小浜西組重要伝統的建造物群保存地区は、商家町、茶屋町、寺町を含む丹後街道を基軸とした町割全体が評価され、平成20年6月9日に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され、12年経ち、小浜の顔の一つになってきました。
これも、小浜西組街並み協議会をはじめとする地元の皆さんと、小浜市の連携の賜物と喜んでおります。
平成29年から行われていた三丁町の環境整備事業として、電線の地中化、雨水渠(側溝)、融雪装置、各家への配線工事、石畳風道路舗装工事、消火栓設置工事等がこの3月ですべて完了しました。
歩いてみますと、色合いを考えた各家の配線工事などの仕上がりに伝統的建造物群保存地区にふさわしい仕上がりと感動いたしました。
一つ気になった点として消火栓が5つしか設置されていないことです。この地域は道幅が狭いので消防車の出動が容易でありませんので、消防の観点からこれで良いのか心配です。国の需要文化財などの火災のニュースを目にするとき、防火設備の不備などがあっては悔やまれます。
重伝建地区のみならず、一昨年私の住む小浜東部地区での火災を目のあたりにして思いますのは、消防活動の容易でない場所は消化が思う様に行かず、思ったより消化が進まずに被害に広がります。
今年3月、まちづくり小浜の事業として、町屋ステイ「丹後街道つだ」がオープンし、既存の「三丁町ながた」「三丁町さのや」「八幡参道みやけ」とあわせ、小浜西組内で4件目の店舗となり、活性化の一方で、観光地特有の不特定多数の人の出入りに伴う地域住民の方々の心配の声があります。
火災や防犯設備に落ち度のないように安心安全のまちづくりをと思います。
また、重伝建に選定される以前に景観を損ねる倒れ掛かった家屋の持ち主に協議会顧問という立場で滋賀県の高島まで、買主の代理で300万円持って司法書士さんと出向いたことがありました。
西組協議会の皆さんと、他所の視察も、埼玉県川越市、岡山県高梁市の吹屋、奈良県橿原市今井町、近いところでは兵庫県豊岡市の出石などへ赴き、それぞれの協議会同士の交流をしてきた中で、小浜市の重伝建の取組みに反省すべきことがあります。
重伝建保存地区内に改築、新築として建造されていく建物のうち、景観にそぐわない建造物に対して建築許可を下ろしてしまっているのか、建造物の規制が守られていない場合に法的効力がないのか、明らかに周囲と調和がとれていない物件があることです。
川越市の協議会の方に、重伝建地区建造物に対して建築許可は市の担当課と協議会の方とで協議しているようです。
他所の重伝建保存地区ではあり得ない事態だと思いますので、住民理解と協力を得る啓蒙活動を進めたいと思います。
そして、小浜西組の重伝健は他所に自慢できるのは建物や町並み以上に豊かな「人の繋がり」だと思います。
地域の地蔵さんを祀る子供たちによる地蔵盆、各区の出しを継承しての伝統文化「放生祭り」などを誇りに思い「宝」として来ているところです。
「ベンガラ格子の灯る町」の命名が意味するところの、この地域に懐かしい未来を目指して人が住むことこそ意義があるということだと認識しています。
西組に住む30代中心の若者が地域の夢として、10周年の式典で発表された「新マスタープラン2018」に古きものを残す活動のみならず、生活の中に根付かせることこそ、文化財保存から活用そのものだと感銘をうけました。
小浜西組町並み協議会が重伝建地区を維持し推進していくには景観を整備していくことと、居住者を増やす課題があります。
当初は制度の周知が行き届かず重伝建地区保存修理事業補助の利用も低調でしたが、周知がゆき届き、さらに空き家対策の効果もあって新しく町屋を取得された方の応募も急増し、ここ数年は、重伝建の補助を受けるには4年待ち、5年待ちを強いられるなど、若い世帯や域外からの移住を計画する人たちが活用して住むためには、使いづらい制度になっていると言わざるを得ません。
先月、協議会会長とともに、小浜市市長部局と嶺南振興局へまいり、建造物所有者の意向に応え、重伝建地区における修理・修景を着実に進めるには、国、県、市の支援を要望してまいりました。
1 国に対して、重伝建地区保存修理事業補助に関する予算を拡充するよう、福井県から要望していただきたい。
2 小浜西組重伝建地区保存修理に対する国、県、市補助金を、申請件数に見合った補助を安定的に継続していただきたい。
令和元年度も、11件の応募に対して事業実施が5件にとどまり、本年度申し込みは18件あり、さらにその先に回される状況が続いています。
居住希望者が増えていることは誠に喜ばしいことですが、毎年十数件の応募がありましても補助できる件数は限られており、順番待ちをしていますと数年後になると、居住希望者が離れていくことがあります。
このニーズは小浜市の定住人口増加を促せる大きなチャンスだと思います。
今後、日本国内の観光振興として打ち出される「GO TOキャンペーン」の受け入れ先として、整備された小浜西組重伝建地区の街並みと市内の町屋ステイをはじめ、地元のホテルや宿泊施設に誘客を促し、観光振興事業を推進していくチャンスでもあると思います。しっかりと活性化に向かって一意専心励みます。
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