追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

アメリカ大統領選の行方

2024年08月08日 | 政治・経済

アメリカ大統領選の行方

*カマラ・ハリスの登場とトランプの自爆

11月5日、米国と世界の行方を左右する米大統領選が実施される。銃撃事件が幸いし、選挙情勢は大きく(トランプ優位)に傾きかけ、(ほぼトラ)(確トラ)とまで囁かれ始めたが、バイデンの引退、カマラ・ハリスの登場で勝負は一転、土俵中央に引き戻され、どちらかと言えば、トランプの勢いに急ブレーキが掛り始めた。バイデンを嫌っていた若者や非白人の有権者が一斉に息を吹き返した。(嫌バイデン・嫌トランプ)の閉塞感から解放された(ダブルヘイタ―)と言われた有権者達、とりわけ若者・女性や黒人・ヒスパニックは、こぞって選挙に目覚め、投票率は大幅に上昇するものと予想され、ハリス有利な展開となった。

トランプに付き纏う(嘘つき・ポピュリスト)のレッテルに加えて、今迄バイデンに対して(老人だ)とこき下ろしていたレッテルが、20歳も年下のエネルギッシュな相手の出現で、ブーメランとなって自分に跳ね返って来てしまった。これを反映し、好感度調査では無党派層中心に、ハリスが勢いを増し、トランプを大きく引き離しつつある。ハリス陣営は僅か一週間で308億円の選挙資金を集め、その内66%が政治献金は始めてという新しい層からであった。更には、選挙ボランテイアの申し入れが後を断たないとも報じられている。トランプはこりもせず、集会でハリスを口汚く罵り、こき下ろしているが、バイデンには通じても女性のハリスには完全な空振り、空回りで、逆にトランプ持ち前の(下品・粗野・女性蔑視・民族差別)を一層際立たせ、トランプの好感度を下げる結果に繋がっている。更に副大統領候補のヴァンスの存在がトランプの足を引っ張っている。元々コチコチの反トランプで、(暴行魔)、(頭の足りない大バカ者)とまでこき下ろしていたヴァンスであるが、共和党上院議員のポストを得る為、熱烈なトランプ支持者に豹変し、トランプのご機嫌を取る為、Maga(=Make America Great Again)を連呼、その発言はトランプを真似て過激極まりない。暴走車トランプに暴走エンジンを取り付けたような感じで、流石に共和党員の中にさえ批判的な声が出始めている。ヴァンスが自分の妻と同じヒンドゥのインド系移民であるカマラ・ハリスを「子どもがいない惨めな変わり者女」と呼んだ侮蔑の映像がSNSで拡散し、各メディアも大きく報道しており、トランプが火消しに躍起となっているが、共和党支持者の女性からも女性蔑視との非難の声が上がり始めている。過去の自分に対する非難の発言に気付いていないトランプは彼を評価しているが、次期大統領候補として疑問視する声が根強く、トランプ自爆の暴走エンジンに成り兼ねない。

 

ただしかし、2016年の選挙で総得票数でトランプを280万票も上回っていたヒラリー・クリントンが大統領選でトランプに負けた例もある様に、有権者が投じた総得票数で勝者が決るのではない。アメリカの大統領選挙では(首都ワシントン及び各州)に対し人口比等に応じて選挙人が割り当てられて居り(全米総合計で538人)、殆どの州(註)では、州得票数の勝者がその州の選挙人を総取りし、其の選挙人の過半数(270人以上)を取った候補が大統領選に勝利するシステムをとっている。(註;得票率で選挙人を配分する州は、ネブラスカ州とメーン州の2州のみ)。

大きな票田は、カリフォルニア州(55人)、テキサス州(38人)、フロリダ州(29人)、ニューヨーク州(29人)の後に、イリノイ州(20人)、ペンシルベニア州(20人)が続いているが、共和党を支持する傾向がある州は赤い州(red state)、民主党を支持する傾向がある州は青い州(blue state)と呼ばれて居る。 カリフォルニア州、ニューヨーク州は青い州で岩盤であるのに対し、テキサス州は赤い州となっているが、最近テキサスでは 民主党支持が伸びて居りトランプが此の州を失えば、勝利の可能性は、ほぼゼロとなる。

大統領選で最も注目されるのは、民主・共和両党の間で支持が揺れる州、いわゆる「スイングステート」と呼ばれる激戦州で、代表的なのは、選挙人29人を抱えるフロリダ州である。カトリック系の黒人やヒスパニックの人口が増えて居り、世論調査ではトランプの支持率が伸びているものの、ハリス登場で大きくスイングする可能性が出て来た。

又2016年の大統領選でトランプの勝利を決定づけた「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」の州も目が離せない。ラストベルトとは、米国中西部から北東部に位置する、鉄鋼や石炭、自動車などの主要産業が衰退した工業地帯の呼称で、ペンシルベニア州(19)、オハイオ州(18)、ミシガン州(15)、ウィスコンシン州(10)などが含まれるが、2016年の大統領選で、トランプはこの4州で勝利したものの、2018年の中間選挙での上院選で、共和党は民主党に敗北して居り、又直近の世論調査では、4州のうちトランプが優勢なのはオハイオ州(州都;シンシナテイー)のみ、しかも0.6ポイントの僅差である。激戦州でも都市部は民主党、農村部・郊外は共和党支持の傾向が強い為、トランプは郊外在住の女性、若年層、黒人、ヒスパニック系の支持を期待しているが、トランプの口汚い人種差別・性差別攻撃はトランプのコアの支持層(低学歴・白人)には受けても、支持を期待する層の離反に繋がりかねないし、共和党が発信しようとした「団結の訴え」にも反する為、ジレンマに立たされている。トランプは神妙に団結を訴える演説を始めても最初だけで、途中から軽薄な本性が現れ、全くそれに反する人種差別、性差別等の分断を煽る方向に走ってしまうのである。

 

更に民主党には、(ランニング・メイト=伴走者)とも呼ばれる副大統領候補には魅力的な人材が揃って居り、ハリス支持を加速させる事が期待される。ラストベルト・ペンシルベニア州の知事で、かつて州の司法長官も務めたジョシュ・シャピーロ氏(51)や、アリゾナ州選出の上院議員で、元宇宙飛行士のマーク・ケリー氏(60)などが有力候補だが、ペンシルベニア州(19)とアリゾナ州(11)は、共に激戦州で、2人は過去に選挙でトランプ氏が支持した候補に勝った経験がある。また、バイブルベルトのノースカロライナ州(16)のクーパー知事、ケンタッキー州(8)のベシア知事など合わせて7人の名前が挙がっている。

副大統領候補は最終的に下馬評に無かった異色の(ミネソタ州知事・ワルツ氏)に決まった。所謂地方の叩ぎ上げで、「裏庭のバーベキュー・パーテイーに居る様な気さくな人物」と評されて居り、(検事でシャープ)なハリスと(泥臭い)知事の絶妙な組み合わせと民主党応援者を活気づかせている。

 

トランプはバイデンを「老人で弱弱しい」と声高に攻め立て点数を稼いでいたが、全て水泡に帰してしまい、一から戦略の立て直しの必要に迫られているが、今のところハリスの悪口を言うことぐらいしか攻撃手段を見出せていない。更に、この10年民主党から離反した黒人層を、人種が同じハリスが呼び戻す可能性が極めて大きいし、トランプが在任中3人もの判事を送り込み、保守派で固めた連邦最高裁が女性の「中絶を選ぶ権利」を否定した為、キリスト教・福音派以外の女性から総スカンを食らって居り、この影響も大きい。福音派の連中もトランプの離婚履歴、強姦など不道徳行為に加え、トランプ支持のコアである低学歴白人層が求める下品で口汚い悪口は聖書の教えに反すると離反の動きも出始めている。自身も被害者となった銃規制も争点になるが、どう対応するのか難しい判断が求められる。

 

**南北戦争の危険

色々な条件を検討するとトランプが当選する可能性は極めて低いし、アメリカや世界の自由主義陣営にとって混乱回避という点で極めて好ましい結果と言える。

しかし前回大統領選で敗北を認めず「選挙は盗まれた」として、バイデン勝利を副大統領として認めないようペンス副大統領に求めたが、選挙結果の認定を阻止する権限は憲法上認められていないとして拒否したのに対し、トランプは演説等でペンスを激しく非難し、これに呼応した支持者が「ペンスを吊るせ」と処刑を呼びかける等、議会乱入事件に繋がった。ペンスは州兵を動員,暴徒鎮圧を図った。

今回の選挙はトランプにとって、何が何でも勝利し自らが抱える裁判を無効にすることも大きな目的であり、勝利の見込みが無いと判断すれば、どの様な手段をとるか充分注視・監視する必要がある。特にハリスの身辺警護も極めて重要である。

トランプは自分が負けるのは選挙が盗まれた時(不正があった時)だけであると言い続けて居り、3月自分が今回の選挙で負けたら、米国の自動車業界と国は血の海になると政治的暴力を扇動するような発言をしている。いまだに、前回の選挙は不正によって盗まれたとしてバイデン勝利の選挙結果を認めておらず、2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件は、無数の人がその映像を見ているにもかかわらず、事件が本当にあったかさえ否定してしまう。「覚えておいたほうがいい」と、トランプは言った。「皆さんが見ていることは......実際に起きていることとは違うのだ」と、そして恐ろしい事にそれを信じ込み狂喜する低学歴の白人が多数いる事である。

元々南北戦争以来、アメリカの政治と社会には分断の芽が大きくなりつつあった。1964年人種差別を禁じる公民権法が成立したその時から、社会の分断を強めて来たのである。人種差別から解放された黒人の人口増、移民の増加がそれに拍車をかけた。

1950年代のアメリカは、人口の89%を白人が占めた。アメリカ独立戦争に関わった(建国の父)達と同じWASP(白人・アングロサクソン・プロテスタント)が、権力や影響力のあるポジションを牛耳っていた。だが今、白人の割合は59%まで低下し、2040年には50%を割り込む勢いである。400年のアメリカの暦史で初めて、アメリカは白人の国であると言えなくなりつつある。どんな集団にとっても、長年享受してきた権力を手放すのは容易な事ではない。白人至上主義者たちが、「おまえらに取って代わられてなるものか!」と叫びながら星条旗を肩に行進しているのは、その典型的な例である。主流派としての優位を失うに従い、白人は怒りを募らせ、変化に反発するようになった。その集大成がトランプだ。なにしろトランプは、エリートや政治機構や民主主義を敵と呼び、民意を代表するのは自分だけだと主張してアメリカ底辺の低学歴白人層の喝采を取り付けアメリカの分断を煽り先鋭化させたのである。これにマスコミも加わった。1996年に開局したFOXニュースは保守色が強く、白人中心主義的で、場合によっては白人至上主義的な切り口でニュースを報じてきた。2015年以降は、トランプ支持を前面に押し出した。白人が支配していた時代から多様な時代へと変貌を遂げたが、それに伴い過激な言論が増えて、一部のトランプ支持者は自分にとって心地よい政治的・文化的報道だけを信じるようになった。

民主党はリベラル・都市部・高学歴・民族的多様性、共和党は保守的・農村部・低学歴・白人などの特徴を持つ政党に変化し、両党共に穏健派は姿を消し、両党のイデオロギー的な重複はなくなった。両極化によって政治は機能不全に陥いる可能性が強くなった。

19世紀中頃、奴隷制存続を主張するミシシッピー州やフロリダ州など南部11州が合衆国を脱退し(アメリカ連合国)を結成し合衆国にとどまった北部23州と戦争となった。これが4年間続いた南北戦争である。

大統領選に全てを択すトランプにとって敗北は破滅を意味しかねない。MagaではなくMtga(Make trump great again)の為には支持者を扇動し何をやりだすか、危険が付き纏う。

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クスっと来る話(続)…(2)

2024年07月22日 | 癒し

クスっと来る話…(1)…丸ビル

大阪の友人が久々に東京に出て来ると言うので、奮発し丸ビル36階のレストランを予約しアクセスも含め本人に連絡して置いた。ところが時間を過ぎても本人が現れないので、Lineで呼びだしたところ、東京駅南口改札を出て周りを見回したが丸ビルらしきものが見つからず、ウロウロしていたが、売店の人に聞いて事情が分かったので今向かっているとの事だった。成る程小生も含め大阪の人間にとって、丸ビルとは下の写真の通り文字通り丸いビルを指しており、恥ずかしながら私自身、東京の丸ビルが(丸の内ビル)だと気づいたのは比較的最近の話である。

ディスコ、ホテル、それに電光掲示板の3点セットで大阪人を魅了した円いフォルムの丸ビルは兎に角、印象が強い建物だった。特に来京した友人は過って子供達との待ち合わせ場所を左側の角と指定して仕舞った結果、何処か分からず子供たちの信用を無くしたという逸話の持ち主だった。

この大阪丸ビルは西梅田一帯の地主で、(大日本どケチ教)教祖を名乗り大阪財界のドンと言われた吉本晴彦がフジタ工業(当時)に依頼し建てたものである。吉本晴彦は元サントリー副会長の鳥井道夫、森下仁丹社長だった森下泰とともに「大阪の三ケチ」と呼ばれ、ベストセラーとなった『どケチ人生』 の他、『どケチ商法』『どケチ革命』『どケチ生活術』の著作で大阪人の心をつかんだ事でも有名であった。

昭和51年に開業した「大阪丸ビル」は大阪駅から徒歩3分、地上31階、高さ120メートルでデイスコブームの火付け役「マハラジャ」、「大阪第一ホテル」、多くのレストランや物販店等35のテナントが入居し、ビルの屋上には大阪駅のホームからも見える「電光掲示板」が設置され、ニュース・天気予報等の他に有料でメッセージ表示のサービスもあった。プロポーズ言葉を表示したカップルや、平成元年2月3日には、4時56分に合わせ、数字が「123456」と並んだ電光掲示板の映像が話題を集めた。大阪梅田のランドマークとしての役割を演じて来たこの丸ビルも老朽化もあり、昨年解体された。

クスっと来る話…(2)…その他

(何気ない男女の会話)…女性「どうしたの?深刻そうな顔して・・・」、男性「ちょっと悩んでんだ、まあほっといてくれよ。」、女性「ふーん、じゃあ話変わるけどさぁ、髪薄くなった?」、男性 「話変わってねーよ」

(就職活動での質疑応答)…面接官「学生時代後悔してることはありますか?」、俺「女性関係です。」 面接官「何があったんですか?」 俺「何もなかったんです。」 その場で内定をもらいました。社内恋愛禁止というルールは入社後に知らされました。

(パパと息子の会話)…日曜の昼下がり。パパと幼い息子のやりとり。息子「なんで僕には妹も弟もいないの?」 パパ「それは、お前が夜遅くまで起きてるからだよ」

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クスっと来る洒落た話(続)…(1)

2024年07月13日 | 癒し

クスっと来る洒落た話(続)…(1)

** 「月がきれい漱石説」 

文芸春秋に日本語学者・辞書編纂者である飯間浩明氏が担当する「日本語探偵」と言う人気コラムがある。7月号に「月がきれい漱石説」の源流は英語の文献らしいという解説記事があった。

夏目漱石が生徒に【日本人は直接的に表現しない、 「I love you」は「月がきれいですね」と訳しなさい】と諭したという逸話は、日系カナダ人言語学者、S・I・ハヤカワ氏の著書「行動における言語」に書かれた「直接的に表現しなくても分る」というのがその発端で、これを権威付けする為に漱石説の都市伝説が生まれたというものである。ハヤカワ氏の説明は「若い女性と散歩している時、彼女が(今夜は月が明るいね)と言ったとすると、その声の調子によって、気象観測をしているのか、キスを欲しいと匂わせているのかが分かる」というものであった。

しかし、声の調子で判断すると言うのも可成り難しく、あれこれ考え悩んでいる内に、駅に付いてしまったとか、引っ叩かれたという危険も伴う…こんな事を言うのもデリカシイーの無さを暴露しているのかもしれない。

しかしこの説を唱えたアメリカ人は日系2世との事である。コテコテの脂ぎったアングロ・アメリカンや、ラテン系のアメリカ人なら、こんな詩的な事は言わないだろう。英語で想いを伝える「愛の言葉💛鉄板フレーズ60選!!(50選と言うのもある)」に出てくる様な「 I love you」で始まる剛速球、直接的な表現で迫る筈である。ハヤカワ氏には恐らく日本人の精神性が残っていたのでは無いかと推定できる。

数年前、Buzz FeedRepoter伊吹沙織氏が「愛してると伝えたいけど言葉にできないあなたに。文豪100人が綴った"I Love You"の訳し方、あなただったら、どう訳しますか?」という記事を掲載された。そのトップバッターが上記の夏目漱石の月がきれいね説である。

2番目が、竹久夢二「話したい事よりも、何よりも、ただ逢うために逢いたい」、3番目が、芥川龍之介「2人きりで、いつまでも,いつまでも話していたい気がします。そうしてKissしてもいいでしょう。いやならば、よします。この頃ボクは文ちゃんお菓子なら頭から食べてしまいたい位、可愛い気がします。」何やら中学生の下手なラブレターを彷彿とさせ、文豪も恋に血迷った感じで興ざめである。最後に7番目に登場するW・シェクスピア「君を夏の日に例えようか、いや、君の方がずっと美しく,おだやかだ」

文豪と言われた人も、ことラブレターとなれば難しかったようだ。

芥川もシェクスピアも、こんな恥ずかしいラブレターが衆人の目に晒されるとは万が一にも考えなかったのだろう。文豪はつらいね。

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緑の古狸・小池都知事

2024年07月08日 | 政治・経済

緑の古狸・小池都知事

東京都知事選は、残念ながら投票締め切りの午後8時ちょうどに、緑の古狸の当選確実が報じられた。メデイアは古狸圧勝と、囃し立てるが2位石丸、3位蓮舫の合計得票数293万票は古狸の得票数291万票とほぼ同数、都民が古狸に100%信任を与えたわけではない事を示している。

しかし、古い政治打破に期待していた蓮舫は、敗れるべくして敗れた、予想通りであった。蓮舫が当初から東京都政をリセットし、若者重視を強く厳しい口調で訴え続けているのを聞いた時、これは危ないと感じたのである。主張自体は間違いではないが、東京都民も当然のことながら老齢化が進んで居り、道一つ隔てた埼玉県側から見ていると、東京都の老人は豊富な財源を基に、他県に比べて非常に手厚い保護を受けて居り、リセットと称して、強い口調で此処に切り込めば当然老人の反発を買う。案の定、高齢者の票は古狸に止どまった。しかも期待した若者や無党派層の票は蓮舫に流れず、降って湧いた様な石丸に持って行かれてしまった。石丸の立候補は他の野心を勝ちとる為の手段の一つ、売名行為であることは明らかで,端から当選を意識したものでは無い。従って主義・主張も殆ど無く得意とするSNSを使ったメデイア作戦に若者がまんまと乗せられたに過ぎない。過去にタレントの青島幸男が都知事に「乗りと勢いだけで当選」言うのと同じ構図である。この様などことなく胡散臭さ漂う人物が突然現れたのは、蓮舫やその勝利を期待する人間にとって災難だったといえるだろう。

もう一つは古狸の老獪極まりない戦術に立憲民主党全体が振り回されたと言う事だろう。古狸の取った戦術は一つは徹底的な逃げの一手、反対の多い明治神宮外苑・再開発や都庁・プロジェクションマッピング其の他の都政に関しては一切討論せず、失政の追及姿勢を空振りにさせたことである。

もう一つはステルス戦略である。「政治と金」を巡る犯罪集団自民党や公明党とは表立った接触は避けながら、後援会等の応援を確実に獲得するという戦略である。立憲民主党が『政治とカネ』の問題を都民に審判していただく」(安住国対委員長)としていた政治資金問題の争点化にも失敗した。一方蓮舫サイドは共産党の支持を得る政党主導の戦略をとった事だろう。特にあまり評判の良くない共産党前党主・志位氏が最後に応援に駆け付けたのが足を引っ張った可能性が強い。

現職を打ち破るためには、何をどうやって達成するのかという目標と方法を訴える必要があるが、理想を掲げても手段や方法が有権者に響かなかったという面も強い。テレビで橋下氏や泉氏が「現職で2期8年の方にチャレンジする以上は、早い段階でメッセージ、構図をつくらないとしんどかった。蓮舫さんは出馬表明したときに、イッキに色んなことをやっておくべきだったと思いますね」と、結果的に都知事としての自身の目指す政策に先んじて、政権批判に走ったことに敗因だと述べている。

蓮舫氏は日本の政界にとって貴重な人材、日本の政治浄化に今後も頑張ってほしい。

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Awe体験の勧め 

2024年07月06日 | 癒し

Awe体験の勧め 

脳学者の岩崎一郎氏が脳の使い方を変えれば、脳は磨かれ、豊かに幸せになれるとして、「脳磨き」の具体的方法を提唱した。

従来、脳と言えば、高次機能を司る「前頭前野」、記憶に関わる「海馬」、更にモチベーションに関わる中脳の「ドーパミン細胞」などが注目されてきたが、今迄余り注目されず、研究も進んで居なかった大脳のひだの奥の方にひっそり隠れていた「島皮質」呼ばれる部位、これを鍛えて脳全体をバランス良く働かせる事によって、人の人生を豊かにし幸せにする事が出来るということがわかってきたというのである。

氏の著書「科学的に幸せになれる脳磨き」の前書きに「職人が経験を積み重ね腕を磨いていく」のと同じように、特定の脳の使い方を続ける事によって脳は磨かれて行くとして、その方法が述べている。「脳磨き」とは、島皮質を鍛えるような脳の使い方を指し、具体的には下記の6つのポイントを挙げている。

①感謝の気持を持つ ②前向きになる ③気の合う仲間や家族と過ごす④ 利他の心を持つ ⑤マインドフルネス(脳トレ座禅)を行う ⑥Awe(オウ)体験をする 

 近年、脳科学の世界では、Awe体験をすることが人間にどのような影響をもたらすのかと言った研究が盛んに行われるようになった。 Aweとは強い敬意(=畏敬)や畏怖を意味するが、大自然や大宇宙の悠久さや広大さに接して、感動し自分の存在の小ささを感じ、或いは畏怖・畏敬を感じた時にAwe体験をすると言われている。Awe」は怒り・喜びの様な感情の一つと考えられているが、宇宙飛行士が宇宙から地球を見た時に等しく感じた強い感動、地球の美しさ、自分達人間は極めて小さい存在に過ぎないと言った謙虚な感情がその典型であると言われている。 

それではAwe体験は人間にどのような影響を与えるのか,幾つかの研究成果から次の様な事が挙げられて居る。   ①自分を小さく感じ、謙虚な気持ちになる。 小さなことへの執着(例えばエゴ)が少なくなり、自分一人のためではなく、他者のためになることをしたくなる。空間や時間の視野が広がり、現在自分がいる場所だけでなく、広い世界や未来のことを考える視点が生まれる 長期的な目標を立てて、物事を考えられるようになる インターロイキン6(体が炎症を起こしているときに出るもの)の数値が下がり、免疫の状態がよくなる。

米国・ウィスコンシン大学の研究で、脳にはアクセルとブレーキに相当する部位があり、アクセルが活性化すると前向きになり、ブレーキが強くなりすぎると、心が沈みネガティブな考え方になる事が分った。しかも脳のアクセルが活性化している人とはどの様な人か。調査の結果「自分の思い込みや執着を手放して、利他の心で世界平和や人の幸せをいつも祈っている」人の脳で、逆に、エゴが強いときの脳は、脳全体がバランスよく使えず、働きを鈍らせている事が分って来たというのである。 

ストレスや不安で心が弱っている時は何をすればいいか。こういう時こそAwe体験が役に立つが、誰もが宇宙から地球を眺める様な事が出来る分けではない。身近なところで、星空を見上げたり、山やビルの一番高いところに登り下界を見下ろしたりすると、小さなことで悩んでいる自分がバカバカしく感じるようになる。 大きな仏像、美しく大きな教会、そういうものを見ることも、やはり心が震える、これもAwe体験である。 どこかに出かけるのが少々面倒だという時は、夜空を見上げるのも良い。星の光は、長い年月をかけ宇宙を旅して辿り着いたものであるが、その悠久の旅路に思いを馳せたりしていると、自分の抱えている悩みやトラブルが小さなものに感じられるようになる。

心理療法のひとつに、「転地療法=health resort therapy」と呼ばれるものがある。ストレスによる気分の落ち込みや、それが原因で肉体的な不調をきたした場合、引っ越しをして気候や環境の違うところで暮らしていると、そのような不調から解放される事が多い。転地療法それ自体はAwe体験ではないが、その機会を増やす効果は大きい。

転地療法は温泉医療から始まった。ヨーロッパではローマ時代にスイスのバーデン(ドイツ語で温泉を意味する)でローマ兵士が傷を癒し、ゲーテやニーチェと言った文化人も保養に訪れたと記録されている。

日本でも日本書紀には、7世紀頃から、天皇や皇族が「伊予温泉」や「白浜温泉」へ出かけ、長期間にわたって滞在したとの記事が出てきており、有間皇子が長期間滞在した関西の奥座敷と言われた温泉地は「有馬温泉」と名付けられた。平安時代には清少納言が「枕草子」の中で「湯は、ななくりの湯(榊原温泉)、ありまの湯(有馬温泉)、たまつくりの湯(玉造温泉)」と三つの温泉を称賛して居り、彼女自身も転地療養し、Awe体験も経験したものと推察できる。
温泉のもたらす効果には①薬理効果、②物理効果,③転地効果の3つがあると言われているが、転地効果は心理効果とも呼ばれ、多忙な日常生活から離れ、自然豊かな温泉地に身を置くことによって五感が刺激を受けると、脳内のホルモンを調節する「内分泌系」や呼吸、消化といった生命維持活動をつかさどる「自律神経系」の中枢のスイッチが入るとされている。非日常の空間に身を置くことはストレス解消にもつながる。ネオン瞬く都会の夜とは異なり、星が空から降ってくる様な光景は当にAwe体験に繋がるものである。

この様な効果は温泉地に行く事だけではなく、物理的にも心理的にもストレスの原因と距離を置ける海や山に旅をすることが転地効果となって、ストレス解消になり、肉体的・精神的疲労にも効果を発揮することになる

註;(薬理効果)温泉を飲む、或いは肌から吸収され、薬物を飲むのと同じと考えられ,アルカリ性泉(胃粘膜保護作用),二酸化炭素泉(消化管のぜん動運動亢進による食欲増進作用),鉄泉(鉄欠乏性貧血改善)などが ある

  (物理効果);温熱効果・浮力効果・水圧効果

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