北陸新幹線の未着工区間(敦賀―大阪)で敦賀以西を巡り、JR西日本が提案し、本県が支持している小浜・京都ルート、米原ルートを推す滋賀県、舞鶴ルートを求める京都府の動きが活発化してきました。
国土交通省は、敦賀以西の候補となっている小浜・京都と米原、舞鶴の3ルートの所要時間や路線延長、概算事業費、需要見込みなどの調査結果を10月にまとめる。これに先立つ形で滋賀県は23日米原ルートの費用対効果の試算を公表しました。
それによると、3ルートのうち米原は建設期間5年と最短で、建設費も四千四十一億円と最安との試算内容です。
ただ、米原ルートの問題点は、1.米原駅での乗り換えが必要で京都、大阪までの所要所間が長くなる。2.JR西日本とJR東海をまたぐことで料金が高くなる。
など利用者の利便性という視点が欠けていると指摘もあります。
先の福井県議会で米原、舞鶴ルートに向けた滋賀県と京都府の動きについて「西田昌司参議院議員(京都選挙区)が与党敦賀以西ルート検討委員会の委員長を続投し舞鶴ルート実現に不退転の決意で臨むとの情報がある。滋賀県も米原ルート実現に向けて運動を活発化させている。ライバルの動向や作戦を把握し、年末に向けてしっかり対応していくことが大事だ」と委員から指摘がありました。
これに対し「国交省の調査結果に本県の主張が反映されているかどうかを見極め県選出国会議員に働き掛けながら実現を目指している」と強調しております。
JR西日本が提案し、本県が支持している小浜・京都ルートが頭一つリードとの楽観的な見方もあったようですが、予断を許さない状況になっています。
懸念されている北陸3県の意向も馳浩文科学大臣は、先月末の定例記者会見で「一国会議員の意見」として「昨年の段階では米原ルートが良いという考えだったが、国土の均衡発展の観点からも福井県の意向を尊重すべきだ。事業者のJR西日本も小浜・京都ルートを望んでいる」と述べられました。
これまでの経緯は、昨年の9月石川県議会で米原ルート実現を目指す決議案を可決していましたが、 石川県の谷本正憲知事は具体的なルートに言及せずに、京都北部を通る舞鶴経由ルートについては「乗降客が少なく、採算が悪い」と否定的な発言されていました。
富山県の石井隆一知事も「福井県の気持ちをできるだけ生かして良い結果になればと思う」と語っています。
西川福井県知事は以前の定例記者会見で北陸3県の意向もおおむね【小浜-京都ルート】で一致しているとの認識を示していました。
28日の福井県議会でも北陸三県の結束を求めに対し、「中央要望の際に石井隆一富山県知事は大阪まで寄り道しないルートを主張されたし、谷本正憲石川県知事とは西川知事が緊密に連絡を取り合っている」との答弁があったようです。
さらには、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの新座長に茂木敏充自民党政調会長就かれ、中立的なお立場で協議が長引くことを懸念する質問に、「中央要望で年内決定の約束は無かったが、しっかり対応すると述べられた」と答弁されています。
10月の国土交通省が敦賀以西の候補となっている3ルートの所要時間や路線延長、概算事業費、需要見込みなどの調査結果発表が近づき、我田引鉄の自治体間の思惑が交差しています。
「北陸新幹線小浜・京都ルート」が実現すれば、文化歴史上つながりのある北陸と京都の玄関口となり、小浜市にとって観光誘致、企業の進出による雇用の創出、関西への通勤も可能となり、定住人口の拡大に繋がることが期待されます。
新幹線延伸に小浜駅が出来、京都まで20分、大阪まで33分を2030年より早い実現に向けての正念場です。
官民挙げて精一杯の啓発運動と要望活動を頑張りたいと思います。