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これからの健康課題と向き合う 人生100年時代

2021-01-02 08:45:00 | 日記

下記は朝日新聞デジタルからの借用(コピー)です

日本人の平均寿命が過去最高齢を更新し続け、元気な状態を保つ「健康寿命」への意識はますます高まっています。そのような社会背景を受け、保険も従来の機能に加えて「健康を応援する」かたちが登場するなど、新しい動きが出ています。『3大疾病』をテーマに、京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 健康情報学特任教授の髙橋裕子先生にお話を伺います。
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病気と予防の
最前線
3大疾病リスクは減らせる
家族のために生活習慣改善を
京都大学大学院社会健康医学専攻教授(特任・健康情報学)
京都大学医学部付属病院 呼吸器内科医師(禁煙外来担当)
髙橋裕子さん
増えるがんの罹患率 高齢化と生活習慣が要因
日本人の死因で1番多いのは悪性新生物(がん)、次いで急性心筋こうそくなどの心疾患、そして老衰、脳血管疾患の順に続きます。がん、心疾患、脳血管疾患は、3大疾病といわれ、死亡率が高いだけでなく、手術して長期入院になったり、脳卒中などの後遺症で介護状態になったり、医療費や介護費が本人と家族の大きな負担となります。
がんについては治療や早期診断が進歩して、生存率は上昇していますが、高齢化の影響もあり死亡数と罹患率は増加を続けています。部位別には、男性は肺がんの死亡数が1番多く、次に胃がんと大腸がん、女性の場合は大腸がんがトップで次に肺がんです。近年、欧米諸国ではこの肺がんの死亡率が低下してきました。これは、それぞれの国で禁煙政策を早くから始めていた効果と思われます。
3大疾病には、生活習慣が大きく関わります。禁煙、節酒、減塩、運動、適正体重の五つの健康習慣を数多く実践している人ほど、がんのリスクが下がったという調査結果もあります。生活習慣の中でも特に深刻な影響をもたらすのが喫煙です。喫煙する本数が多いほど心疾患の死亡率は上がり、心筋こうそく発症後の生存率を見ると、喫煙者のほうが低くなります。逆に考えると、自分で予防することで、3大疾病のリスクは減らせるのです。
喫煙による体への影響 周囲への作用を知る
喫煙はどうして疾病につながるのでしょうか。その因果関係は早くから実証されていました。まず、たばこの煙には、200種類もの有害物質があります。中でも発がん物質として知られているのがタールです。タールは肺だけでなく、体のいろいろな部位に関わってがんを発症させます。また、ニコチンは循環器系の機能を損ないます。そして長い年月の間に発がん性を持つこともわかってきました。さらにたばこが燃える時に発生する一酸化炭素は血管を収縮させ、動脈硬化に影響します。その結果心筋こうそくなどの心疾患や、脳卒中を引き起こします。
現在世界中で感染が広がっている新型コロナウイルスについても、喫煙者は非喫煙者に比べて重症化しやすいことがほぼ確実となっています。インフルエンザへの罹患リスクも上がります。
そして、これらの病気の多くは、受動喫煙でも起こります。職場や周囲の人の心筋こうそく、肺がん、糖尿病、脳卒中の原因になり、妊婦には早産、低出生体重、胎児発育遅延、子どもにはぜんそくや中耳疾患、虫歯が増えるなどの健康被害を与えることが報告されています。
二次喫煙に当たる受動喫煙だけでなく、最近は三次喫煙の被害も研究されています。これは、たとえ屋外で喫煙しても、衣服や髪の毛、呼気に含まれる有害物質が部屋に持ち込まれるというものです。また、部屋の壁やじゅうたん、天井に付着したヤニから、時間が経っても有毒物質が蒸散し続けることもわかっています。
日本でも2018年に改正健康増進法が成立し、喫煙に対する市民意識は変わってきました。しかし、喫煙室から漏れる煙や三次喫煙への対処など、まだ課題は多いと思います。
禁煙で減らせるリスク 家族の安全を守ろう
肺がんによる死亡、狭心症や心筋こうそく、くも膜下出血の発症、いずれも禁煙によってそのリスクを下げることができます。さらに、受動喫煙で家族全員がさらされる病気の危険性も下げることができる事実は、禁煙のきっかけになるのではないでしょうか。将来の病気を防ぐだけでなく、禁煙をした人から、体が軽くなる、せきが減る、顔色が良くなる、息切れがしない、嗅覚が改善する、肩こりが消えたなどの声があがっています。また、持ち物が減らせた、臭いを気にしなくて済むことに気づくなど、病気予防以外に、すぐに実感できる効果を得ることができます。
「苦しい」「我慢が必要」「かえってストレスになる」という禁煙のイメージも、昔とは変わり、飲み薬や貼り薬、ガムなど禁煙をスムーズに進めるためのツールも利用されています。「禁煙マラソン」というプログラムは、禁煙経験者からのアドバイスや応援が受けられ効果を発揮しています。
寿命が伸びている今、早いうちから3大疾病にかかって健康寿命を縮めてしまうことのないよう、生活習慣の改善はまず禁煙から取り組んでください
たかはし・ゆうこ/1978年京都大学医学部卒業、85年同大学大学院医学研究科修了、医学博士。消化器内視鏡医として天理よろづ相談所病院などに勤務。94年奈良県で、日本で最初の「禁煙外来」開設。97年日本で最初のITサポート健康プログラム「禁煙マラソン」提供開始。2006年日本禁煙科学会副理事長就任。09年同理事長に就任。



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