薩摩おごじょ

薩摩狂句勉強中です。

2015.6月

2015-07-01 09:17:37 | 日記
《選評と蛇の足》 黒柱先生 
フォト狂句に限らず、課題吟を詠む場合のもっとも重要なことは「課題そのものを詠む」ということだと言われます。別な言い方をすれば「課題に忠実に詠む」ということになります。このことに対して異論をはさむ人はいないようです。しかしながら、実際には、なかなかその通りには詠まれていないようです。
 
もう一度課題吟(自由吟は除く)の作り方の基礎・基本を再確認したいものです。
さらに、フォト狂句の難しさは、視覚的な印象が強く、文字による課題よりイメージが固定化しやすいという点にあります。以前にも書きましたが、写真と作品との距離のとり方が難しいわけです。

基本的な考え方としては「付かず離れず」が理想です。しかし、これが一番厄介です。個々の作品として考えれば、問題は無いのですが、特に今回は素材と句の関係がはっきりしない(薄い)句が多かったようです。どこかに、「ひょっとこ」か「おかめ」または「そのお面」が句の中で生かされているほうが「フォト狂句」では大事ではないでしょうか。

課題の絞り方は課題吟を詠むときの最重要なポイントです。フォト狂句は一般の狂句よりはるかに難しいと私は感じています。
今回は課題からやや離れた感じがあるのですが、狂句味のある句を選んでみました。

※湯治(と)じ行(い)たっ 汗といっどき 流(な)げた愚痴(ぐぜ)
                          6月16日投稿句



※便(たよ)や無(ね)て 銭(ぜん)に困れば 来(く)い電話          
                           6月16日投稿句


以上の二句も候補に挙げましたが、今までにも似た様な発想の句があり、やや斬新さを欠く感じがあり今一歩というところでした。
    

              
 うんん~~最近・・難しくなってきた・解らないうちが楽しかったんだよね。

2015.5月

2015-07-01 09:03:55 | 日記
(総評)黒柱先生

 今月も投稿者が少なく、寂しいですが、句会で研修する機会の無い方には何かしらお役に立っているのではという思いもありますので、今後も出来るだけ続けていきたいと思っています。
地元の皆さんも参加していただき、盛り上げていただければ有難いと思います。

.竹ん秋(あっ)食放題(くほで)食(く)わせっ子は育(そだ)っ



 「竹の秋」は「5月から6月に黄葉して落葉するため、その時期を竹の秋と言う。筍が大きくなった後なので、まるで子供を育てた親の竹が、疲れて枯れていくようにも見える」(ネット情報)そうですが、人間の子育てと重ね合わせて面白い作品になりました。


.服(ふく)買(こ)かて毎月(めつっ)追(お)わるい伸(ぬ)っ盛(ざか)い

 自由吟としてなら、共感を覚える句ですが、これも「筍」が見えてきません。
 写真に負ぶさりすぎの感じがしますが。「服(ふく)」→「服を」ですから「服(ふ)く」送り仮名の基礎を再確認しましょう。

.若(わ)け美人(シャン)い 負(ま)けん馬力(ばりっ)で踊(おど)い婆(ばば)


 元気溌剌なおばあさんの踊振りが目に浮かんでくるようです。わざわざ「若け美人に」としたところに対抗心を感じさせます。「美人(シャン)い」→「美人(シャン)に」

・部屋(へや)ん中(なか)花で埋まった子分限者(こぶげんしゃ)

 ご存知の通り「分限者」は方言ではありません。国語辞典にも「金持、財産家」などと載っています。また、西日本でも使われていたようです。ただし、「子分限者」という言い方は、はっきりとは分かりませんが鹿児島以外では使われていないようです。

 さて、この句ですが、下五が薩摩語(鹿児島方言)ですから、薩摩狂句には違いないのですが、上五と中七は共通語です。薩摩語に言い換えられるところは言い換えたほうがよいでしょう。例えば、中七は「花で埋(い)かった」など。

2015.4月

2015-07-01 08:56:14 | 日記
(総評)黒柱先生

今月は、いつもと違って、自由吟の方が多く秀句も多かったようです。
 ほとんど表記の間違いがなくなったことは、皆さんの句作力が確実にレベルアップした証拠だと思います。やはり、毎月こつこつ積み上げることの大切さを感じます。「千里の道も一歩から」。一歩でも踏み出して、歩き続けなければ目的地から近づいてくることはないでしょう。

(課題吟の部)
《選評と蛇の足》

1.土捏(つっこ)ねい 無口(むく)ちけなった 喋(しゃべ)い奴(ごろ)

 
 何かに夢中になると、ほかの事は忘れてしまいがちです。得意のおしゃべりを封印したこの粘土の魅力を余すところなく表現した秀句です。真剣な二人の表情がそれを物語っています。ほほえましい光景でもあります。


.物干竿(きもんざお) 竹馬(さんぎ)し変えっ 見栄を張っ

「物干し竿」のことを「きもんざお(着物竿)」というのは初めて知りました。面白い言葉であり、貴重な言葉でもあるようです。今ではほとんど使われていないのでは無いでしょうか。もし今でも使われているところがありましたらお知らせください。

竹馬のことは「さんぎし、さんげし」と言いますが、この言葉も今は薩摩狂句の中だけにしか生き残っていない言葉です。言葉の意味はさておき、素材の写真とこの句の繋がりが少々分かりにくいのでは無いかと思います。背の高い青年から想を得られたことは分かりますが。

・ゆるキャラも 嫁女(よめじょ)をもろて 青年(にせ)にゃ来(こ)じ 


 中七の「もろて」の解釈がポイントです。「貰う(も)ろて」または「娶る(も)ろて」と漢字を当てた方が分かりやすいでしょう。ここでは「貰って」という意味ではなく、「貰うのに」「貰っているのに」と解釈すべきでしょう。そうすると句の意味が分かってきます。特に農家の嫁不足の実情が浮かんで来ます。
もしくは、結婚できない現代の青年の「悲劇」(?)でしょうか。

2015.3月

2015-07-01 08:42:04 | 日記
課題吟の部)(総評) 黒柱先生

.卒業前(そっぎょまえ) 毎日(めにっ)ボタンぬ 
買(こ)け走(はし)っ

 
現在でも残っているらしい「第二ボタン」伝説(?)。この主人公はよっぽど「持てる」イケメンなのでしょう。誇張法によるユーモアが効果的な一句です。
    
       

今回の課題は、動きのある素材でしたので、いろんな発想がしやすかったようです。

課題吟の基本は、繰り返し書いていますように、発想の斬新さにあると言えます。もうひとつ忘れてならないことは、第一想を思い切って捨てる勇気を持つことでしょう。

さらに言えば、表現の工夫です。そのひとつが「擬人法」です。たとえば、「桜島に初日が当たっている」は、桜島が初日に「頬を染めている」などとすることです。擬人法の効用を改めて見直してみてはどうでしょうか。
  
もうひとつ、課題(写真)と句との距離の取り方の難しさもあらためて感じました。写真から離れすぎて何をテーマにした課題だったかが分かり難くなっている句もあったようです。フォト狂句は難しいです。それだけに面白さもあります。
.せせらしか 本心(ねす)が解(わか)らん 無口者(うんだまい)

 「せせらしか」は「じれったい」という意味だそうですが、初めて知りました。南薩方面独特の言い方なのでしょうか。「うんだまい」の句も数多く詠まれてきていますが、何を考えているのか本音が分からないという気持には多くの読み手が共感するところでしょう。
.どげんすち 調子(おだ)め乗(の)ったや 動(いご)っ五体(ごて)

 
「おだめ」は「おだめがおわん」「おだめがちご」という使い方はありますが、「いい気になって調子に乗る」という使い方は、辞典にはないようです。そのような使い方をする地域があったら教えてください。この場合は「調子(ちょ)しけ乗ったや」とか「調子(ちょ)しひん乗って」などの方が分かりやすいでしょう。

.飲酒(ぬ)じょらんて ストリート曲(きょ)き けのいパパ
  不勉強でお恥ずかしいのですが、「ストリート曲」という言葉があるのかどうか分かりません。素材の写真を見れば、バックでギター演奏している人がいるので、そこからの連想かもしれないと思いますが。

※漢字の当て方について;原則として、耳で聞いてもその漢字が分かるような漢字を当てる。「飲酒」→「飲」、「けのい」(適当な漢字を当てる)→け乗(の)い




2015.2月

2015-07-01 08:40:24 | 日記

(総評)黒柱先生

今回の課題は「人間」が出てこないので、それをどうやって人間と結び付けて狂句にするかが腕のみせどころになるでしょう。白い雲や樹木を何かに見立てる方法もあるでしょう。又擬人法を使う手もあります。いずれも人間との関わりが表現しなければならないという問題があります。もうひとつは、奇妙な形をした白い雲と下方の樹木という二つの主題があるわけですが、その二つを融合させることはなかなか難しいようです。この場合どちらか一方に焦点を当てざるを得ないのかもしれません。それぞれいろんな工夫がなされていて、面白く拝見しました。 今回も選評もどきに蛇の足を付け足して書いてみます。順不同です。

.接吻攻(キッスぜ)め 誘惑(さそ)た椿(つばっ)も
 赤(あ)こけなっ


 花の蜜を吸いに来る「目白(はなし)」は見ていてもとても愛くるしく、また飽きることがありません。椿と目白と取り合わせは、珍しいものではありませんが、その絡み方が、この場合面白いと思います。甘い蜜で誘った椿の方が目白の猛烈な情熱に頬を染めているとは言いえて妙です。素晴らしい一句です。「キッス」又は「キス」はカタカナのままでよいでしょうし、「さそた」も「誘(さ)そた」と読みのままでよいでしょう。

・雲(く)め代行(だいこ) 鯉幟(のぼい)ゆ上げた 
貧乏人(びんぶにん)


 
この句も、上五の意味が耳で聞いた時に分かり難いようです。文字で見れば分かるのですが。「鯉幟(のぼい)ゆ」という言い方にも違和感があります。「鯉幟を」という意味ですから「鯉幟(のぼ)ゆば」のほうが分かりやすいでしょう。「貧乏人」は「ひんじゃごろ」という言い方も出来ます。