ホンクベーシスト 新井健太の雑記

日々起こったこと、感じたこと、音楽のこと、家族のこと、友達のこと、自分のこと。

連続ドラマ 手に汗握る シリーズ第二回

2009-04-16 11:36:05 | Weblog
第二回  (昨日の第一回目から読んでください)
 
 3月18日、いよいよレコーディング当日。車で機材を搬入し、ミーティング
ルームに入りました。
「おはようございまーす!」(ココは余裕なカンジで元気にいかなくてはネ。)
するといまみちさんがすぐに次々とそこにいる人達を紹介してくれました。
 
 いまみちさん:(ただならぬオーラを放つ女の子に手のひらを向け)
『えっと、こちらシーナさん』、

 私:< オ-、なんかカワイ子ちゃん、今日はこのコのレコーディングなんだな>
オジさんの私は照れてしまい、ろくすっぽ顔も見れずに、ただただ
「あ、よろしくお願いしまーす」。
 
 いまみちさん:『こちらドラムのカワムラさん』、
 
 私:< ワー、本物のカースケさんだ。 >
(※実はこの愚図でノロマな私、楽器を搬入し車をエレベーターで屋上の駐車場に
持って行く際に往生してしまい、後ろに並んでいたカースケさんの車にも迷惑をかけ
てしまっていたのを私はバックミラーで知っていたのでした)
「先ほどは駐車場でスミマセンでした」。

カースケさん:『あー、アレ新井さんでしたか。ははは、大丈夫、大丈夫。』

< あー優しそうでよかったー >。

いまみちさん:『えっとこちらがEMIのYさん』、

私:(※それまでメールや電話でやりとりをしてくれていたので)
「いろいろ連絡ありがとうございました、よろしくお願いいたします。」
 
 その後コントロールルームに入り雑談。

いまみちさん:『アラケンさんのやってる東京ローカル・ホンクってのがすごく
ってさ、........』といろいろ俺のことを説明してくださる。

私:< あー、いまみちさんありがとうございます。でもハードルぐんぐん上がって
ますよ。 >
 
 ブースに入りセッティングをし、音決め。フェンダープレベとフリーダムジャズベ
どちらで行くか迷ったんだけど、カースケさんがまた違う別のブースでドラムを叩い
ているのをちょっと聞かせていただいたのと、ココんとこ季節のおかげかプレベちゃん
が旬なカンジなのでここは直感でフェンダープレベちゃんを選択。
マンレイのチューブD.Iいいなー。すげー太くて暖かい。プレベにピッタリ。
 
コントロールルームに戻り
『じゃぼちぼち始めましょうか。さっきアコギと歌入れ終わったから、まずはそれ
聴いてもらいましょうか。』
(※今回、歌とA.ギターの後にドラムとベースをいれるらしいのだ。)

『じゃー流しまーす。』
 まずイントロ。

私:< おー、メロウでいいカンジ >
つづいて歌が入る。
< おー、コレも良いなー、...........おや?なんか聴いたことある声....だ...な。
ん........あれ?シーナさん?..... >
先ほどのカワイ子ちゃんの顔をチラと見る俺。
<.................>
< アレ?あのう、あなた、もしかしてシイナさん?もしかしてもしかして....
あのシイナさん....? あわ、あわ、

もしかしてココ椎名林檎さんのレコーディング現場だったりしちゃいますか?
あの僕、天王洲テラ・スタジオのAスタに来いと言われて来たんですけど、
うーん僕ちょっと道に迷ってしまったのかな.... >

なんと!その日のそれは椎名林檎のレコーディングだったのでしたー!

ド~ン!(津波に呑まれる音)


いまみちさん!人が悪すぎます!それまで、もちろん林檎さん
の唄は聴いてるけど、お姿といえば、メイクをバッチリされていて、妖艶なカンジしか
知らなかっただもん!その日の林檎さんはほとんどナチュラルでめちゃカワイイ!

その瞬間からもう俺はリキミまくりテンパリブンブンベーシストだもんね。

カースケさん:『もう一回聴かせてくださーい』。五線紙にすらすらと構成を書き
取っている。

私:「グブ~」。

いまみちさん:『じゃ、軽く一回録ってみましょう、えーと最初のAメロは唄とギター
だけで、リズムが入るのはBメロくらいからかな』

カースケさん:『了解~』

私:「グブ~」

もう一回チューニングをし呼吸を整える。整わない。
ヘッドフォンから良いカンジでとギターと唄が流れ始める。
さぁここからは美しい音に包まれながらもある意味、独りぼっちの世界。
<だっ、誰か、たっ、助けてくれ~!>

Bメロ手前の二拍、ドラムのフィルが入る。

< う~、カースケさんカッチョイイ~、あ、しまった!俺も一緒に入るんだ!
なーんちゃってわかってますよココからですよね~ >
『ブンッ!』
< うわ~かえってツっこんでしまった~!アレ~ベース音小ちぇー、しまったオケ、デカ過ぎたー >
キューボックスに手を伸ばそうとするがなぜか手が出ない!
< うわーリキリキだ~!アレーいつのまに、なんで指がハイポジションにあるんだー?!
しかもここは後でギターソロが入るとこじゃないか!
あー.....うわーもうエ ンディングーッ、ああああだめだーありゃー分数コードってなんだっけー!
『~♪ABCは知ってても~、それだけ~じゃ、困ります~♪』コレって何の宣伝だっけ?なんつって、
ああー..俺って俺って......ブヒ~!ブヒ~!........ >

エンディング
アコースティックギターのストロークが流れ
やがてスーッとオケの音が消える。
シーン.......。

私:「プシュ~」
(※冥王星から帰ってきた音。魂[ソウル]の不時着ともいうらしい。
車輪は全部もげ、羽根はドロドロにとけている。ああ悲しきチャレンジャー。)

< あぁ俺って....。>
              .....つづく

(※キューボックス:レコーディングの際、ヘッドフォンに流れてくるそれぞれの
音のバランスを各々のプレーヤーが手元で調整することができる。だいたいは音決めの
時やリハーサル、一回目のテイクの段階でいじっていくカンジじゃないかな。
これの調整によってプレイのやりやすさがかなり左右される。)