まだドアの取っ手に手をかけて、そっと握っただけなのだけれど。
少しずつノブを回して、ガチャっと音がしたら、少しだけそのドアを押してみよう。少しだけ。
そして、その隙間から覗いた景色が心地よければ、またもう少しだけ押してみよう。
時間をかけて、ゆっくりでいい。
目の端に異変を捉えた。
顔を向けると晴れたブラインドのまにまに、ちらつくものが見えた。
雪だ。
窓のそばへ行き、ブラインドを開く。
晴れた光の中を粉雪が散り乱れる。
綺麗だ。
深く息を吸い、目を見開く。
向かいの高架線路を列車が行くと、光が陰った。
過ぎた車両は、粉雪も一緒に連れて行ってしまった。
清々しく、とても寒い。
少しずつ、時間をかけて、ゆっくりでいい。
違ったら、気づかれないようそっとまたドアを閉める。それだけのこと。
そのときは、光に散ったあの粉雪を探しに出かけよう。
春は、まだ先だ。
少しずつノブを回して、ガチャっと音がしたら、少しだけそのドアを押してみよう。少しだけ。
そして、その隙間から覗いた景色が心地よければ、またもう少しだけ押してみよう。
時間をかけて、ゆっくりでいい。
目の端に異変を捉えた。
顔を向けると晴れたブラインドのまにまに、ちらつくものが見えた。
雪だ。
窓のそばへ行き、ブラインドを開く。
晴れた光の中を粉雪が散り乱れる。
綺麗だ。
深く息を吸い、目を見開く。
向かいの高架線路を列車が行くと、光が陰った。
過ぎた車両は、粉雪も一緒に連れて行ってしまった。
清々しく、とても寒い。
少しずつ、時間をかけて、ゆっくりでいい。
違ったら、気づかれないようそっとまたドアを閉める。それだけのこと。
そのときは、光に散ったあの粉雪を探しに出かけよう。
春は、まだ先だ。