匂いで語りかけてくる。
花も、野菜も、みんな匂いで
語りかけてくる。
季節の匂いは言葉を喋れない
生き物たちの合唱なのです。
どんな理由にしろ、男が女を
ホテルに誘う場合、絶対に一流
のホテルであってもらいたい。
たとえ朝まで一緒に過ごすため
であっても、好きな女をラヴホテ
ルや連れ込み宿へ誘う男はどうか
と思うのだ。一夜の快楽のために
お金をける男は粋とは言えない。
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https://www.yanagida-sakushi.com/
どんな女でも、ほめられると
うれしいものだ。ただし、自分
で知っている長所をほめられて
も、これはたいしてうれしくは
ない。
あきらかに美人をつかまえて、
「あなたはきれいだ」と言って
みても効果ない。インテリ女に
対して、「インテリですね」とか
「知的だな」とか言えば、軽蔑
の眼で睨み返されるのが落ちに
きまっている。
これは逆であって、たとえ嘘
でも美人に対して、知的であると
ほめるべきだ。
「きみはきれいだけど、ただ美人
っていうんじゃないね。そう、知
的なんだ。知性がキラキラして
眩しいみたいだよ」
頭のいい女は、絶対に姿形を
ほめてやること。とうていほめ
られないような顔でも、たとえ
ゲジゲジ眉でも「ブルックシー
ルズ(だいぶ古いが)みたいな
黒々した眉だ」などと言う。
いくら考えても顔がどうにも
ならなかったら、手がきれいだ
とか、足首がいいとか、鎖骨の
くぼみ具合がなんともいえず
セクシーだとか、要するに肉体
のどこかをほめること。
どこもかしこも全部駄目なら、
声をほめるとか、着ているもの
をほめるとか、靴をほめるとか、
字をほめるとか。それで完全に
駄目なら、おまえのような女は
居ない方が世の中の為にいいの
だ、と言うかわりに、
「君といるだけで、ほっとする」
と嘘をつく。そうすれば世の中
安泰なのである。
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男が、たった一人でそれほど
までの緊張を内部に抱え込んで、
無言で耐え忍んでいる姿を見る
と、女は母性の一部に痛みを感
じるものなのだ。
抱きしめて、
赤子を揺すってやるように慰め
ることが出来れば、彼女の母性
の痛みは満たされる。
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自分の愛する人が心に苦しみ
をかかえているのを知りながら、
何もしらされないことのほうが、
女には苦しいのです。
心の苦しみを分け合わないのは、
女に対する裏びりだ。
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心のしくみは不思議だ。
脳にたくさんの襞(ひだ)が
刻まれているように、心にも
細かい襞が刻まれている。
その繊細さ、傷つきやすさ。
そして、絶望を乗り越えて
生きていこうとする魂の力
強さに、私はいつも胸が
熱くなる。
グルマンと称するオジさん、
オバサンよりも、漁師の
夫婦がずっと舌が肥えて
いたりする。
経験に勝るものなし、
なにごとも。