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「朝鮮日報」世論調査に恐怖ーハンナラ党、総選挙危機感が現実に

2011年05月06日 | 南域内情勢
★保守言論の総本山と自他ともに任じている朝鮮日報が、最近時折反政権の論調、記事を載せている。5.18光州鎮圧を賛美し全斗煥時代に急成長した新聞が、どうしたのであろう。二日前の8面にこんな記事が載った。N


「朝鮮日報」世論調査に恐怖ーハンナラ党、総選挙危機感が現実に

リュ・ジョンミン記者| dongack@mediatoday.co.kr

2011.05.04 17:55:47

“ハンナラ党は来年4月総選挙で首都圏と忠清、湖南はもちろん釜山、蔚山、慶南地域でも苦戦が予想された。”

朝鮮日報が5月4日付8面に伝えた世論調査報道は、来年総選挙を待つハンナラ党政治家たちに‘恐怖’となって迫った。

●ソウルの場合、来年総選挙で野党圏支持38.3%、ハンナラ党支持30.5%、無応答31.2%。 野党圏支持7.8%ポイント高い。 ハンナラ党が逆転可能とまだ期待をかけられる格差だ。 しかし‘無応答の秘密’を知れば恐怖はさらに広がる。

今回の4.27補欠選を通じて無応答層の相当数が、野党圏支持層と確認された。

2008年18代総選挙当時ハンナラ党は、ソウルと仁川、京畿地方区選挙だけで81席の議席を得た。 首都圏全体111席中73%を一気に獲得した。
しかし2012年4月総選挙では、半数どころか30~40%水準、いやその以下の議席になるとの観測も少なくない。

首都圏議員らの‘選挙恐怖’は、朝鮮日報世論調査で現実になりそうだ。
首都圏に劣らず注目される地域は、釜山、慶南だ。

今回キメウル補欠選で国民参与党との正面対決結果では、野党が僅差で負けた。だが 民主党と民主労働党など地域基盤を持つ候補らとの競争でも勝利できるかは疑問だ。 今、釜山、慶南の民心は、ハンナラ党にそんなに好意的でないというのが大まかな分析だ。野党圏で‘良い人物’を候補に立てハンナラ党と1対1構図を作り出すならば、釜山、慶南も激戦地に浮上する可能性が大きい。
大邱、慶北ではハンナラ党支持34.3%、野党圏支持26.1%と差は開いたが、こちらもやはり不安感を隠せない。



●いつも高空行進のイ・ミョンバク大統領国政運営支持率も揺れている。 朝鮮日報調査では35.3%。2009年9月以後20ヶ月ぶりに30%台に墜落した。

これまで大統領国政運営支持率が与党の‘心理的安定’だった。 民心が良くないといっても、大統領支持率は高いではないかと‘防御線’を張ったが、今はそれも頼りにならない。

来年4月11日総選挙まではもう1年、いや11ヶ月ほどしか残っていない。 与党が補欠選衝撃から抜け出し、換骨奪胎する姿を見せられるか、それが国民に肯定的な変化として刻印されるのか注目されるている。




「刊行のことば」-磯貝治良

2011年05月06日 | NPO三千里鐵道ニュース
★作家、市民運動家であり、在日運動にも深い愛情を持って観察、行動を共にして来られた磯貝さんに、今回の「都相太随想集」刊行委員会委員長を無理を言って受けて頂いた。自らも三千里鐡道副理事長として、著者と多くの時を共有してきた磯貝治良氏から、委員長としての「刊行のことば」が寄せられた。作家の感性と深い洞察力には、舌を巻くほどだ。

ほぼ出版まで1カ月を残すだけになった。事前広報を兼ね、さわりの部分だけを少しだけ紹介する。N


「刊行のことば」

        磯貝治良(作家)


人は誰でも一篇の小説あるいは詩を書く。人は誰でも一冊の書物を持つ。それが人生だ――と言われる。都相太さんにとって、この一冊がそれにあたるかどうかは決め付けないほうがいい。このさき極め付きの一冊が登場しそうな予感がするから。とはいえ、『都相太随想集』が氏にとって生涯のモニュメントになることはまちがいない。
 都相太さんが多様な顔を持つマルチ型人間であることは、定評になっている。いくつかのグループ会社の総帥としての実業家の顔。実業を支える作法として、斬新な着想とユニークな新機軸を連発する技術者の顔。豚、山羊、鶏その他もろもろの生きものを有機肥料で育て偏愛する命(いのち)ズム主義者。食物連鎖を尊重し自然の輪廻に愛着するエコロジスト。そして、言うまでもなく平和主義者。さらに付け加えるとすれば、詩人である。
 都相太さんが在日の在りようを語り批判するとき、さらには朝鮮半島の歴史と現在に向かい合うとき、そのまなざしにはロマンティシズムの光芒が宿る。もちろんそれは空想の浪漫主義ではない。剛直な、批評的な、実利的な、ロマンティシズムだ。詩人のロマンとは、抒情に浸るものではない。思考は具体的であり、感性はドキュメンタルでさえあるはずだ。
 都相太さんは三千里鐡道運動のなかで常に具体的な行動を提起し、そのいくつかをダイナミックに実現させてきた。その提出から行動、結果に至る過程には真正のロマンが底流している。氏と多くの時を共にしてきて、わたしが達した結論が、それだ。都相太さんは詩を書いたか? そんなことは問題ではない。
『都相太随想集』は古希を期して刊行された。そうには違いないが、何かの記念であることをヨコにおいても、登場すべくして登場した一冊である。三千里鐡道10周年を記念して2010年に刊行された『非武装地帯に立つ』に載せられたものを一部含め、氏がさまざまな場で発表、発言した文章のほとんどが、ここに収録されている。
書名は『随想集』となっているが、稀有な思考と感性と情熱を持った在日二世の精神生活の軌跡が、文章の随所に刻まれている。都相太さんは面映そうに苦笑を浮かべるだろうが、この一冊は都家のみなさんのみならず、わたしたちの財産になるだろう。