前回、「運営費交付金」が「負債」から「収益」に化けるには「業務の履行」が必要と言いました。では、「業務の履行」とは何でしょうか?独立行政法人会計では、「業務の履行」を測る指標として「業務達成基準」、「期間進行基準」、「費用進行基準」の3つの考え方を提示しています。
(1) 業務達成基準
一定の業務等と運営費交付金との対応関係が明らかにされている場合には、当該業務等の達成度に応じて、財源として予定されていた運営費交付金債務の収益化を進行させる。
(2) 期間進行基準
業務の実施と運営費交付金財源とが期間的に対応している場合には、一定の期間の経過を業務の進行とみなし、運営費交付金債務を収益化することができる。たとえば、独立行政法人ではありませんが、大学では一学期が終われば一学期分の授業(教育機関としての大学の業務)は履行していると考えられますね。
(3) 費用進行基準
業務のための支出額を限度として収益化するものとする。
従来、多くの独立行政法人では、一番会計処理が楽な「費用進行基準」を採用していました。この「費用進行基準」を採った場合、費用認識の額と同額が収益化されることになり、差益が発生する余地はありません。しかし、平成27年に会計基準が改正され、「業務達成基準」が原則とされ「費用進行基準」は採用できなくなりました。これには、多くの独立行政法人が慌てました。業務の進行度合いをどのように測るか検討もつかなかったからです。
ただし、その後会計基準のQ&Aも見直され、投入資源(例えば作業時間、投入費用)などのインプット情報で進行状況を測定できる場合、業務の進行状況と密接に関連するなどの理由から、投入資源に着目した指標を設定することも考えられるとの見解を公表しました。あれ?もしかして、これ「費用進行基準」ではない?従来との違いは、今までは法人全体で「費用進行基準」を行っていたところが、新たな処理は業務区分ごとに処理を行う違いはありますが、費用進行の考え方は同じです。業務達成基準(投入費用方式)とも言うらしいのですが、、、
この結果は、実務サイドと基準設定サイドの妥協の結果とも言えますが、いずれにしても、多くの独立行政法人はほっとしたでしょうね。
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