新月のサソリ

空想・幻想・詩・たまにリアル。
孤独に沈みたい。光に癒やされたい。
ふと浮かぶ思い。そんな色々。

空を見る

2024-07-13 16:22:40 | Short Short

昼休み、ぼくはジャングルジムの上から空を見ていた。
友達はみんな、かけっこをしたりボール遊びをしているけど、ぼくはこうして空を見ている方が好きだ。だって空は文句も意地悪も言わないし、ぼくの話を黙って聞いてくれる。それに何よりとってもきれいだ。

今日の空は青くて青くて、ずっと向こうまで全部が青い。
眩しくて吸い込まれそうな青を見ていると、不思議な感じになる。ふわっと体が浮くような、でも体じゃなくてぼくの気持ちだけが持っていかれるような。

明るく光る空に星は見えない。それってつまり、地球が光って見えているのかな。
太陽みたいに燃えてないから、太陽に照らされているだけだから、その光は宇宙じゃぼくみたいに弱々しくて、一瞬で暗黒に吸い取られちゃって、何光年、何万光年、なんて話じゃないんだろうけど。
はじめてエンタープライズで旅立った時、カーク船長はどうやって地球に戻ってきたんだっけ。すごいなぁ。まぁぼくはピカード艦長が好きなんだけどね。

でもさ、遠くて遠くて想像もつかないくらい遠くはなれた場所で、今ぼくが見ているこの瞬間の光を見つけてくれる誰かがずっとずっと遠い未来にいてくれればいいのになって思うんだ。
そんなことを思うとき、ぼくはとってもうれしくなるんだ。

きみはどうかな。



コメント
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