・小脳半球発生の71%が境界不明瞭
・サイズ:平均4.6cm±1.2cmSD
・嚢胞、壊死:23/28例(82%)
・石灰化:2例(7%)
・周辺の浮腫:21/28例(75%)
・水頭症:26/28例(93%)
●MRI所見
・T1WI:正常灰白質と比較して、等~低信号
・T2WI:さまざまな信号強度(全体が低~等信号もあり)
*4例では、索状のsignal voidを認めた(腫瘍内血管)*
・全例で周囲に浮腫あり
●小児の画像所見との比較
・部位の違い:成人では、小脳半球発生の比率が高い
・増強効果の違い:小児ほど強くない場合が多い
・性状の違い:境界不明瞭、内部不均一な腫瘤の場合がある
○Discussion
●成人で、より小脳半球に発生する頻度が高い理由の考察
→正中より小脳半球の顆粒層に遊走する原始的あるいは多分化能を有する
細胞由来であるため(?)
●CTにて高吸収を呈する理由の考察
→血管間質内に、腫瘍細胞が密集しているため
●成人で、より増強効果が弱い理由の考察
→成人では、desmoplastic changeの頻度が高いため
●RubinsteinとNorthfieldらによると、髄芽腫は以下のスペクトラムを有する疾患と考えられる
・小児で見られる正中部の典型的な髄芽腫
・transitional forms
・成人で見られる偏在性の、desmoplastic medulloblastoma
●成人で発見される髄芽腫は様々な画像所見を呈する
→非特異的な所見であっても、後頭蓋窩腫瘍の鑑別に髄芽腫を加えるべきである
以上、Desmoplastic Medulloblastomaについて調べていて見つけた論文でした。
今見直してみると、MRIを撮像した症例では全例周囲に浮腫ありと…どのような腫瘍が浮腫を伴わないのかが興味あったのですが。また、悩みが増えた
ま、結構面白い内容だったので、興味のある方は是非みてください。
CT and MRI Imagin Findings in Adults with Cerebellar Medulloblastoma:
Comparison with Findings in Children
Pierre M. Bourgouin et al.
AJR:159;609-612,1992
○目的
・成人では稀な腫瘍である、髄芽腫の画像所見について、小児でみられるCT,MRI所見との対比を行う
○Materials and Methods
・症例:28例(男性15例、女性13例)病理学的に髄芽腫と診断されている症例
・年齢:18~47歳(平均28歳)
・腫瘍:小脳虫部;14例(Desmoplasiaは3例21%)
小脳半球;14例(Desmoplasiaは5例36%)
・撮像:造影CT;28例
単純CT;13例
単純MRI(T1WI, PDWI, T2WI軸位断);8例
・評価項目
灰白質と腫瘍との吸収値の比較
造影前後の吸収値
灰白質と腫瘍との信号強度の比較
腫瘍辺縁の性状
腫瘍サイズ
嚢胞、壊死、石灰化、浮腫、水頭症の有無
○Results
●CT所見
・単純&造影CT:すべての症例で、正常灰白質より高吸収
・造影効果:軽度~中等度の増強効果
・辺縁性状:境界明瞭;13例・・虫部発生の大部分(64%)が境界明瞭
不明瞭 ;15例・・小脳半球発生の71%が境界不明瞭
・サイズ:平均4.6cm±1.2cmSD
・嚢胞、壊死:23/28例(82%)
・石灰化:2例(7%)
・周辺の浮腫:21/28例(75%)
・水頭症:26/28例(93%)
●MRI所見
・T1WI:正常灰白質と比較して、等~低信号
・T2WI:さまざまな信号強度(全体が低~等信号もあり)
*4例では、索状のsignal voidを認めた(腫瘍内血管)*
・全例で周囲に浮腫あり
●小児の画像所見との比較
・部位の違い:成人では、小脳半球発生の比率が高い
・増強効果の違い:小児ほど強くない場合が多い
・性状の違い:境界不明瞭、内部不均一な腫瘤の場合がある
○Discussion
●成人で、より小脳半球に発生する頻度が高い理由の考察
→正中より小脳半球の顆粒層に遊走する原始的あるいは多分化能を有する
細胞由来であるため(?)
●CTにて高吸収を呈する理由の考察
→血管間質内に、腫瘍細胞が密集しているため
●成人で、より増強効果が弱い理由の考察
→成人では、desmoplastic changeの頻度が高いため
●RubinsteinとNorthfieldらによると、髄芽腫は以下のスペクトラムを有する疾患と考えられる
・小児で見られる正中部の典型的な髄芽腫
・transitional forms
・成人で見られる偏在性の、desmoplastic medulloblastoma
●成人で発見される髄芽腫は様々な画像所見を呈する
→非特異的な所見であっても、後頭蓋窩腫瘍の鑑別に髄芽腫を加えるべきである
以上、Desmoplastic Medulloblastomaについて調べていて見つけた論文でした。
今見直してみると、MRIを撮像した症例では全例周囲に浮腫ありと…どのような腫瘍が浮腫を伴わないのかが興味あったのですが。また、悩みが増えた
ま、結構面白い内容だったので、興味のある方は是非みてください。