昨今の社会環境の変化等により、地域まちづくりに対する住民のニーズは多岐にわたり、公民館は社会教育施設としての役割と共に、地域づくりの役割を担う地域コミュニティ活動の拠点施設として機能を併せ持つようになってきました。
住民自治組織は地域ニーズの行政への要望や行政のまちづくり活動への補助的な役割でしたが、住民自治組織によるまちづくりとは、小規模な生活圏区域を単位とし住民自治の強化や行政との協議の推進などを目的とする組織が協働のまちづくりです。
既存の自治組織には様々な限界もあり、自立性のある新組織を中心に再構築していこうという取り組みの先進地として坂井市の公民館をコミュニティセンターとして機能されている取り組みをブログにも掲載いたしました。
今回視察は、島根県雲南市は平成16年11月1日6町村が合併して約41,000人、面積553.4㎢の島根の中で海の無い山村の市です。
人口減少、少子高齢化が進み自治会や町内会といった従来の地縁組織では、地域の自治を担うのは難しくなってきました。
そこで、地区住民らが地域の課題を解決する組織の量的拡大と質的強化を目指した取り組みをされていました。
EUの設立理念と同じ自助、共助、公助の原則に基づき、協働のまちづくりの仕組みを創られました。
「自分たちの住む地域は、自分たちで知恵を出し汗をかきながら、みんなで創り上げていく」の考え方を実現化に向けて4年かけて、30の地域自主組織が機能されいます。
雲南市の地域自主組織のポイントとして
1、地縁でつながる様々な人、組織、団体が連携し相乗効果を発揮
2、イベント型から課題解決型へ
3、地域力(個性)活かすこと
4、自ら地域は自ら納める
5、地域の総合力で課題解決
その結果、地域ならではの創意工夫による活動が続々と生まれました。
中野の里づくり委員会…市水道局の委託で検針機会に全世帯に声かけ、24時間体制で要援護者の見守りとSOS受信。
塩田地区振興会…配食グループ「いい~飯会」が、季節感たっぷりの自分達が作った食材で、毎月第4土曜日に40食を高齢者、単身者世帯に手作りメッセージをそえて配る。
田井地区振興協議会…深野神楽の伝統芸能を子ども神楽教室で育てて深野神楽団にと導き、将来は田井に帰える子もある。
松笠振興協議会…松笠婚カツ隊が出会いイベント企画。さらに男磨き講座(ヘアスタイル、美顔術、服装選び、会話術)を開催して雲南市まで広げて活動。
阿用地区振興協議会…農作業と高齢化による腰痛や膝痛の予防アヨさん体操普及推進事業として、集会のたびに実施。
八日市地域づくりの会…リサイクル活動として、行政と地域が回収にあたり、頻度や多様な取り組みによる収益で地域活動資金にしている。
波多コミュニティ協議会…交流センター内に「店舗」をマイクロスーパーを開設し、地域自主組織が運営。
たくさんの事例のいずれもが、地域と行政の協働によって公共サービスの向上と地域に即応したきめ細やかな対応がなされています。
交流センター移行後3年目の検証結果もされていて、交流センター職員と組織の方向性、地域福祉の方向性、生涯学習の方向性、施設関係の方向性について細やかな改善策を講じておられました。
交流センター職員の直接雇用方式を取られるなど地域自主組織の独立を促されています。
これらの交流センターの施設は集まりやすく、バリアフリー、集会室(できるだけ1階)、福祉トイレ、防災拠点としての避難所機能(調理室、シャワー等)などの機能の貯共に、廃校になった学校などを利用したり地域の創意工夫が活かせる施設規模が必要だと感じました。
小浜市は公民館を拠点とした協働のまちづくりを進めるには行政の支援は引き続き重要で、予算付けも重要になります。
行政支援を前提に住民の参画「住民自治組織≒まちづくり組織」が理想の形となります。
1、まちづくり組織の位置づけ、まちづくり組織の担い手が継続性は確保されていけるか。
2、まちづくり組織と各種団体とが健康福祉、安全安心、にぎわい等に関し効率・効果的に連携し、まちづくりの目標を共有で出来るか。
3、地域にとって本来的に必要なまちづくりを進め、地域内外との交流を通じた住民の“気づき”こそが重要となる。
4、小さな成功体験の積み重ね「地域の光を見つけ」「地域への誇りと愛着を醸成し」「住んでよし、訪れてよし」という地域をつくりあげることが大切になるでしょう。
住民主体のまちづくりの先進地の 坂井市、雲南市を視察して、小浜市の課題は、各地区の意識の温度差があるのと、行政側のリーダーシップが弱いと感じます。