立てば芍薬座れば牡丹踊る姿は薔薇の花?

古希から喜寿へ向かうGrandmotherが、つれづれなるままにシニアライフをつづります。

都内の環境放射線量調査

2011-03-26 22:18:33 | 日記
赤字で書いた部分 3月15日に放射線量が一気に増加しています。
この日は強い北東方向からの風が吹いていました。また、14日に
原発3号機の水素爆発があり、建屋が吹き飛びました。

1日単位の測定結果
(Environmental radiation levels in Tokyo / day)

線量率(dose rate)
μGy/h
(マイクログレイ/時間)(microgray per hour)
測定日
(date)  最大値(max) 最小値(min) 平均値(average)
2011/03/25 0.138   0.122 0.130
2011/03/24 0.144   0.129 0.137
2011/03/23 0.158   0.137 0.146
2011/03/22 0.166   0.123 0.137
2011/03/21 0.147   0.0470 0.0969
2011/03/20 0.0524  0.0405 0.0457
2011/03/19 0.0503  0.0426 0.0467
2011/03/18 0.0530  0.0443 0.0484
2011/03/17 0.0562  0.0460 0.0511
2011/03/16 0.161   0.0499 0.0719
2011/03/15 0.809   0.0318 0.109
2011/03/14 0.0377  0.0304 0.0341
2011/03/13 0.0383  0.0314 0.0343
2011/03/12 0.0384  0.0305 0.0342
2011/03/11 0.0376  0.0308 0.0341
2011/03/10 0.0372  0.0307 0.0338
2011/03/09 0.0379  0.0311 0.0343

http://vhost0148.dc1.on.ca.compute.ihost.com/mirror/ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/past_data.html

福島原発放射能による土壌汚染に対する今後の課題ついて(森敏)

2011-03-23 20:51:28 | 日記
昨日に引き続いて、森敏氏(東京大学農学博士・植物栄養学)のブログ記事から引用いたします。
http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-999.html
福島原発放射能による土壌汚染に対する今後の課題ついて

まだまだ福島原発の修復に対しては予断をゆるさない。恐怖の炉心溶融までにはいかないにしても、各号機からの放射能漏れの、完全封鎖には、相当時間がかかりそうだ。煙として目に見えなくても、常時確実に放射能は放出されている。これは、排出時のフィルターろ過装置が破壊されているので、例え、冷却に成功しても、各号機の建家全体が密閉形で再建されなければ、解決されない課題である。

これまで文科省、東海村、都庁などで発表されたどこのデータも、大気の放射線量の測定値であったが、昨日やっと福島原発沿海の海水の放射能汚染のデータが示された。しかしまだ土壌汚染のデータはどの放射線量測定機関からも示されていない。野菜や水道水からも放射能が測定されはじめたことから、当然土壌汚染放射能量も現在進行形で増加していると考えられる。


以下に現時点の放射能汚染土壌状況で野菜とイネについてどんな問題があるか、対策も含めて提言をしたい。今後の風評被害を避けるためにも、行政は次々と手を打っておく必要があるだろう。急いで書いたので、専門外の方には少し難解で硬い文章になってしまったかもしれないが、農家の方には理解できると思う。
    

1. 野菜栽培について

野菜に関して言えば葉物は直接葉に放射能降下物が物理的に降り注いでいる段階であったのだが、雨や雪が降るたびに、降下が促進され、葉が水でぬれて、植物体内への吸収が促進されていると考えられる。すなわち、完全に水で洗っても野菜の細胞内に吸収された部分は洗い出されないで、生食部位への放射能の残存率が高まっているのではないかと想像する。


さまざまな野菜に対する葉からのヨウ素、セシウム、ストロンチウムの経時的な吸収率に関する研究データはないのではないだろうか。早急に現地での野菜に対してやるべき調査項目であろう。

すなわち、実際に現段階でどれだけ洗えば何割の放射能が洗い流されるのか、テレビで放送されている「洗えば10分の一にまで放射能が減少する」というのは本当なのだろうか? 福島原発近県の農業技術研究センターは、野菜ごとに、それを水で洗った場合の生食部位への放射能の残存率のデータを至急示すべきではないか? そうすれば消費者は安心する目安を得るだろう。

農家が出荷停止を受けている露地のほうれん草を刈り取ったり、コンバインで土壌に鋤き込んだりしている写真が新聞に掲載されているが、そのことに対しても、可能な限りきちんと汚染の程度をしらべて、行政指導したほうがいいのではないだろうか。現在も放射能降下があるので、私見では、露地物は収穫せずに降下物が土壌に降り注ぐのを葉で受け止めさせておいて、枯れる寸前に根から掘り起こして、植物全体を収穫して、土地の一か所に、穴を掘ってビニールシートを敷いて、そこで腐らせるのがいいのではないかと思う。もちろんこの腐らせ乾燥した収穫物を最後に、行政が財政的な問題や技術的な問題で引き取れなければ、畑の一角に小面積の穴を掘って、埋め込み永久保存することもやむをえないだろう。

ホウレンソウなど、現在栽培中の露地ものの次の作付を何にするべきかは、難しい課題である。すでに土壌は上記の放射性核種で汚染されているのであれば、これらの放射能を土壌から収奪しなければならない。私見では、カリウムなどの吸収力の強いサツマイモなどつる性のものを植えて、葉を縦横に広げさせて、現在進行形の放射能降下物を葉に受け止めさせると同時に、すでに土壌汚染したセシウムやストロンチウムをイモに蓄積して土壌から収奪するのはいかがだろうか。イモ類はカリウム吸収力が非常に高い作物であるから少なくともセシウムは生物濃縮すると思われる(既知のデータはないのだが)。ただしカリウムを施肥しないことである。後に述べるように、カリウム欠乏にすればカリウムのトランスポーターが強く誘導されて放射性セシウムなどがカリウムと間違って吸収されることを期待している技法なのである。

これまでに何人かのブログで提案されている、ヒマワリや麻などの成長が早い浅根性の植物を植えるのもよいのかもしれない。いずれにせよ、少なくとも次の一作はいわゆる“捨てづくり”にせざるを得ないだろう。いわゆる濃厚汚染土壌(ホットスポット)を農地として再生するためには数作にわたって“捨てづくりを”繰り返す必要があるかもしれない。

放射性降下物のうちヨウ素131は陰イオンなので比較的土壌吸着が少ないので、雨が降るたびに土壌の下方に移行していく。だから、福島原発が放射能を漏出し続ければ雨が降るたびに土壌の全縦方向にわたって深いところまで、放射能が分布することになる。すなわち人参、大根、ごぼうなどの根菜類も生食部位が汚染されることになる。しかし、放射性ヨウ素の半減期は8日なので、時を待てば減衰する(1か月で30分の一、3か月で4000分の一になる)。であるから、この核種による根菜類の汚染は、もし福島原発からの放射能の漏出が止まれば、という条件付きではあるが、あまり問題にする必要がない。

除染対策が厄介な核種はセシウムとストロンチウムである。

放射性核種セシウム134や137は一価カチオン(陽イオン)であるが、これは土壌吸着が強いことが知られている。つまり、雨が降ってもあまり土壌の下方に洗い流されないで土壌表層にとどまって動かない。したがって,浅い根の作物によって強く吸収させる必要がある。ブログを検索すると「ひまわり」や「麻」がファイトレメデイエイションに適しているとうわさされている(ただし小生はその論文をまだ読んでいないので、このうわさの信頼性は保証できない)。

(注:ファイトレメデイエーションとは端的に言えば植物によって土壌の有害元素を吸収(収奪)させてその土壌を浄化することである。日本では農水省や大学による、カドミウム汚染土壌からのカドミウムの収奪をカドミウム吸収力の強いイネ自身によって行おう、というファイトレメデイエーション研究が遺伝子レベルから実用化に至る寸前まで急速に進展している最中である)。

セシウムは周期律表では1族のカリウム(K)やナトリウム(Na)の系列であり、植物に吸収されるときは、細胞膜のカリウムかナトリウムの輸送体(トランスポーター)を通して根や葉から吸収されると考えられる。土壌に降下した放射性セシウムの元素の濃度自体はほかの元素と比べれば、けた違いに低いので、セシウムは高親和性のカリウムトランスポーターで吸収せる必要がある。そのためには前述のように、カリウムを施肥しない方がよいかも知れない。植物をカリウム欠乏にすればこのトランスポーターの遺伝子が誘導されて、トランスポーター蛋白が増加してトランスポーター活性が増加することを期待しての技法である。ビキニの水爆実験やチェルノイブイリ原発炉心溶融事件のころは、まだ植物分子生物学が発展していなかったので、セシウムの元素のトランスポーター研究はまったくなされていない。しかし現在では植物の各種の主要な必須元素の吸収輸送体の研究は急速に展開しているので、以上のような類推(アナロジー)からの提案が可能になってきたのである。

一方、放射性核種ストロンチウム90は周期律表では2族のマグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)の系列に属するので、根の細胞膜にあるこの二つのいずれかの元素のトランスポーターを通して間違って吸収されると考えられる。ストロンチウムの土壌吸着に関しては、記憶が定かでないので、調べてまた報告したい。

先日のブログに紹介したように、ビキニ水爆実験の後、東大農学部農芸化学科(現在応用生命化学専攻)の肥料学研究室(現在植物栄養肥料学研究室)では放射性降下物(フォーアウト)の研究が三井進午教授のもとで天正清氏などが中心になって精力的な研究が展開された。これらの研究成果は1954-1965年の間の日本土壌肥料学雑誌に掲載されているはずである。小生は一昨年引退を決めて、自宅のすべての学術雑誌や書籍を廃棄処分にした。今になって、予想もしなかった日本で原発放射能漏れ事件が起きて、昔のわが出身研究室の文献を図書館で検索しなければならない事態になってしまったことが、非常にくやしい。