去年の夏、初めて寺地はるなの小説を読んだ。それは『ビオレタ』で、共感できる部分がたくさんあってとても嬉しくなった。他の小説も読んでみたいと思って図書館で手に取ったのが、この『川のほとりに立つ者は』である。あらすじも全く知らずに、ただ何となく題名と表紙の絵に惹かれて。
読後感は爽快ではあったが、同時に深く考えさせられた。繊細なテーマなだけに、単純にハッピーエンドというわけにはいかなかったのだろう。登場人物それぞれが抱える問題(心の深い闇だったり、強烈な劣等感だったり、自分の力だけでは乗り越えられない壁があったり)がずっしり重い。
解決策はあるのだろうか。何が正解なのか。正解は一つだけなのか、それとも複数あるのか。そもそも、絶対的な正解は存在するのか。そんな心もとなさ、不安を覚えながら、登場人物はそれぞれになんとか前に進もうともがく。
わたしは主人公の清瀬と恋人の松木2人の不器用で誠実な生き方が好きだ。言葉の行き違いが誤解につながり、2人の間に亀裂が生じる。しかし、2人は大きな試練を経験したことで、再び気持ちを通わせ合えるようになる。そのあたりを描写した箇所が印象的だ。
「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知り得ない。でも清瀬は水底の石がそれぞれ違うことを知っている。川自身も知らない石が沈んでいることも。あるものは尖り、あるものはなめらかに丸く、またあるものは結晶を宿して淡く光る。人は石を様々な名で呼びわける。怒り。痛み。慈しみ。あるいは、希望。」(222ページより引用)
別の意味でも、この小説はわたしの心にさざ波を立てた。一人は店長である清瀬の下で働く品川さん、もう一人は松木の親友である樹さんこといっちゃん。品川さんはADHDがあり、いっちゃんはディスレクシアがある。どちらも発達障害といわれるものだ。
アメリカで言語療法の仕事をしていたとき、発達障害をもつ子どもとそのご家族と関わった。自閉症スペクトラム、ADHD、学習障害、ディスレクシア。専門家に相談し、障害について周囲の人に理解してもらうことで「子どもが怠け者でも、問題児でも、頭が悪いわけでもない、と知ってもらえて、楽になった」というご家族が大半であったが、逆に「あの子は障害がある、という偏見の目で見る人もいて、不愉快だ」という人も少数ながらいた。
品川さんやいっちゃんは、2人が抱える難しさ(発達障害によって生じる)を知らない周囲の人々から、「仕事の出来ない、使えない人間」「文字の読み書きの出来ないバカな奴」と蔑まれ非難される。しかし、品川さんはこう言うのだ。障害を公表したら、一人の人間としてではなく、障害のある人間としてしか見てもらえなくなる、それは嫌だ、と。
アメリカでは、障害のある人への配慮は、「公平」を実現するためのものととらえる。例えば、ディスレクシアのある子が試験を受けるときは、文字が読めないことが不利にならないよう、別室で試験問題の指示が録音されたものを聞きながら解答する。それによって、文字の読み書き能力に左右されず、その子の真の学力を正しく測定できる、というものだ。
障害への向き合い方は人によって異なるだろう。何が正解かは誰にも分からない。ただ、わたしは難しさを抱える人々が「公平」な環境の下で生きていけるような社会になってほしい、と願っている。
そういう意味でも、この物語(2020年1月~10月の設定)から10年後の清瀬、松木、品川さん、いっちゃんに会ってみたい。
「千葉の海がとても恋しいです。」
千葉に帰省し36年が経ちますがまだまだ行った事ないお店や施設がありますね
特に食事処はたくさんあります
竹岡のアジフライの美味しい店があります
テレビにも何度か放映されてます
2階だけの小さなお店ですが美味しいですよ
こちらへお返事ありがとうございます。
千葉は三方を海に囲まれているので、
海鮮料理が美味しいですね。
お寿司もネタが新鮮だったし。
懐かしいです。
暑中お見舞い申し上げます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
小説
色んな方向から物事が見られるって、改めてすごい事だなあ〜とstorytellerさんのお話しで、思い返す事が出来ました❣️
ありがとうございますm(_ _)m
やはり読書は大事ですね📖
障害
どんな人の中にも大なり小なり見え隠れしているように思います‥もちろん私も(^人^)
あるがままを受け入れるって、まだまだ技がいりますね😅
良いお話をありがとうございます=(^.^)=
ひいこ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶💕
今日もふわふわ、いい感じでしょうか♪
余韻を楽しんでね!
読書も、心の琴線に触れる物語は、読み終えた後も
しばらく心と体が物語の世界を漂うんですよね。
あの感覚が好きで、読書は止められないのです。
登場人物に感情移入して笑ったり切なくなったり。
いいなあ。これも非日常、現実逃避!?
障害については仕事柄ものすごくいろいろと考えました。
そして、絶対的な正解はない。
一人一人違う。それでいいのかも、って思うようになりました。
コメントありがとうございました♪