とはずがたり

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感染症と季節性

2020-03-17 09:44:14 | 新型コロナウイルス(疫学他)
今回のコロナウイルス禍は色々なことを勉強する機会になりましたが、下の記事は感染症の季節性について色々な研究がなされているという内容です。
インフルエンザが冬場に流行することが多いことはよく知られていますが、実はその理由ははっきりとはわかっていません。それ以外にも様々な感染性疾患がそれぞれ異なった流行パターンを有しています。もちろん多くの交絡因子があるために正確な結論を得るのは難しいと考えられます(その季節にお祭りなど人ごみになりやすいイベントがあるかどうかなど)が、色々な仮説が検証されています。例えば湿度、温度、ヒト間の接触機会、食事やビタミンDの違い、媒介する昆虫の繁殖等々。ウイルス自体の様々な特徴(エンベロープを有するかどうかなど)も重要であることが分かっています。また免疫機能の季節変動、日内変動についても研究が進んでおり、ある免疫関連遺伝子群については、北半球と南半球では遺伝子発現スイッチのオン・オフが逆であることが分かっています。
当然皆が気になるのは、「それではSARS-CoV-2はどうなの?」ということです。風邪を起こすヒトコロナウイルスは4種類しられていますが、3種は冬に圧倒的に多いことが知られています。しかし高温多湿のシンガポールでも多くの症例が見つかっていることからも分かるようにSARS-CoV-2が同じ挙動を示すかどうかは疑問ですし、広い季節帯を有する中国で様々な地域で広がっていることから考えてもあまり季節性はないようにも思えます。ヨーロッパなどでいわれているように、ある程度の人口に感染が広がり、集団免疫が獲得されるまでは終息しない可能性もあります。
ダイヤモンド・プリンセス号には北半球・南半球など様々な国の方々が乗船していたので、その感染パターンを解析することによって異なる季節性と感染の広がりとの関連がわかるかもしれないという指摘はなるほど、と思いました。
https://www.sciencemag.org/news/2020/03/why-do-dozens-diseases-wax-and-wane-seasons-and-will-covid-19 
Why do dozens of diseases wax and wane with the seasons—and will COVID-19?
By Jon Cohen



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