三蟠鉄道研究会

今はなき岡山の三蟠軽便鉄道の歴史を探り、後世に伝承していくための活動をしています。

株券からみえるもの

2017-10-29 11:12:39 | 三蟠軽便鉄道株式会社株主と株券
三蟠軽便鉄道株式会社の自己資金を探るに、当時苦労した様子を垣間見ることが出来ます。
まず資本金が16万円で発足したとは言え、一括払い込みされた訳ではなく、6回に亘り、分割されて払い込まれたようです。

 当時の株券の裏面には裏書譲渡の記録の外、分割払い込みの経緯が記録されていました。
株券は5株券と1株券の二種類があります。
また発行時期は大正3年6月24日付けの発行ですが、この時期は軽便鉄道が開通した大正4年8月11日より、一年以上前です。

しかし、額面全額払い込みではなく、6回の払い込みで額面満額になります。
又、額面満額に到るには、開通後に払い込んだものもありました。
開業を急ぎたい会社としては、資金調達が大変だったと想像できます。
以下に、大正3年6月24日付け発行の株券事例を一部紹介します。



五株券、当時支配人だった吉田茂氏名義の株券 表面



同上、吉田茂氏名義の株券 裏面



五株券、当時筆頭株主であった福田常次郎氏名義の株券 表面


同上、福田常次郎氏名義の株券 裏面
ここでは開通(大正4年8月11日)後に裏書譲渡されたことも確認できます。



一株券 鉄道沿線の一般株主 妹尾仙次郎氏名義の株券 表面



同上一株券 妹尾仙次郎氏名義の株券 裏面
ここでは開通前と開通後に計3回に亘り、裏書譲渡されたことも分かります。



五株券、当時監査役だった齋藤傳三郎氏名義の株券 表面



同上、齋藤傳三郎氏名義の株券 裏面






次に株式発行したのは10年を経て、三蟠軽便鉄道株式会社が社名変更して三蟠鉄道株式会社になってのことで、大正13年6月14日付け発行の優先株でした。
当時は前年に国清寺駅まで路線を延長したものの、業容拡大で新たな資金投入を必要とした時期ながら、会社の経営も逼迫しており、多くの株主を募ることはむずかしかったと思われます。
会社の役員はじめ、ごく限られた近親者が資金を捻出したことがわかります。
以下に、大正13年6月14日付け発行の株券事例を一部紹介します。



五株券、当時取締役だった長汐鐵太郎氏名義の株券 表面
株券表面には、優先配当など優先株特有の文言が記載されています。




同上、長汐鐵太郎氏名義の株券 裏面




五株券、当時取締役だった妹尾文七郎氏名義の株券 表面



同上、妹尾文七郎氏名義の株券 裏面










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