我が石神井高校の現役の皆さんは、本来かなりの実力があるにもかかわらず、フリースローを失敗したために、惜敗の苦汁をなめてしまったようである。そこで、仕事柄、古書籍にあたることの多い小生は、フリースローのバイブルはないものかと、国会図書館内の数百万冊の書籍の森をの中を歩き回り、以下の約90年前のバスケ指導書に邂逅した。
フリースローの項目を開くと、なかなかなご託宣。素人でもあるまいし、と苦笑されるお方も多いと想像するが、このシュートフォーム、NBAでも現在活用するプレイヤーがいる。フリースロー向上の秘策の一つとして、参考までに以下に紹介することにする。
『龍球の原理』
米国ウヰスコンシング大学教授兼コーチ
W・E・ミーンウェル著
柳田亨・星野隆英 共訳
三省堂 昭和6年〈1931〉より
第十一章 フリー・スロー
フリー・スローの技術
フリー・スローの型は主に個人的のものではあるが、其の技術上の或原則は遵守しなければならぬ。足は充分に拡ろげ、腰のふらつかぬやうにして膝を曲げねばならぬ。著者は二人の殆んど完全なシュ―トを行ふ者が床上に球の着く程膝を曲げるのを見たことがある。概して大きい不必要な動作が少なければ少い程よいものである。此の理由から著者は膝を少し曲げるやうにコーチしている。雨足がラインに平行しやうと、或は一方が他より十二吋(インチ)〈=約30センチ〉も後方にあらうとも、身体の位置が自由且つ楽で足の拡ろがりが充分に身体を支へ、其の平衡を保つ限りは各人の隨意である。
球はリングに触れずにスッポリ入るやうにショートしなければならぬ。リングの前方を越すくらいに狙を定めるのが良い。球を手にした瞬間からショットの終るまでバスケットから眼を離してはならぬ。ショットは一動作中に行ふべきである。其の際両腕は出来る限り延ばす。スローを行う場合爪先で立つと効果ある事が多い。両手は球の下にお くよりも其の両端に附け、紐の所〈ボールはヒモで袋状の皮を結んでいたらしい〉は上向けにするか又は常に其の位置を変へぬやうにせねばならぬ。球は指で押へ、掌底が球に附かぬやうにして球を約十五呎(フィート)〈=約4メートル60センチ〉の 高さに投げよ。フリー・ショットには回転は必要でない。若し球が絶えず行き過る時は ラインより少し後ろ戻りすべきである。若し球がバスケットに達せぬ時は、更に膝を曲げれば球が届くやうになる。若し球が右へ行き勝ちならば、左足を後 に引き、反対に左の場合には右足を引くがよい。肩はバックボードと平行するやうにせよ。フリー・スロー・ラインに楽で球 を手にしたらば躊躇せずにショートせよ。それは、射撃専門家の言によると、最初の注意深い狙ひが最良のものであるとの理由によるからである。是は亦バスケットボールに於ても然うである。バスケットを見よ。球を見る勿れ。
フリー・スローの練習の際には各シュート毎にラインを離れ、次のショットを行ふ時再びラインに近づくやうにせよ。ライン際に立つて位置を変更することなく絶えずシュートするのはよくない。
唯一の相違駄である。 づくやうにせよ。ラインに立つて位置を變更することなく絶えずシュートするのはよくない。
此のフリー・スローの写真は平均八割の優秀なシュートを行ふ者である。足の位置のみ此の技術上の唯一の相違点である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます