Wolbachia pipientisは蚊に感染する細菌ですが、この細菌に感染した蚊はデング熱ウイルスへの感染抵抗性であることが明らかになっています。Utariniらはデング熱ウイルスを媒介するネッタイシマカに感染し、蚊の寿命には影響しないWolbachia株を樹立しました。この細菌を感染させたネッタイシマカをデング熱流行地域に放出することによって、デング熱ウイルスを保持するネッタイシマカが減少し、対照群と比べてデング熱の発生が77%抑制されました。一方で殺虫剤を使用した場合にはこのような感染減少はみられませんでした。これは20年以上という長い年月にわたる根気強い研究が結実したもので、殺虫剤のように環境汚染を生じることなく感染を制御する画期的な研究成果です。
N Engl J Med 2021; 384:2177-2186. DOI: 10.1056/NEJMoa2030243
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます