サスケの日曜日

小さな発見を楽しみに!

笑顔と湯気で

2008-09-06 12:27:25 | 暮らし
先日、枝元なほみさんの講演会へ参加しました。
 
横浜市出身の演者は、演劇活動の後に料理研究家への道に入り、
現在は料理番組などに出演し、ユニークな料理本を多数発行している方です。
 
友人と待ち合わせ最前列を陣取り席へ付くと、
演壇の脇には電子レンジなど調理器具の乗ったテーブルが設置されています。
「え~そこで調理するの?」
周囲からも同様のささやき声が。
開演時間となり、演者が登場しました。
枝元さんは、テレビ画面で拝見していた感じの通り、ふくよかで笑顔のすてきな 方です。
開始する際の独特の緊張感はなく、
演者のなごやかな雰囲気のまま、ふわっと話が始まりました。
話の途中、演壇の中(演者はココをドラえもんのポケットと言っていた)から
徐に黒釜炊飯器が出てきた、米とペットボトルの水をセットし、
皮付きのとうもろこしを剥き、包丁でそぎ落とそうとすると
「あら、包丁がありませんね、ちょっとカバンを」
袖からスタッフが幾つもカバンを抱えて登場し
「あの、どのカバンでしょうか?」(会場爆笑)
トウモロコシの炊き込みごはんのセット完了。
(あれ、調味料は?)

本日の演題は「食育」
「食育の中で大切にしてほしい事」を研究家として活動されて来た事などを通して話してくださった。

1、食べることは生きる基本。
 楽しく食べて欲しい。料理をする時も同じ。
 カ行ではなく、ハ行で。イライラしながら、「カァー!キーィ!クウ~・・・」 では、自然に味付けが濃くなる。「ハハハ~、ヒヒヒ、フフフウ、ヘヘヘ、ホホ ホォー」笑いながら楽しんで料理をすすめると五感も冴える。

2、料理を通して生きている実感を。
 現代は、実感の持てない時代。「食」も同様。料理が作られている実感が家族  に伝わって来ない。コンビニ、ファーストフード尽くめの生活など原因は様々。
 取材先で出会ったある小学校の校長先生の話。PTA役員のお母さん方に
 「本校は、今年度から月に一度お弁当の日を作ります」と伝えると
 「エ~~・・・」と言う長い長いため息が其処ココから聞こえて来たという。
 校長「確かに、お弁当作りって大変ですよね。でもそれはお家の方が作るのでは なくて、子どもが自分で作るんです。」
 初年度は高学年のみ実施。初めの内は家族が手伝う家庭もあったが、見てくれは 悪くても、「自分で作った」と言うプライドが子ども達の意欲を駆り立て、すぐ にどの子も自分で作って来るようになったと言う。子ども達はお弁当を作ること を通して料理に興味を持ち始め、「どうやって作るの?」「調味料は何?」「これは、なんて言う魚?」などと質問したり家族の会話も増えて来た。
料理に興味を持ち、実際に作ることによって料理のプロセスを理解し家族の愛情を感じ始めたと言う。
 
 話が進むにつれ、壇上には湯気が立ち上り、美味しそうな香りが会場に届いて来 ました。空腹を刺激します。

3、料理にもプライドを。
 イタリア人が最も自慢にする料理はマンマ(お母さん)の料理。家庭それぞれ  味が違い、家族はそれを自慢にする。和食は、世界各地で持て囃されているが、 当の日本人にはあまり人気がないようだ。日本には伝統的な調味料や、豊かな  「だし」がある。それらを使い料理を作ってほしい。

 講演が終わる頃には、・トウモロコシの炊き込みご飯
           ・豚バラと長ネギの酒蒸
           ・ブロッコリーのサラダ が完成しました。
 因みに炊き込みご飯には、解す際に塩を一振り。この方が少量の調味料でもご飯に染込まないので味だ際立つとのことでしたね。
 
 目からウロコが2~3枚、耳の痛いところもありましたが、「食育」を問い直すきっかけになりました。

 「教え込むではなく自然に感じさせる環境を作るところから」
 と言う枝元さんの言葉が印象的でした。
 
 会場からの質問は、
 1、用意された電子レンジは、何に使うのですか?
 2、今回、調理したものは誰が食べるのですか?
 
参加者のお里が知れてしまうような貧しいものでした。