背中に猫が乗った。その重みで目が覚めた。
目が覚める前、そろりとなにかが腰に触れるのを感じていた。
はじめての予感に、体を動かさないようにと緊張した。
少しばかり爪を立て背中に登りきると、ぐっと力を込めた四肢でバランスをとり、よさ気な足場を決めるとすぐにそれは背中一面の重みとなった。
ぐるぐると小さく喉を鳴らすのを背骨で聞いた。
いくぶん重いがうれしくて動けなかった。
季節が巡りある夏の午後、彼女は珍しく物言いたげにしばらくぼくをじっと見つめたあと、いつもの窓から出かけて行き、それきり戻らなかった。
ねえ、あのときの温もりが今でも時々ぼくをなぐさめてくれているのを、君は知っているのかなぁ。
目が覚める前、そろりとなにかが腰に触れるのを感じていた。
はじめての予感に、体を動かさないようにと緊張した。
少しばかり爪を立て背中に登りきると、ぐっと力を込めた四肢でバランスをとり、よさ気な足場を決めるとすぐにそれは背中一面の重みとなった。
ぐるぐると小さく喉を鳴らすのを背骨で聞いた。
いくぶん重いがうれしくて動けなかった。
季節が巡りある夏の午後、彼女は珍しく物言いたげにしばらくぼくをじっと見つめたあと、いつもの窓から出かけて行き、それきり戻らなかった。
ねえ、あのときの温もりが今でも時々ぼくをなぐさめてくれているのを、君は知っているのかなぁ。