眠ってしまっていた。
暗くなった部屋で目を開けると、開いたままのブラインドから夜の光が点々と見え隠れし、暗い部屋を彩っていた。
春はまだ遠く、寒々しく物悲しいと感じていた夜の部屋は、ぼくの勝手な思い込みだったんだな、と光を見つめながらぼんやり思う。
この部屋は日中の陽射しに明るく照るだけでなく、目を凝らせば、そのままの美しさをぼくに与えてくれる……。
否。そうじゃない。
頭の中の霞が晴れるようだった。
暗い冷気に満ちた中に差しかかる明かりは、凛と静かに独特の煌めきでもってぼくに迫る。
暗くなった部屋で目を開けると、開いたままのブラインドから夜の光が点々と見え隠れし、暗い部屋を彩っていた。
春はまだ遠く、寒々しく物悲しいと感じていた夜の部屋は、ぼくの勝手な思い込みだったんだな、と光を見つめながらぼんやり思う。
この部屋は日中の陽射しに明るく照るだけでなく、目を凝らせば、そのままの美しさをぼくに与えてくれる……。
否。そうじゃない。
頭の中の霞が晴れるようだった。
暗い冷気に満ちた中に差しかかる明かりは、凛と静かに独特の煌めきでもってぼくに迫る。
今この部屋はぼくに、「ひとつ」許し、新しく別の姿を見せたのだと閃きが言った。
もう一度深くその光景を目に刻む。
それからいつもの部屋にするためにブラインドを閉じ、カーテンを引いた。いつもの間接ライトを点ける。カチ、カチ、カチ。三つのライトが部屋を灯す。一瞬で日常に戻る。
部屋の奥に目を遣ると、シンクに活けたグラジオラスが、零れた光に薄く映っている。
まんざら日常も、美しい。
そうやってぼくはこの部屋に馴染んでいく。
そしてときどき、訊ねてみるんだ。
ねえ、出口は、どこにあるの?
もう一度深くその光景を目に刻む。
それからいつもの部屋にするためにブラインドを閉じ、カーテンを引いた。いつもの間接ライトを点ける。カチ、カチ、カチ。三つのライトが部屋を灯す。一瞬で日常に戻る。
部屋の奥に目を遣ると、シンクに活けたグラジオラスが、零れた光に薄く映っている。
まんざら日常も、美しい。
そうやってぼくはこの部屋に馴染んでいく。
そしてときどき、訊ねてみるんだ。
ねえ、出口は、どこにあるの?