入学式

　またこの季節か……

　わたしは溜め息をつく。

　入学式……　
　
　最初の頃は色々と感慨深いものがあった。こちらも気合が入っていた。新たな子供たちと作って行く学校生活に胸を躍らせたものだった。

　が、しかし……

　今では、単なる春のルーティンワークの一環になってしまった。青臭い子供たち。校長や貴賓客らの判で押したような話。マンネリな式次第。あくびを噛み殺すのに必死だ。
　最近では、親がカメラを片手に我が子を撮影しようと必死だ。そんな非常識に対して注意する事もない。
　昔と違って、子供たちの質も変わってきているようだ。誇らしげと言うよりは面倒くさそうに見える。
　さらに子供の数も減ってきている。かつては二桁のクラスがあったものだが、今では一桁の前半にまで落ち込んでいる。

　もう、辞めたい……

　わたしは思った。そんな時、ちょうど良いタイミングで話があった。

　廃校だ。

　学校として建てられた自分の身を嘆いていたわたしは、やっと役目から解放されるのだ。