夏休み期間が明けて、久しぶりの関連病院勉強会がありました。
今回は、胸部の症例が1例呈示されました。久々の大学当直中のため、簡潔にレビューします。
症例は、中年女性。特に既往歴なく、この2週間ほど続く呼吸困難感、軽度の咳嗽・喀痰を主訴に来院。全身状態良好で、発熱なし。聴診上、明らかなcrackleなし。
胸部X線写真:骨・軟部、心縦隔影に著変なし。肺尖にごく軽度の胸膜肥厚を認める他、ほぼ正常の肺野所見。
胸部単純CT所見:両肺びまん性、全層に広がるすりガラス影。一部で小葉間隔壁で境界される、汎小葉性のパターンを取り、癒合傾向が見られる。小葉中心性を疑わせるような陰影ははっきりしない。右下葉中層などでは、ややすりガラス影の濃度が上昇し、網状の浸潤影を呈する。粒状影や、気管支血管束の肥厚、小葉間隔壁の肥厚は有意とは言えない程度。胸水は見られない。病的リンパ節腫大なし。
検査所見:WBC上昇あり LDH上昇あり AST/ALT上昇なし
病歴を聴取しなおすと、木造家屋に住んでいて、最近中古車を購入。クーラーをつけると咳が出る。との追加情報あり。
ここまでで、感染症であれば非定型肺炎、間質性肺炎とは異なる所見・経過だし…。過敏性肺臓炎などは第一に鑑別に挙がるが、なんとなく画像が異なる印象…。薬剤性等も鑑別には挙がるなぁ…
と、いったところ。新人のO石君は、なぜかニューモシスティスを一番に挙げていました。
解答:ニューモシスティス肺炎
異常リンパ球の上昇あり、精査の結果HTLV-1抗体の上昇と、β-Dグルカンの著明な上昇があり、上記診断となりました。呈示されたDr.は、初回レポートの鑑別に入れていたそうです…
病歴などを参照することによって、画像診断が逆にミスリードされる可能性があることを示唆する症例でした。やはり、臨床所見+胸写だけでは診断が遅れうる、重篤な症例が存在することも、改めて感じました。
ところで、ニューモシスティス肺炎(旧カリニ肺炎)は比較的胸膜直下がスペアされるとの記載がよく見られますが、全層に及ぶ症例とどちらが多いのでしょうか?宿主の免疫状態で、所見が異なってくる可能性はありますが、ぱっと本をみた限りでは、見つけられませんでした。ご存じの方がいらっしゃったら教えてください。
今回は、胸部の症例が1例呈示されました。久々の大学当直中のため、簡潔にレビューします。
症例は、中年女性。特に既往歴なく、この2週間ほど続く呼吸困難感、軽度の咳嗽・喀痰を主訴に来院。全身状態良好で、発熱なし。聴診上、明らかなcrackleなし。
胸部X線写真:骨・軟部、心縦隔影に著変なし。肺尖にごく軽度の胸膜肥厚を認める他、ほぼ正常の肺野所見。
胸部単純CT所見:両肺びまん性、全層に広がるすりガラス影。一部で小葉間隔壁で境界される、汎小葉性のパターンを取り、癒合傾向が見られる。小葉中心性を疑わせるような陰影ははっきりしない。右下葉中層などでは、ややすりガラス影の濃度が上昇し、網状の浸潤影を呈する。粒状影や、気管支血管束の肥厚、小葉間隔壁の肥厚は有意とは言えない程度。胸水は見られない。病的リンパ節腫大なし。
検査所見:WBC上昇あり LDH上昇あり AST/ALT上昇なし
病歴を聴取しなおすと、木造家屋に住んでいて、最近中古車を購入。クーラーをつけると咳が出る。との追加情報あり。
ここまでで、感染症であれば非定型肺炎、間質性肺炎とは異なる所見・経過だし…。過敏性肺臓炎などは第一に鑑別に挙がるが、なんとなく画像が異なる印象…。薬剤性等も鑑別には挙がるなぁ…
と、いったところ。新人のO石君は、なぜかニューモシスティスを一番に挙げていました。
解答:ニューモシスティス肺炎
異常リンパ球の上昇あり、精査の結果HTLV-1抗体の上昇と、β-Dグルカンの著明な上昇があり、上記診断となりました。呈示されたDr.は、初回レポートの鑑別に入れていたそうです…
病歴などを参照することによって、画像診断が逆にミスリードされる可能性があることを示唆する症例でした。やはり、臨床所見+胸写だけでは診断が遅れうる、重篤な症例が存在することも、改めて感じました。
ところで、ニューモシスティス肺炎(旧カリニ肺炎)は比較的胸膜直下がスペアされるとの記載がよく見られますが、全層に及ぶ症例とどちらが多いのでしょうか?宿主の免疫状態で、所見が異なってくる可能性はありますが、ぱっと本をみた限りでは、見つけられませんでした。ご存じの方がいらっしゃったら教えてください。
>比較的胸膜直下がスペアされるとの・・・
私が経験した症例、3例とも胸膜直下まですりガラス影がありました。あくまでも、そのような傾向があるくらいで覚えておいたほうが無難でしょう。
サッカーで例えるなら、ペナルティーエリア外からのミドルシュート。
でしょうか・・・。
勉強会の内容がお役に立てて良かったです。
画像のみで呼吸器の診断があたるとは、到底思えません。
CRで考えて、Pがとれたら、また摺り寄せて、そして、T(時間)による経時的変化をみて、それでやっと答えが出るものです。
古い話で申し訳ありませんが。
白石時代に経験したATL(未診断)の症例は肺炎として飛び込みできたものでしたが、早くに線維化が進み、内層が所見が強く、胸膜下はspareされていましたが、まず第一に鑑別にあげ、逆行性にATLの診断となりました。HIVでなくてもこのようなことがあるようだな、と思われました。
画像から臨床診断が、”ズバッ!”と当たると、たまらなく嬉しいですよね!しかも、その過程が一発診断ではなく複雑であるほど。
佐賀の研究会で経験した症例は、50代後半の男性で、同性愛者のかたでした。初診時のCTでは胸膜下はspareされ、斑状のすりガラス影が多発していました。NSIPとも画像所見が異なる印象だったのですが、消去法でNSIP様の間質性肺炎と考えました。あまりに典型的なNSIP像ではなかったので、何らかの自己免疫疾患が基礎にある症例なのかと思っていました。
ところが、2週間後の呼吸状態が悪化した時のCTでは、一気に線維化が進行し、内層優位の線維化をきたしていました。
PCPがそんなに早いスピードで線維化した症例は、その時はじめて経験したので、衝撃を受けたのを覚えています。
今日、また、namoto先生からのコメントをみて、このパターンは決して忘れないと思います(たぶん・・・)。ありがとうございます。
(それから、namoto先生、JSAWIでは御講演お疲れ様でした。)
RYOKO先生のコメントの通りです。
ちなみに、NSIPの画像分類パターン3のスライドをjpegでキャプチャして載せてもよいでしょうか?解説はできませんが…