25期石神井バスケの広場

都立石神井高校バスケットボール部25期OBが開設したブログです。近況、思い出などを、お気軽にご投稿ください。

【ちょっとひと休み】中原中也とバスケットボール      25期 中川 越

2024-06-24 12:59:16 | 日記


宿酔 〈ふつかよい〉
              中原中也
朝、鈍い日が照ってて
風がある
千の天使が
バスケットボールする。

私は目をつむる
むなしい酔ひだ。
もう不用になったストーヴが
白つぼく銹〈さ〉びてゐる。 

朝、鈍い日が照つてて
風がある。
千の天使が
バスケットボールする。

現代詩集 歴程篇 (角川文庫 ; 第343)
草野心平 等編 角川書店 1952


【ちょっとひと休み】文豪と青春とバスケットボール、そして初恋――織田作之助の場合―― 25期 中川越

2024-06-24 11:03:49 | 日記


バスケット部に所属していた文豪がいたようだ。
太宰治、坂口安吾と並び称せられる戦後無頼派の旗手の一人、織田作之助(大正2・1913-昭和22・1947)は、31歳のときに、私小説的手法により短編を試みた。その中で中学のとき、バスケット部に入部していたことと、それにまつわる淡い恋の記憶をつづっている。中学生の織田作之助が、「夕陽丘女学校」の籠球部の美しい少女に出会うことになる。そして…。淡い恋の出会いと結末を、以下に引用しておく。

「…ところが、去年の初春、本籍地の区役所へ出掛けねばならぬ用向きが生じた。区役所へ行くには、その町を通らねばならない。十年振りにその町を訪れる機会が来たわけだと、私は多少の感懐を持つた。そして、どの坂を登つてその町へ行かうかと、ふと思案したが、足は自然に口繩坂へ向いた。しかし、夕陽丘女学校はどこへ移転してしまつたのか、校門には「青年塾堂」といふ看板が掛つてゐた。かつて中学生の私はこの禁断の校門を一度だけくぐつたことがある。当時夕陽丘女学校は籠球部を創設したといふので、私の中学校指導選手の派遣を依頼して来た。昔らしい呑気《のんき》な話である。私の中学校は籠球にかけてはその頃の中等野球界の和歌山中学のやうな地位を占めてゐたのである。私はちやうど籠球部へ籍を入れて四日目だつたが、指導選手のあとにのこのこ随《つ》いて行つて、夕陽丘の校門をくぐつたのである。ところが指導を受ける生徒の中に偶然水原といふ、私は知つてゐるが向うは知らぬ美しい少女がゐたので、私はうろたへた。水原は指導選手と称する私が指導を受ける少女たちよりも下手な投球ぶりをするのを見て、何と思つたか、私は知らぬ。それきり私は籠球部をよし、再びその校門をくぐることもなかつた。そのことを想ひだしながら、私は坂を登つた。」(「新潮」昭和19年3月号「木の都」織田作之助より)

織田作之助は、バスケットが下手だった。美しい少女の前で恥をかき、バスケット部を辞めてしまった。もし織田がバスケットが上手で、美しい少女との恋が芽生えたとしたら、彼の運命は変化し、名作「夫婦善哉」は生まれなかったかもしれない。
ちなみに同作は、俊敏なバスケットボールプレイヤーのステップを彷彿とさせるスピード感に満ち、ユーモアもあふれているので、お勧めの一作だ。
※「夫婦善哉」全文は、こちらで見ることができます。
 https://www.aozora.gr.jp/cards/000040/files/545_33102.html  
「夫婦善哉」




超えられぬ壁,引き継がれる思い。2024年度東京高校バスケ男子インターハイ予選4,5回戦観戦記  25期 細田 浩

2024-06-23 06:38:54 | 日記
ちょうど1年前、勝利の期待を抱いて早朝の駒込駅前の商店街を歩いたのは梅雨入り宣言直後の雨の日曜日だった。時の流れの速さを改めて感じた。
最終的にインターハイ予選では東京都5位に入った東大和南高校に対して石神井は後半追い上げたが10点差の敗戦となり。3年生の高校生活ラストゲームとなった、事前のスカウティングもでき万全の態勢で試合に臨んだが勝利に結びつかなかった。悄然として帰途に就いた記憶がある。

1年後の今日も勝利の期待を込めて見覚えのある商店街を抜け試合会場の聖学園高校へ向かう。
さて今日はどのような心境で帰途に就く事かになるのか。

本日は、インターハイ予選4回戦(Best32)と5回戦(Best16)の2試合が組まれている。
石神井は、第4試合で聖学園高校、勝てば中1試合を挟み第6試合で豊島学院高校との対戦が予想される。ダブルヘッダー。

■2024(平成6)年度インターハイ予選4回戦

2024(令和6)年6月9日(日)   会場:聖学園高校

聖学園高校は今大会の勝ち上がりを見ると1回戦、昨年インターハイで敗れた大東文化大第一に雪辱を果たし、2回戦は八丈高校に100点ゲーム。3回戦では都片倉高校に2点差で接戦を制し勝ち上がって来ている今大会上昇機運のチーム。対戦は初めてだがこれまでの実績から見て石神井の優位は変わらないと思えた。

石神井高校vs聖学園高校 会場:聖学園高校
戦評
機動力のあるポイントガードとサイズは無いがインサイドで頑張るフォワードがいる。サイズは無いがスターターがスリーポイントシュートを打つ能力はあるチームであったが、石神井のオフェンス陣の好調なシュート、ディフェンス、オフェンスリバウンドを制して順調にスコアーしてゆく。ベンチメンバー2年生№8スリーポイントを決める。前試合の終盤で登場し2本スリーポイントを決めていた。サイズや基礎体力はこれからの選手だが美しいフォームをしている
2Pセンター№10、3ファウルでベンチへ下がる。もう1人の2年生センター登場。高身長を生かしリバンドを奪取してゆく。2試合の為、スタメンを温存しながら試合を進める。
4P残り5分から2年生メンバーで戦う。新チームメンバー。パスワークが上手くボールがよく動く。
聖学園、ホームコート観覧席最後まで大声援、キャプテン№4気合のプレー連発。最後まで手をたたきチームメートを鼓舞、応援に応えていたのが印象的だった。

○都石神井高校88:60●聖学園高校
1P 27:14
2P 17:17 
3P 24:16
4P 20:13
石神井高校勝利Best32

2024(令和6)年度インターハイ予選5回戦 2024年6月9日(日)

都石神井高校vs豊島学院高校 会場:聖学園高校


豊島学院高校
石神井チームが昨年11月新人戦支部大会で完敗した相手。この敗戦により12大会連続本大会出場が叶わなかった。
昨年のチームから今大会迄4大会連続Best32に入っている上昇機運のチーム。
チームの特徴としては、スーパースリーポイントシューターの№7と身長は180㎝程度だがパワフルなインサイドプレーのキャプテン№4の二枚看板のチーム。他センター№2、もう一人のインサイドプレーヤー№5他サイズは無いが機動力のある豊富なベンチメンバーが運動量で試合を進めるチーム。
事前に観戦したゲーム、新人戦の当時の少し荒削りのチームが攻守共にパワフルにアップデートされたチームとなっていた。

石神井にとってやはり難敵である。
№07、№4いずれかを無力化しオフェンス力を半減させ、リバウンド勝負に持ち込めば石神井の勝機はあるとみていた。
ベンチメンバーが少ない石神井がメンバー豊富な豊島学院に対し40分間スタミナが持つか、消耗戦に耐えられるか。

両校の応援団で会場は満杯。石神井、保護者だけではなく現役女子部員、若いOBなど近年の応援団の構成の変化に気づく。一方豊島学院、保護者の他、一般女子高生が目立つ。

1P
石神井9:23豊島学院
両チームマンツーマンディフェンス。
石神井№6フェイスディフェンス気味に№7に付くもピックプレーで№7が瞬間フリーにさせた瞬間スリーポイントシュートを打たれスコアーされる。
もう少し徹底してマークして孤立させたいが。
インサイドも豊島学院№4にスコアーされる。点差広がる。
残り7分№4アウト温存へ。№5投入。
石神井、残り6分ゾーンディフェンスに変更。
№7外郭、№2,5のインサイドの攻撃変わらず。大会期間中類を見ないフィジカルを前面に出すタイプの選手とのマッチアップに戸惑っている感が強い。石神井№10、ペイントエリア内ジャンプシュートで対抗するも点差広がる。


2P
石神井25:51豊島学院
(16:28)
豊島学院冒頭から№4投入。
石神井オールコートゾーンプレス。
効果あるも、セットオフェンス時にやはり№7、№4を阻止できない。
№7ペネトレイトからスコアーリバースシュート。得意のパターン。

3P
石神井41:59豊島学院
(16:8)
石神井ディフェンス強度強める。№7、№4へのマークに集中。石神井インサイドヘルプディフェンスの強度上がり豊島学院攻め手欠く。
石神井の速攻、ミドルシュート、№6のスリーでやっと追撃モード。

4P
石神井53:74豊島学院
(12:15)
両校必死の攻防。豊島学院次々フレッシュなベンチメンバー繰り出す。
石神井シュートミスが多くなる。残り4分24秒11点差、逆速攻で2本立て続けにスコアーされる残り4分、石神井46:61豊島学院。15点差。
石神井が奮闘するも、石神井のリバウンド、シュート決定率が落ち、豊島学院の豊富な運動量が上回った。

●石神井高校53:74○豊島学院
9:23
16:28
16:8
12:15
後半の頑張りが前半からあればもう少し接戦に込めたのかなと思うが、21点差。
新人戦の雪辱はならなかった。
新人戦当時の両校の対戦は、24点差。どちらもダブルヘッダーの2試合目。
試合経過は今回と逆で、前半接戦で後半引き離される展開であった。
両校、同じように弛まぬ気持ちで、日々練習に打ち込み実力をつけてきたのであろう。どのチームも目指す高みは同じ。残念であるが、豊島学園を凌駕する力は生まれなかった。公式戦で同一校に2回対戦することは珍しくないが、今回の石神井チームは豊島学園が壁となって立ち塞がれた感が強い。

豊島学院の次戦は石神井が関東予選、13点差で敗れ関東大会に歩を進めた日大豊山高校。
チーム力は算数ではないというが、あえて石神井との対戦結果から両校の力を計算⁉すると豊島学院が8点差で勝利となるが・・・。Best8決めは、接戦になることは間違いない。

3年生の活動はこれで終わり。最後は力尽きた感はあるが、少人数で良く戦った。
新人戦で敗れた豊島学園と関東大会予選で敗れた日大豊山高校に高校生活最後の大会で雪辱できたら3年間頑張った3年生の栄誉になると思い願ったが叶わなかった。
新人戦の頃はか弱く、どうなることかを心配だったが、長足の進歩を遂げた。
チーム構成を考えると今年は3年生メンバーが少なく、下級生が複数名スタメンに入る難しいチーム構成となった。しかしキャプテンが中心となり戦う良いチームになった。公式戦2大会連続Best32は誇れる立派な成績。お疲れ様。

新チームに望むことは、圧倒する力を養うこと。
最後までハードワークできるチーム力をつけること。
幸い引退するチームに比べ1,2年生メンバーが多く多彩である。
部内の競争だけではなく、日々研鑽している他都内の全高校バスケ部員を意識して、秋の新人戦時に都内の全バスケ部員のどこの位置に自分を置くのか高い目標を定めて夏に力をつけて欲しい。


何ともやりきれない思いで駅までの道すがら、中川氏の投稿『石神井体育祭を見学』6/3を思いだしていた。
高校生のリレー競技でバトンが次々渡ってゆく様を見てバトンで受け渡されるものって何だろう?という一文を思いだしていた。
1年前も敗戦試合で悄然とした思いで帰途に就いた記憶がある。若い後輩部員たちがあたかもリレーのバトンを渡すように新チームに引き継いでゆく。
中川氏いわく『50年前の僕たちの足跡に50年後の若人の足跡が重なる。そして来年も再来年も永遠に足跡は重なるだろうなと思い、理由の分からない嬉しさに包まれた』とある。成績に一喜一憂することなく、このやりきれない思いなんか歴史の大河の泡沫に過ぎないか。石神井高校バスケ部が受け継がれる歴史の流れに身を置き、バトン渡しの瞬間を目撃する喜びをかみしめなければいけないのかなと自問して夕暮れの賑わう商店街を帰途に就いた。


【ちょっとひと休み】100年前のバスケットボール レトロ写真館 シュート編  25期 中川 越

2024-06-21 11:31:48 | 日記
100年前のバスケット。だが、私がバスケットを始めた頃には、45年前のバスケットの風景だった。つまり、私が始めた頃の様子と、そんなに違わない。ネットは鉄の鎖で、スタンドも木造だった。シュートが入ると、「シュパッ」と音がするのではなく「ジャリッ」という音がした。