少し前からまことしやかに、「BCG接種を行っている国ではCOVID-19の被害が少ない」という話が都市伝説のように広がっていました。ヨーロッパでBCGを接種していないオランダ、イタリア、スペイン、そしてアメリカなどでCOVID-19患者が多く重症度も高いこと、逆にBCG接種を行っているアジア諸国では比較的患者が少なく症状もマイルドであることがその根拠なのですが、多くの心ある人は「そんなことはないやろ~(大木こだま風)」と半信半疑でした(です)(*¬д¬*)。
ところが"自然免疫記憶(trained immunity)"という観点からこの現象を説明しようとする試みがあります。ウイルスがホスト細胞に侵入するとホスト側の免疫反応を惹起しますが、炎症カスケードは自然免疫によって開始されます。自然免疫の活性化は抗ウイルス反応に重要であると同時に、過剰な炎症反応惹起を介して組織障害性にも働きます。高齢者など免疫機能が低下している場合にはウイルス量が増加して自然免疫の過剰反応が生じ、ARDSや死亡などの転機を生じる可能性があります。また自然免疫の持続的な活性化は重症患者に見られるリンパ球減少にも関係していると考えられます。
Trained immunityという現象はこのreviewの著者であるMihai G. Neteaらが提唱している概念です。ウイルス感染などの記憶が自然免疫細胞においてヒストン修飾変化やDNAメチル化などのepigeneticな変化を誘導し、その結果再感染に対してT細胞とB細胞に依存せず自然免疫系の応答をもたらすという現象で、獲得免疫のような非可逆的な変異や組み換えには依存しない現象であるとされています(Netea et al., Nat Rev Immunol. 2020 Mar 4. doi: 10.1038/s41577-020-0285-6)。
実はこのtrained immunityの誘導にBCGが有効のようで、例えば結核予防のためのBCGの有効性・安全性を検討した南アフリカの臨床研究で、予定されたエンドポイントではなかったものの、BCG投与群では非投与群に比べて呼吸器感染症が73%減少したことが報告されています(Nemes et al., N Engl J Med. 2018 Jul 12;379(2):138-149)。最近オランダやオーストラリアでヘルスケアワーカーを対象にSARS-CoV-2感染予防に対するBCGの有効性を検証する臨床研究が始まったとのことですので、その結果が待たれます。思わず自分がBCG接種を受けたかどうか確認したくなりました (・・*)ゞ。
ところが"自然免疫記憶(trained immunity)"という観点からこの現象を説明しようとする試みがあります。ウイルスがホスト細胞に侵入するとホスト側の免疫反応を惹起しますが、炎症カスケードは自然免疫によって開始されます。自然免疫の活性化は抗ウイルス反応に重要であると同時に、過剰な炎症反応惹起を介して組織障害性にも働きます。高齢者など免疫機能が低下している場合にはウイルス量が増加して自然免疫の過剰反応が生じ、ARDSや死亡などの転機を生じる可能性があります。また自然免疫の持続的な活性化は重症患者に見られるリンパ球減少にも関係していると考えられます。
Trained immunityという現象はこのreviewの著者であるMihai G. Neteaらが提唱している概念です。ウイルス感染などの記憶が自然免疫細胞においてヒストン修飾変化やDNAメチル化などのepigeneticな変化を誘導し、その結果再感染に対してT細胞とB細胞に依存せず自然免疫系の応答をもたらすという現象で、獲得免疫のような非可逆的な変異や組み換えには依存しない現象であるとされています(Netea et al., Nat Rev Immunol. 2020 Mar 4. doi: 10.1038/s41577-020-0285-6)。
実はこのtrained immunityの誘導にBCGが有効のようで、例えば結核予防のためのBCGの有効性・安全性を検討した南アフリカの臨床研究で、予定されたエンドポイントではなかったものの、BCG投与群では非投与群に比べて呼吸器感染症が73%減少したことが報告されています(Nemes et al., N Engl J Med. 2018 Jul 12;379(2):138-149)。最近オランダやオーストラリアでヘルスケアワーカーを対象にSARS-CoV-2感染予防に対するBCGの有効性を検証する臨床研究が始まったとのことですので、その結果が待たれます。思わず自分がBCG接種を受けたかどうか確認したくなりました (・・*)ゞ。
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