薩摩おごじょ

薩摩狂句勉強中です。

フォト狂句

2015-08-16 07:20:31 | 日記

(人)
 猫舌が 湯気(ほけ)をふうふう 茶節(ちゃぶ)す飲(の)ん  
                7月7日投稿句



 これは自由吟ですから、課題にこだわる必要はないのですが、「茶節」が「甘酒」や「熱いお茶やコーヒーなどの飲み物」「料理」などであっても成り立つ句になっているところが少し気になります。やはり、自由吟であっても、写真が課題になっているわけで、出来れば写真の素材が句の中心になったほうが良いと思います。つまりこの場合は、「茶節」がもっと句の主人公になるような詠み方の方が望ましいと思います。

猫舌の人が、大好きな美味しそうな茶節を前にして、早く飲みたいのになかなか飲めない、そういったじれったい気持ちが想像される句でしたのでいただきました。

《蛇の足》
 フォト狂句の難しさは、素材(写真)と作品の絶妙な「距離感」にあると思われます。今までにも繰り返し述べてきましたが、「付かず離れず」が理想でしょう。句としては面白くても写真との関わりが薄ければ、素材としての写真が意味を成さなくなるのではないでしょうか。「フォト狂句は難しい」というのが正直な感想です。

※「しぼといの汗」について・・・最初「脂肪(しぼ)取(と)い」かと思いましたが、そうすると中七や下五との繋がりがなくなってしまいます。「しぼと」や「しぼとい」は大きな鹿児島方言辞典にも載っていませんし、私も初めて聞いた言葉でした。しかし、昔そこの地域で使われていたことは間違いないようですから、もっと多くの実例があれば是非教えてください。
なお、私見ですが、元句の意味を生かすとすれば、「絞(しぼ)いよな」と漢字をあてれば句意がはっきりするように思われますが、どうでしょうか。

※「こんこん」という言い方も初めて聞きました。辞典等によると「つ(ち)けもん、ちけむん」が一般的なようです。大きな辞典には「こんこん」も載っていました。大根の漬物は「でこんのつけもん」とありました。「沢庵」も含めて「つけもん」などと言っているようです。これは私が育った鹿児島市付近の言い方でしょうか。
どの地域で「こんこん」が使われている(いた)か教えてください。貴重なさつま語(鹿児島方言)として記録に残しておきたいと思います。

※「半夏至」の句について・・・桜子さんの説明の通りです。すこし付け加えれば次のように考えるとよいと思います。

「薩摩狂句は人間を素材にするのですが、自然の風物などを詠む場合は、擬人化するか人間とのかかわりを持たせればよい」と言われています。

したがって、純然たる風景描写は別として、人間不在の句はほとんど無いといってよいくらいです。

※「汗と一時(いっど)き」→「一緒(いっど)き」

※「お湯をもれっ」→(破調になるので)「湯を貰(も)ろっ」
   
                     文責 黒柱 先生