「このりんご、蜜がいっぱい入っておいしー!」とか、「蜜が入っているだけあって
甘いわね」などのお言葉を耳にすることがあります。もちろん、蜜の入ったりんごは
甘くておいしいのですが、実は「蜜」の部分自体が甘いわけではないということをご
存知でしたでしょうか?
実際に「蜜」がどのようにできるかと言いますと・・・
まず、りんごの木の葉っぱが日光を受けると「でんぷん」という栄養分ができます。
そのでんぷんが、水に溶けやすい「ソルビトール」という成分に変わって、枝を通り
りんごの実に送り込まれます。実に集った「ソルビトール」は、酵素の働きによって
果糖などに変わり、徐々にりんごの実全体に広がっていきます。
この段階では、まだ中央に「蜜」はできません。りんごの実全体に糖質がめぐり、完
全に甘くなると酵素の働きがだんだんと弱くなり、余分な「ソルビトール」が細胞と
細胞のすき間にたまる。これが、俗にいう「蜜」になるんです。
「蜜」は、そのりんごが「蜜があふれるほど甘い」という目印であって、蜜自体が甘
いわけではありません。また、りんごの品種によっては、蜜が入る品種と入らない品
種があるため、蜜入りりんごだけがおいしいとは言えません。現に「つがる」や「王
林」「ジョナゴールド」には、ほとんど蜜が入りませんが、おいしいですよね?
たまに、この間まで蜜が入っていたのに消えてしまったという事もありますが、それ
は蜜が実に散って吸収されということです。また、蜜の入ったりんごを切ったら、黄
色に変色し腐っていたと勘違いされる方もいらっしゃるかもしれませんが、それも蜜
が褐色に変色しただけで、腐っているわけではありません。
保存方法にちょっと気を配っていただくだけで、大丈夫。蜜入りのりんごは、温かい
ところに置いておくと、早めに蜜が消失したり、蜜の部分が茶色に変色したりするの
で、ポリエチレン袋に入れ、冷蔵庫で保存するようにすると良いでしょう。(息をちょっと吹きかけると”炭酸ガス”によって長持ちします。)
そして、おいしい目印は、ここにも。
お店に並ぶりんごの中に、表面がワックスを塗ったかのように光っているものがあり
ますよね?それは「油あがり」と呼ばれる現象で、りんごが熟すにつれて増える「リ
ノール酸」と「オレイン酸」と呼ばれるもので、決して害はありません。
「ジョナゴールド」や「つがる」「千秋」などに良く見られ、こちらもよく熟してい
る証拠ですから、ご安心していただけます。