真っ暗な新月の夜、ぼくはポストに手紙を入れる。
星が重なるその影に、むこうと繋がる道がある。
このポストはその道への扉。
星が重なるその影に、むこうと繋がる道がある。
このポストはその道への扉。
黒い夜のどこかでその赤はひっそりと輝くけれど、見つけられるのはほんの少しの偶然と、強く信じる光が重なったとき。
どこにも誰にも届かない手紙を書く。
見切りをつけるのとは違う。ふんぎりでも、切り替えでもない。ただ、ぼくの気持ちをどこかに、だれかに、届けたかった。
何処かに、誰かに。
随分歩いた。夜道に浮かぶ赤いポストを見つけたとき、ぼくは震える思いで手紙を握っていた。
どこにも誰にも届かない手紙を書く。
見切りをつけるのとは違う。ふんぎりでも、切り替えでもない。ただ、ぼくの気持ちをどこかに、だれかに、届けたかった。
何処かに、誰かに。
随分歩いた。夜道に浮かぶ赤いポストを見つけたとき、ぼくは震える思いで手紙を握っていた。
なにに震えたのか。嬉しいのか、不気味なのか。
宛名のない封筒を、そっと差し入れる。
向こうから、スッと引かれるようにぼくの手から手紙ははなれた。しばらくその感触が手に残って、ポストの前に突っ立っていたら、赤い輪郭の光がふっと消えた。
閉じた。
もう、普通の街のポストに戻ってしまった。
真っ暗な新月の夜、ぼくはポストに手紙を入れる。
星が重なるその影に、むこうと繋がる道がある。
閉じた。
もう、普通の街のポストに戻ってしまった。
真っ暗な新月の夜、ぼくはポストに手紙を入れる。
星が重なるその影に、むこうと繋がる道がある。