こんにちは!公認会計士の青山です

パブリックセクターを中心に会計その他のお手伝いをしています。徒然なるままに仕事やプライベートについて紹介します。

独立行政法人改革、理研、特定国立研究開発法人 について思うこと

2014-04-22 | 公会計

先ごろ、論文の引用回数をもとにした日本国内の研究機関ランキングが発表されました。このランキングは、研究機関の世界の位置を示唆するひとつの有力な指標となるのですが、その結果は、1位東京大学、2位科学技術振興機構、3位京都大学、4位大阪大学、5位理化学研究所、6位東北大学、7位産業技術総合研究所、8位名古屋大学、9位東京工業大学・・・と続きます。有名国立大学が並んでいますが、その中に、科学技術振興機構、理化学研究所、産業技術総合研究所といった機関が含まれています。そう、この中には、あの理研も。。。理研も含め、今まであまり聞きなれない人もいると思いますが、実はこれらはいずれも独立行政法人という組織なのです。

独立行政法人は、中央省庁改革の一環として平成13年4月以降に設立された法人です。その後、特殊法人改革の受け皿になるなどによって、平成26年4月現在98法人もの法人があります。これら法人が行っている業務やその規模は様々です。独立行政法人は1つの制度のもとで管理されているのですが、業務の内容や規模が全く違う独立行政法人を、1つの制度で管理することは、当然に困難が生じます。民主党政権の時代から、このことは認識されており独立行政法人改革を模索してきました。民主党政権時代には改革は実現しませんでしたが、自民党政権に移行された平成25年末に改革に関する方針(「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」(平成25年12月、閣議決定))が打ち出されました。この方針では、性質の違いによって、法人を3つに分類して管理するとしています。理研など上記の法人は、いずれも3つの内「研究開発型の法人」に分類されていますが、この中には他にも宇宙航空研究開発機構(いわゆるJAXA)や「しんかい6500」を所有している海洋研究開発機構なども含まれています。

さらに、安倍政権はこの「研究開発型の法人」の中から、世界トップレベルになり得る法人を選び出し「特定国立研究開発法人(仮称)」なるものを設立しようとしています。つまり、独立行政法人を性質の違いによって3つに分類し、さらに「研究開発型の法人」の中から世界への影響力の大きさの程度を勘案し「特定国立研究開発法人(仮称)」を選ぼうとしているのですね。「特定国立研究開発法人(仮称)」の候補としては、理研と産業技術総合研究所が挙がっていたのですが、STAP細胞問題の収束までは閣議決定しない方針だそうです。

さて、この動きをどう評価すべきでしょうか。結論としては正しいでしょう。そもそも、独立行政法人制度は、業務の性質や規模に合わせて法人の長に大きな裁量を与えることによって、弾力的な業務遂行を可能ならしめる制度だったはずです。つまり、性質と規模による差別化は当然必要なのです。しかしながら、実際は、いわゆる横並び体質のもと給与体系や管理の在り方(ガバナンス)はどれも似たような状況になっていました。「特定国立研究開発法人(仮称)」では、国家公務員を上回る給与が支給されるようです。もちろん、「特定国立研究開発法人(仮称)」に大きな裁量が与えられるということは、その反面、厳しい管理の在り方(ガバナンス)が要求されます。税金が投入されているのですから。ただ、独法を差別化することと効率的に運営することは両立できるはずです。いずれにしても、今後、性質と規模による差別化を図り、法人間の競争原理を高めることは必要なことです。

今後の行方を見守りましょう!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿