薩摩おごじょ

薩摩狂句勉強中です。

2016.8さつま狂句

2016-10-10 20:18:29 | 日記

7.蚊も青年も・・・の句 蚊並みに扱われた青年どんの苦笑が目に浮かび面白い句になりました。
●(兼題「可愛(む)ぜ」)


※今月投句された中では次のような詠み方がよいと思います。

1 野菜(やせ)ん付(ち)た毛虫(ほじょ)は嫌(き)ろどん蝶は可愛(む)ぜ  

    蝶→蝶(ちゅちゅ)

余計なことかもしれませんが、何十年も旧態依然としていては、郷土文芸などとおこがましいことはいえないと思います。もっとレベルアップすることが、そして少なくともそうしようと「意識する」ことが求められています。さつま狂句は一個人の、しかも老人の単なる「遊び」ではないという自覚が必要です。これも年寄りの愚痴でしょうか。
                                              総評 黒柱先生


2016.7さつま狂句

2016-10-10 20:05:22 | 日記
似たような発想(組み合わせ)が多かったようです。「赤子と(天使の)笑顔」の取り合わせは、やはり平凡なものになりやすいので、思い切った発想の転換が必要でしょう。

句を見たときに、課題の写真が目に浮かぶことが理想でしょうが、まさに至難の業ですね。それと、送り仮名は難しいですね。耳で聞いたときは全く違和感がなくても、文字にすると間違いやすいものがあります。もう一度基本を確認しましょう。気付いたところを述べてみます。

※「貰う」は薩摩言葉では「もろ」になります。「ろ」は送りかなにしましょう。

※「ごて」は「五体」か「身体」が良いでしょう。「足腰」はそのまま「あしこし」となります。「発音されるとおりの漢字を当てる」のが原則です。

※「ひのひして」は「一日中」でよいと思います。

※「ゆるん」は「緩(ゆる)ん」。「る」は読み仮名です。共通語で考えると分かりやすい場合があります。

※「俺が子ん次」は「つぎに」という意味ですから「次(つ)ぎ」となります。「つぎ」という名詞の場合は「次(つっ)」となります。

※「けれっ」は①孵化する②生まれるの卑下語と辞典にあります。他人には使わないほうがよいでしょう


●(7月の兼題)「ビール」

※どこかの局と同じものを出してみました。夏にふさわしく、また身近なものなので期待しましたが、残念ながらこれといった傑出した句は見当たりませんでした。やはり200句を超える投句にはそれなりの秀句があるようです。

課題の「ビール」を句の中心(主役)にすることが一番大切だと思います。
「ビール」と「ビール好き」はまったく「別物」です。「ビール好き」は「人間」です。課題の言葉が入っていればよいわけではありません。課題の(ビール)そのものを詠むようにしましょう。

※ビールと焼酎を組み合わせるとどっちが「主役」か分からなくなります。「主役は一人」と考えましょう。

※字余りや字足らずの破調句になっていないか確認しましょう。最終的には「指折り確認」をする習慣を身に付けましょう。「ビールはまだかち」は8音字になります。この場合は最後の「ち」はなくてもほとんど意味は変わらないようです。

※薩摩狂句は「口語体」を使うのが原則です。できるだけ平易な言葉、表現を心掛けましょう。「維持すち」は「持たすち」で良いと思います。日常会話で使うかどうかを考えれば分かりやすいでしょう。
               総評 黒柱先生

2016.6薩摩狂句

2016-10-10 19:48:05 | 日記


留守番(ずしばん)な 猫んまかせた 田植え時(どっ)

※「猫に留守番」をさせたという表現が田植え時の忙しさを表わしています。

※「ぬき」には薩摩ことばでは三通りの意味があります。
①温かい②暖かい③暑い。それぞれふさわしい漢字を当てましょう。

※「猫」と「ネコババ」を掛けた句がありましたが、これは言葉遊びの一種です。掛詞や語呂合わせで笑いを取るのではなく、句の内容で笑わせるべきだというのが先人の教えです。

●(兼題の部「可愛(む)ぜ」)

 ◎公園い よちよちデビュー 真っ赤(け)靴(くっ)

1.形容詞なので「ぜ」は必ず「送り仮名」にします。もっとも間違いの多いもののひとつです。

2.「可愛い」といえばすぐ「孫」「猫」「娘」などとその後に名詞を付けがちですが、「孫や猫や娘」が課題ではありません。「可愛い」という状態を詠むことが大切です。組み合わせの平凡さや陳腐さを避けるためにも第一想は捨てる勇気を持ちましょう。どうしても「孫や猫」などを入れたければ「孫(猫)が可愛(む)ぜ」という表現にしましょう。また、「可愛い」という言葉を使わずに「可愛い」状態を詠むことが出来ます。詳しくは「にがごい誌」の7月号に書きましたので、参考にしてください。



                
                    総評 黒柱先生

2016.5さつま狂句

2016-10-10 19:43:32 | 日記


(地)
 貝(け)ん厄日(やっび) 集落(ごじゅん)総出ん 浜行楽(はまでばい)    扇香 5月11日投稿
 
(評)中七の表現に難点がありますが、上五と下五の組み合わせが良かったと思います。沢山の人に、貝が慌てふためいていると詠んだところが狂句らしさを感じさせます。集落(ごじゅん)の「ん」は「~の」の意味の助詞ですから、読み仮名にはなりません。共通語の場合と同じです。「ごじゅ」は「郷中」で統一されています。

総評 黒柱先生
●蛇の足

1.「風ん大息で」これでも間違いではないと思いますが、「ういっ」は普通「溜息」という漢字を当てます。共通語の「おお」は「う」と変化しますので「うかぜ→「大風」→「台風」と変わる場合があります。「おおあめ」や「おおじしん」は、それぞれ「大雨(うあめ)」「大地震」(うなえ)」となることはご存知の通りです。

2.孫がすっ やさし所作(しょさ)に 大人(おせ)目覚(おず)ん
この句は言わんとすることはよく分かるのですが、難点が二つあります。
 一つは、中六の破調、もう一つは下五の止め方です。破調句を避ける一番の方法は「指折り確認」、二番目は一句でも多くの句を「音読」してリズム感を身に付けることです。下五の「目覚ん」の使い方はこれでよいのです。「大人が目覚ん」といいたいわけですが、そうすると字余りになるので、「が」抜きになったのでしょう。
このような場合の「が」「は」は狂句では省略しないのが普通です。聞いたときに違和感があります。自由吟の場合は、意味が違ってはきますが「目覚(おず)ん大人(おせ)」と前後を入れ替えることが出来ます。しかし、この場合「目覚ん」が課題なのでそれもできません。(入れ替えると「大人」が句の中心になってしまうからです。)句跨りになりますが、たとえば「可愛(む)ぜ孫ん 所作いな大人(おせ)ん 方(ほ)が目覚(おず)ん」という詠み方もあるのではないでしょうか。

3.「久(さしか)ぶい」→「久(さ)しか振(ぶ)い」、「無能(ぼえ)」→「呆(ぼ)え」

4.下五が「目覚ん」以外の言葉で終わると、下五の印象が強くなって「課題が薄れて」くる場合が多いようです。課題の言葉が必ずしも下五に来る必要はありませんが(五七五の何処に入れても構いませんが)、それが句の中で一番強い印象を与えることが肝要です。
自由吟は特に問題はないようです。
                       


2016.4さつま狂句

2016-10-10 19:34:40 | 日記
4.何(な)んちゃ無(ね)が 最南端で 名が売(う)れっ

 「西大山駅」という名前を入れたいところですが、無理ですので「過疎ん駅(えっ)」とでもしたいところですが、これも分かりにくいでしょうね。難しいところです。上五は「何(ない)も無(ね)が」の方が分かりやすいでしょう。



登ったは良(え)が足(あい)が痛(い)て開聞岳(けもんだけ)
変(か)わらんた 友達(どい)の心と 開聞岳(けもんだけ)
 この句も開聞岳だけを対象にしています。「けもんだけ」という言い方もあるのでしょうか?

目覚(おず)んなよ目覚(おず)んとずんね酔漢(よくろんぼ)

 
 この句は「目覚んな」という否定と「目覚めば」という肯定が同時に使われています。課題が二つに割れることになります。「目覚ん」だけで作りましょう。
変(か)わらんた 友達(どい)の心と 開聞岳(けもんだけ)

都会暮(まっぐ)れも狂句で目覚(おず)ん薩摩弁
 
 「都会暮れ」は無理な言い方です。聞いたときに何のことか分かりにくいでしょう。「都会(まっ)暮(ぐ)らし」ならすぐ分かります。形に嵌める(破調を避ける)ためであっても無理な省略は避けましょう。また、「狂句」と「薩摩弁」は同じですから意味がダブル感じがあります。
ちょっと難しいかも知れませんが考えてみましょう

◯蛇の足

 薩摩狂句は目で見るだけでなく、耳で聞いても分かりやすい句の方が望ましいと思います。漢字を見れば分かる句でも聞いただけでは分からない場合もあります。ですから、できるだけ「発音と漢字は一致させる」ようにしましょう。

漢字を見なければ意味が分からないのは「漢字に負ぶさっている」句と言われ、先人の戒めるところです。無理な漢字の当て方は避けましょう。

                       総評 黒柱 先生