先日、文部科学省による東京23区の定員抑制の問題に触れました。また、東京一極集中の問題と大学の問題は関係していることも触れました。現状においては、一極集中が学生の都市部の大学への集中を生み、それがまた次世代の一極集中を増長しています。都市部の大学はそのスパイラルを切る必要があります。
ただし、東京23区の定員抑制策は、都市部と地方の大学格差及び東京一極集中の問題を解決するための根本的な解決策にはなっていません。では、一極集中のスパイラルを切るために、大学、特に都市部の大学は何をすれば良いのでしょう。
まず地方自治体と組み、地方創成の一翼を担うことも必要でしょう。たとえば、都市部の大学が地方の自治体と協定等で手を組み、大学は地場産業の活性化や産業創出に貢献するとともに、地方の自治体は都市部の大学の学生の就職支援に協力するのです。地方を離れる学生の多くは地元に戻りたいけれども戻れないのが実情です。学生にとっても進学した大学が、自分の地元と密接な関係があればうれしいでしょう。また、地元の地方創成に参加する機会があるかもしれません。さらに、それが縁で地元に就職できるかもしれません。すでに、自治体と積極的に協定を締結している大学もあります。また、私立大学連盟の調査(「私立大学の地方創生の取組」)では、加盟大学の約7割がすでに地方創生に向けた取組を行っているというデータもあります。ただ、インパクトのある取組という点では、まだまだこれからでしょうか。今後も継続することが重要です。
なお、都市部の有力大学の合格者の割合のうち都市部の学生割合が増えている現象(東京ローカル化)が生じており、これをもって一極集中に歯止めがかかっていると考える人もいます。しかし、実際にはこの現象は一極集中の進んでいる結果であり、ただ単に地域の学生が経済的な面等で都市部に来るハードルが高くなっているためと思われます。
いずれにしても、一極集中の恩恵を受けている都市部の大学が、一極集中のスパイラルを断ち切るべく地域貢献に積極的に乗り出すことは意義があることだと思います。