新入社員

　もう１０年くらい前になる
新人達もある程度会社に慣れてきてた時期、飲み会の帰り
途中まで帰りが同じ電車の女子新入社員と一緒になった
何故か話の流れで女の子の悩み事になった

電車の中は少々混雑している程度だった
その子は結構表には出さないが私生活はかなり大変だったようで
話の途中で「○○さん、あたし一人で部屋に居て急に寂しくなって
これ切っちゃったの。カミソリの刃５枚使って…」

といきなり腕をまくって傷だらけの腕を見せられた
そこにはおそらく一度だけではない古傷も数え切れないほど

周囲の乗客は視線は向けず耳だけこちらに注意を向けている
自分はただ「痛いこともう止めな」と言うのが精一杯だった

我が身を振り返ると
何と使えない新人だったろう
生意気な新人だったろう
やる気の無い新人だったろう

若いときはまだそれでも何とかやってこれたが年齢を重ねて新しい環境に入ると

行く先を知る人は誰も何も言わない