『万葉集の愛の歌より』
“わが背子に または逢はじかと
思へばか
今朝の別れの すべなかりつる“
/高田女王(おおきみ)
今朝のあなた 別れの気配
この胸を凍らせる
哀しい予感
きっとさよならね
もう終わりなのね
◇背子(せこ)→女が恋人である
男を親しんで呼ぶ語。
◇また→再び
◇すべなかりつる→どうしようもなく
切なかった。
作者が今城王(いまさきのおおきみ)
に贈った六首のうちの一種。作者の
心にはもう諦めの色がかなり濃く
滲んでいる。
千二百年前から恋の情感は
変わらないのですね・・・・。