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騒然とする韓国の世論、ヨーロッパ歴訪から帰国したMBを迎える

2011年05月16日 | 南域内情勢
★いつもの政権末期現象? それにしてもハンナラ党内部から公然と漏れ聞こえる反MB発言には驚く。特に保守の基盤と思われた嶺南から届く過激な発言には、耳を疑う。
こんな時こそ、冷静に情勢を分析・俯瞰する韓国の知性・良心ー白楽晴教授の特別寄稿が、輝きを放つのだ!
次の記事と併せてご覧ください。N


騒然とする韓国の世論、ヨーロッパ歴訪から帰国したMBを迎える

地方が沸き立っている。

釜山貯蓄銀行特典引き出し不正、4大河川事業にともなう大規模断水事故,大型国策事業を巡る地域葛藤が、激しさを増している。

国際科学ビジネスベルト立地選定発表を控え大田、大徳特区が拠点地区に選ばれたと報じられるや、嶺南圏と湖南圏から反発が噴き出た。

去る3月空港計画白紙化決定に反発した大邱・蔚山・慶北など嶺南圏では、政権退陣要求まで飛び出ている。 去る14日慶北亀尾で開かれた‘慶北・蔚山・大邱)国際科学ビジネスベルト抹殺糾弾大会’時は、‘MB退陣’という血書まで登場した。‘MBは地球を去れ’と彫られた模型ロケット砲まで打ち上げた。

湖南圏では光州広域市が科学ベルト立地選定に不満をさく烈させた。全北は韓国土地住宅公社(LH)本社が慶南晋州に決まったことに、実力行使でも防ぐと意気込んでいる。

忠北では嶺湖南世論に押されて科学ベルト分散配置がなされることを憂慮して、15日既存政府発表を守れと要求する集会が開かれた。

全国のあちこちでこのような集会、座り込み、断髪、断食が続いている。

釜山では釜山貯蓄銀行の大規模特典引き出し事件に続き、金融監督機関と癒着した不法行為に怒った民心が、揺れ動いている。
最近4大河川事業で17万世帯余りが断水で不便を体験した慶北亀尾・金泉・漆谷地域では、4大河川事業自体に対する反対世論が広まっている。

[特別寄稿]'MB以後'のグランドデザインを描こう -白楽晴

2011年05月16日 | 南域内情勢
[特別寄稿]

'MB以後'のグランドデザインを描こう

白楽晴ソウル大名誉教授

2011年の韓国は今、2012年に関心が集まっている.
来年の選挙がそれほど重要な事件だからだ.  言い換えれば 'MB以後'の韓国と朝鮮半島, 東アジア全体の未来を占う事件だからだ. 李明博大統領が退任する 2013年 2月からは、誰が後を継いでも 'MB以後'が始まる.

問題はどんな 'MB以後'なのかだ.
李明博政府 3年余、あまりにも酷かったので、'誰になっても今よりましであろう、とMB時代の終焉を待ちこがれる人が多い. しかし、そんなことでは、再び狼狽することになるかも知れない。何故なら、 李明博時代の韓国社会の混乱は一次的には大統領の責任、次に政権核心勢力の過ちが大きい。だが, それが事態の全部ではない.

1987年 6月の抗争で大韓民国は独裁政権を倒し、民主化と経済が同時に進行する時代を開いた。しかし、その後の四半世紀の間, 次の時代を拓くどころか末期的現実を目の当たりにしている。これがまさに MB時代であった。
だが、韓国がこのような末期的局面に進入したのは、MB以前から始まっていた.  2008年を '先進化元年'にする、との夢のような公約に多数の国民が期待したのも、新時代に対する渇望が国民の中に広がっていたからであろう。

2013年以後も新時代を開くことができなかったら、もっと無惨な退行と絶望は避けがたい. これは単純に、前任者より信用でき品格ある人物が執権するとか, 民主政府を導いた勢力が再執権することだけで解決される問題ではない. 
何かもっと根本的な変化を求める節目に差し掛かっているのではないだろうか。 そんな意味で、私は '2013年体制'という概念を提示したことがある。ここでも重要なことは、名称ではなく、具体的なデザインを描きそれを現実に変える能力を備えることだ.

2013年体制という名前に値する 'MB以後'は、 どのような内容を含むのであろう?

まず、私たちが朝鮮戦争休戦以後常に夢見て来た朝鮮半島の平和体制構築を果たすこと。 戦争の脅威なしに安心して暮すことはもちろん、軍事独裁時代の悪習復活を阻むためにも、南北と米 • 中が参加する平和協定が締結されなければならない. またノ・ムヒョン大統領が一貫して強調した '原則と常識の通じる社会'が具現されなければならない.
同時に国政の目標が、経済成長自体より (適当な経済成長も含まれた)国民の福祉へと変わる時代でなければならない. これは福祉の恩恵を全面的にまたは選別的に拡大する問題以前に, 私たちが志向する社会の姿をどのように設定するのかの問題である. その点で福祉は、当然平和問題と直結され、教育 • 環境 • 労動などあらゆる分野での画期的転換と結合する時に、意味がありまた成就が可能であろう.
そのようになる時にはじめて、李明博政府出帆以来著しくなった社会の内部葛藤が緩和され '社会統合'の進展が可能にある。

2012年、そのための激突は避けがたい。 この地の守旧勢力が国民の信頼を大きく失い合理的保守主義者たちからも批判を受けているが, 彼らは李明博政府の下で社会の有利な高地を占め、国民総所得の中で自分たちの配分をより高めて置いた. このような特権的地位を毀損する変化に、彼らがたやすく同意するわけがない.  '親北左派'と '亡国的ポピュリズム' 清算を唱える強硬路線を選ぼうが、 '緩やかな保守'穏健路線を選ぼうが、総攻勢をかけてくることは必定、その威力も無視することはできないであろう.

激突の現場は、当然 2012年の選挙空間だ.
ところが現在進歩改革勢力は多くの政党に割れていて、支持率 1位のパク・クネ候補と肩を並べる人物もまだ見えない. こんな状況では、進歩改革勢力が力を合せてこそ可能性が開かれるであろうことは、もはや常識になっている.

その為にも、'MB以後'へのグランドデザインを先に描くことが緊要である.

先日の 4 • 27 選挙は、野党連合が民心の命令であり、選挙勝利の必須条件であることを確認した. 同時にまた、候補一本化が必ずしも勝利を保障しないという事実も立証した. 一本化の過程自体が、国民を感動させ良い候補を選定する結果に繋がらなければならないのだ. したがって来年総選を前にして、どんな方式の連合が最善であるのか多様な論議が起っていることは当然のことである.

現在野党連合論議は 4 • 27の経験を踏まえ、全面的な候補一本化は不可能だから統合された単一野党を作る道だけだという立場と, 単一政党は不可能だから似ている政党が統合し連帯しなければならないという立場に集約されているようだ.
'統合対連帯'の論議自体は、しばらく闘わせて見るに値する. しかし統合論でも連帯方式でも, 完全な単一野党ではない '統合的' 政権継承政党を追い求める動きは検討に値する。 その統合が、民主党を含んだ参加勢力の徹底的な自己革新を伴う統合なのか, そして不参勢力との連立政府構成をはじめから設計する政権継承政党なのかを、先に検証しながらざっくばらんに議論する必要はあるであろう。

しかし一地方区で国会議員一人だけ選ぶ総選挙では、大統領選挙より連合政治に不利な状況であることは事実だ. しかし確かな大統領選候補がいない野圏としては、総選挙を先に行えることは幸いでもある. …連合政治が実り議会を掌握することができれば, その 8ヶ月後に実施される大統領選挙でも、国政混乱を招くことを憚る意思が有権者の中に広がるであろう。こうして18代国会が、当然遂行しなければならない国政監視及び独自的立法機能が回復し、 'MB以後'も確実に変わらなければならない必要性が、国民に向け切実に迫って行くであろう.

そのためにも 'MB以後'へのグランドデザイン作成が喫緊の課題である.
選挙勝利のための政治工学に早くから沒入し、もし交渉自体が失敗したり、交渉成立でも国民に感動を与えられなければ、全ては水泡になる。
振り返れば、大韓民国は奇形的な分断国家として出発したが、民衆の血の汗でそれなりに誇らしい歴史を辿って来た. 今一度、国民の力による跳躍を成し、朝鮮半島の平和を定着させ韓国社会の民主的改革作業を再稼動し東アジア地域連帯の促進者として復帰する '2013年体制'の設計を提示することができるなら, その成就のための特定方法にこだわる理由はない。国民はこの企画に対する献身如何を、政治リーダーの最大資格要件で見做すであろう. そして, その実現のために沒頭する候補こそ、顔なじみの候補でも新たに浮上した候補でも、真のリーダーに成熟する近道になるであろう.