近年の寿には、家族関係が複雑な上に加えて精神疾患をもつために、市内異の各区のケースワーカーから駆け込み寺的に寿に投げ込まれたような若い人達が急増している。
一般に精神疾患は、起承転結の、起と承の部分、つまり、氏と育ちの“負の連鎖”によって人生の基本ベースの部分が構築され、その後の思春期前後からの自身の転じ方によって、統合失調症や鬱病、各種依存症などと、その人なりの表現形が創られる様に思う。精神疾患にとどまらずに、“正常”と思っている人の性格や生き方なども同様な土壌と栽培方法で育成されるのだと思う。
こうして、創成された精神疾患への対応方法に関して。
専門家であることぶき共同診療所の鈴木伸先生は(ことぶき共同診療所だより:第34号3頁)、「最近、薬物療法を始めて年月の浅い、若い薬物療法が増えており、(中略)日本の薬物依存症への対応は厳罰主義に偏っており、治療という観点は欠如しているため欧米に比べて再犯率が非常に高く、50-60%にも登ります。しかし、治療プログラムのあるマイアミではわずか6%に低下する。」「幸いにも、横浜はせりがや病院やダルクなどのプログラムがあり、こうした社会資源を利用した連携治療が必要」とおっしゃっている。
私も同氏に賛成です。
厳罰主義(北風)は、精神疾患患者さんを孤立させ、追い込み、そして、最終的には「誰でも良かった・・・(無差別殺人)」という理解しがたい犯罪を産み出すことにつながる。
ここに、先日のNHKの「おはよう日本」で「生活保護医療の問題点」として使われた資料がある。
48歳の寿在住、男性。
とあるメンタルクリニックへ通院している。病名は分からないまま、「おなかいたい」と、小院へ飛び込み受診。
これまでの処方内容を聞かずして、薬を出すことを絶対にしないヤマナカは、この患者のかかりつけ薬局に問い合わせてビックリ仰天した。
一施設で29種類の処方、うち灰色・ピンクラインの薬はメンタル以外のお薬が15種類。
これも寿医療の現実である。
なぜ、こうなるの?
みなさん不思議に思われるでしょう。
しかし、医療者サイドの心理として、かなり理解できることなので、想像ではあるが、解説したい。
自動的印刷されている薬剤説明からみた分類。
〇アモバン、ベノジール、セパゾン、ベンザリン、レスタスは患者が訴える不安・不眠へ。
〇ガバペン、テグレトール、ランドセンは、患者がてんかん持ちであることをうかがわせる。あるいは高度の緊張不安を訴えるのか?
〇コレミナール、リリカは。患者が筋緊張や身体のどこかの痛みを訴えたのであろう。
〇ジェイゾロフトはウツ的症状を患者が訴えたのであろう。
〇アキネトン・ピレチアは主治医が多剤精神科薬剤投与の副作用である不随運動の出現を危惧したのであろう。
〇セルニルトンは患者が頻尿を訴えるほど緊張体質なのであろう。
〇その他のストロカイン、セルベックス、タケプロン、マグラックス、SM配合散、ガスモチン、マーロックス、ビオフェルミン、プリンペラン、ブスコパンは 消化便秘むかむか腹痛を患者が訴える度に蓄積していって、整理整頓するチャンスを失ってしまった処方であろう。
〇ビタメジンは、患者が「体力が落ちたので・・・栄養剤がほしい」とでも言ったのかな?
〇カロナールとフロモックスは「風邪ひいて熱があります・・・」とでも言ったのかな?(因みに風邪に抗生剤は全くナンセンス。かぜはウイルス感染、抗生剤は細菌に作用します。風邪と確定診断して→抗生剤を処方するドクターはやめた方がいい。 「いわゆる風邪ですな~。抗生物質を早めに飲んでおきましょう」なんてお医者様に言われたら、診察代金払わないで逃げた方がいい。)
これから、読み取れるように、ほとんどすべてが患者さんの訴え内容や訴え方やそのタイミングによって創られた「仰天」なのです。これは、生保医療の問題点の一端に過ぎない。
患者は弱者、特に生活保護の受給者は社会に頼って生きざるをえない人達。
患者にとってドクターは最高の信頼相手。
頼られる側の態勢もしっかりと軸足確認しないと、このような処方内容ができあがる。
鈴木先生のいう「社会資源を適切に利用した支援」については、北風ではなく太陽政策を基本にした制度を、甘やかすことではなく、競争させることでもなく、無駄なく効率的に施策していく必要を感じる。
生保制度の改定が自民政権や維新の会の野党により急速になされていきそうな来年である。
年末に際して、最近急増の寿発の生保医療の問題点のひとつとしておしらせしておきたい。
この記事が、マスコミの方や政治家の方々の目にとまれば幸いである。