形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

すべての・・・・・

2014-01-14 17:49:31 | Weblog

 

    すべての見えるものは  見えないものにふれている

    すべての聞こえるものは  聞こえないものにふれている

    すべてのさわれるものは  さわれないものにふれている      』

                                           

                         
* 詩文はノヴァーリスの言葉。
  記憶が曖昧で正確ではないかもしれない。
  ノヴァーリス(1772~1801) ドイツロマン派の詩人、
  思想家、小説家。 翻訳されている小説に「青い花」がある。

  写真は、オリオン座の暗黒星雲、<馬頭星雲>。 

からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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冬の花・福寿草

2014-01-06 16:12:06 | Weblog

正月を彩る花、福寿草。
今でも山にいくと見ることがあるのだろうか。 
幾度か春先の明るい落葉樹林帯で見たことがあった。

見たのは小さく群生しているものだった。 まだ寒い時期に、
この黄色い花を見つけると、なんとなく温かい気持ちになる。

関東では小さな鉢に雪を模した白砂を盛り、タンポポに似た花を
咲かせて売られている。 福を寿ぐ(ことほぐ)草として、
昔から正月の縁起物の花であり、病魔退散の意味もある。 
元日草とも呼ばれる。

冬の花、福寿草と書いたが、本来、春先に咲く花で、年末から
正月にかけて売られているものは、ハウスで温度管理をして、
早く咲かせたものだそうだ。 野生種は、北海道から、本州、九州の
広い地域で見られ、二月から三月にかけて山地に花を咲かせる。 

初春に花を咲かせ、夏まで葉をつけて光合成を終え、
翌春まで地下で過ごす春植物である。 
英語でスプリング・エフェメラルといい、
「春に咲くはかないもの」の意味という。 
所属は違うが、同じ仲間にカタクリなどがある。

この早春の可憐な植物が、じつは強い心臓毒を持つ毒草であることは
あまり知られていない。 毒の成分を根茎に多く含み、福寿草を心臓に
よいと聞いて煎じて飲み、死亡した事故が起きているそうだ。 
福寿草はキンポウゲ科の多年草で、このキンポウゲ科の中には、
有名なトリカブトなどの猛毒なものも多い。
                    

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ドラキュラ伯爵、部屋を舞う

2013-12-14 16:39:15 | Weblog

小学校の頃、近所の靴屋のおじさんに、コウモリをもらった。
飛んできたのを庭で捕まえたらしい。 コウモリは夕方、よく校庭の
空に5、6匹が来てパタパタと飛んでいた。 子どもたちが小石を
空に放り投げると、それに近寄ってくるから、私たちは面白がって、
石を投げて遊んでいた。

それほどなじみのある生きものだったが、少年漫画の雑誌に、
牙から血を流している、恐ろしい吸血コウモリの絵なんてよく出ていた。
なので、触るのはかなり気持ちが悪いが、おっかなびっくり持ってみた。

小さな真っ黒い顔を見ると、豚の鼻をつけた耳の大きなネズミみたいだ。
持った感触は、やわらかいビロードのようで、皮が肉と密着していないで
グニャ~ッと伸び、かなり気持ちが悪い。

このドラキュラ伯爵を、四畳半の子供部屋で飼うことにした。
さっそく小さなボール箱に穴をあけ、中に布切れを入れて巣を作り、
棚の上に置いてやる。 伯爵をその中に入れると、おとなしくしていた。

だが、エサをやらなくちゃと、虫を捕まえて口もとにもっていっても食べ
ようとしない。 オフクロから、肉の切れはしをもらってやってもだめ。
喉が渇くだろうと、水や牛乳を綿にふくませてやっても口にしなかった。

夕方になると、伯爵は巣箱から抜け出して、狭い部屋の中をヒラヒラ
飛んだ。 私の部屋には石炭ストーブがあり、その煙突があるのだが、
ちゃんとそれを避けて飛んでいた。

遠目でもわかるぐらい、コウモリの飛び方は鳥とは違う。 まるで大き
な蝶が飛んでいるように、羽というのか知らないが、手をパタパタと
動かして飛ぶ。

夜中に目を覚ますと、ヒラヒラと狭い部屋を飛んでいるのを見るのは、
何か愉快だった。 ただ水も食べ物も食べないので、このままだと死ぬ
と思い3日目ぐらいに逃がした。 腹が減ってたのか、ドラキュラ伯爵は
ヒョロヒョロと、夕方の空に消えていった。


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茶道部のお菓子

2013-11-21 18:28:27 | Weblog

中学に入ったとき、その当時、大人気だった体操部に入った。
オリンピックで小野選手や遠藤選手が大活躍した頃で、クラスからも、
6、7人が体操部に入るほどの人気だった。 顧問の先生は大学の体操部
でならした、まだバリバリの若い先生で、その練習はとてもキツかった。

男子部員は、それぞれ自分のクラスの教室で体操着の着替えをしていた。
私の担任の、少し年配の女の先生、I先生は、国語の先生で茶道部の顧問を
していた。 なので茶道部は私のクラスの教室で週1回稽古をする。

体操部の練習が終わり、着替えに教室に行くと、女子ばかりの茶道部の
稽古が続いている。 その後ろで着替えていると、いやでも先生の前に並べ
られた、まだ配られていないお菓子が目に入る。 私たちは目の回りそうな
空腹をかかえて、それを見ながら着替えていた。

オレたちも茶道部に入ればアレを食べられる・・・・ 
協議は決まった。
そこで全員、I先生に、体操部に入ったまま、茶道部に入っちゃダメですか?
とお願いに行った。 先生はメガネ越しに、ちょっと怪訝そうに私たちを
見てたが、まぁ、いいでしょ、と許可してくれた。

それから週1回の私たちの楽しみが始まった。
体操の練習が終わると着替え、すでに始まっている茶道部の、一番後ろの席に、
全員神妙に座る。 すでに目は、お菓子に釘づけ。

始めに教えられたのは、フクサという布の作法だったが、私たちはお菓子を
にらみながらやっているから、全然おぼえられない。 というより、おぼえる
気がない。 唯一面白かったのは、茶センで抹茶を泡立てることだった。 
これは誰が泡が多いか、抹茶が飛び散るほど競争して面白かった。  
このあとの抹茶は、ウェッとなるほど苦かったが、お菓子はお腹に沁みわたる
ほどうまかった。

4、5回して、I先生に職員室に呼ばれた。
「あなたたち、ほんとうに茶道がしたいの?」
「・・・・・」 
全員クビである。    

          
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剣鳴って

2013-11-19 17:06:07 | Weblog

   『

        馬嘶いて 白日暮れ 

        剣鳴って 秋気来る

        我が心 渺(びょう)として限り無し
                                
                                』


            * 渺(びょう)- 遠く遥かな様子

             作者、呂温 - 唐、800年頃の人


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散歩

2013-11-14 17:02:32 | Weblog

最近、なぜかむしょうに歩きたくなる。 (ハイカイではない
きのうも午前中は、愛犬レオと1時間ほど城址公園を散歩し、
午後も今度は一人で、町中の細い道を歩いた。

私の住むところは古い城下町で、大きな通りはあとで整備されたようだが、
家々のあいだに細い小道があり、意外なところでつながっていたりする。
およそ二十五年住んでいるが、知らない道があって歩いてみるとおもしろい。

今年の秋はあっというまに過ぎ去ったが、城址公園の林の中に、
透きとおるような秋の光が、木もれ日となって差していた。


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松ヤニ遊び、ハッカのいたずら

2013-10-26 16:12:53 | Weblog

子どもの頃を思い返すと、なぜあんなことを面白がったのだろうと、
不思議に思うものがある。 小学校の頃、松ヤニ遊びが流行った。 
松ヤニの粉を指先につけて、友だちのナイロンジャンパーをつまみ、
素早く引くとキュッと音がする。 これを面白がり、大流行した。 
ナイロンのジャンパーを着る、冬に流行った遊びでセーターでは
音はしない。 松ヤニはスポーツの滑り止めなどに使われるが、
誰が考えた遊びなのだろう。 松ヤニは駄菓子屋においていたが、
流行ったときだけ売っていたように思う。




もうひとつ、ハッカを使ったイタズラ。 友だちに内緒で、指にハッカをつけ、
目をつむらせる。 そしてまぶたの上か目の下に指先をスッと擦りつける。 
目を開けようにも、スースーしてあけられないほどになる。 
ハッカは飴のハッカじゃ薄くてだめで、本格的なハッカの結晶を使った。 
これは薬局で売っていて、友だちと買いに行ったことがある。 
こっちのほうは、友だちが目を開けようにも開けられない様子が、
なんともおかしかったが、やったほうも始めはもがいた犠牲者だった。 
ハッカの小さな結晶を一粒口に入れてみたが、恐ろしいほどの辛さだった。

もののない時代、子どもたちはささやかなことに楽しみをみつけていた。 
足りない分は想像力で補って遊んだ。 極端な貧しさは悲惨だと思うが、
ものの少ない時代、豊富な時代、どちらがほんとうに幸せなのだろうか。 
足りないから、手に入ればありがたく貴重である。 
溢れれば、それが当たり前になって、喜びも薄い。


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『 旅情 』 石垣りん

2013-10-21 17:39:08 | Weblog

『  
   ふと覚めた枕もとに

   秋がきていた

 

   遠くから来た と言う

   去年からか ときく

   もつと前だ と答える

 

   おととしか ときく

   いやもつと遠い という

 

   では去年私のところにきた秋は何なのか

   ときく

   あの秋は別の秋だ

   去年の秋はもうずつと先へ行つている

   という

 

   先の方というと未来か ときく

   いや違う

   未来とはこれからくるものを指すのだろう?

   ときかれる

   返事にこまる

 

   では過去の方へ行つたのか と聞く

   過去へは戻れない

   そのことはお前と同じだ という

 

   秋

   がきていた

   遠くからきた という

   遠くへ行こう という      』



* 石垣りん(1920-2004) 女流詩人

 
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土アケビ

2013-10-18 13:53:51 | Weblog

土アケビを写真で見たのはかなり前だった。 
「野外手帳」(白土三平著)に、写真つきで紹介していたのだが、
その奇怪な姿におどろいた。 それまで山で見たおぼえがなく、
きっと、めったにお目にかかれない植物だろうと思っていた。

それから数年後、弟の住む、那須の山林に遊びに行き、
偶然これを見つけた。 細竹の群生する日陰で見たのだが、
写真で見るよりもっと異様で、葉もなく植物のようには思えなかった。  

誰かがイタズラで、棒を立て、そこに赤いウィンナソーセージを、
たくさんブラ下げたように見えた。 だがこの赤い実をつける前に、
花を咲かせるらしい。 それを見ていれば、それほど奇怪に感じ
なかったのかもしれない。 

秋に実を成らせるアケビとはまったく別のもの。 
私が見たのは5、60センチぐらいの背丈だが、1メートルになるもの
もあるらしい。 赤い実は6、7センチほどで、民間で湿疹の薬として
用いられことがあるようだ。 葉がないので光合成はせず、
菌と共生して生きる。 ラン科の植物で、実には種が入っている。 

             
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烏瓜(カラスウリ)

2013-10-17 19:02:08 | Weblog

私の住むところは、日本でも有数の台地、北総台地の一角にある。
この台地の縁は複雑に侵食されていて、その斜面の下に沿う小道を歩くと、
藪から蔓性のカラスウリの赤い実が、たくさんぶら下がっている。
遠くから見ると、まるで柿の実がなっているようだ。

今の季節になると枯れ始めて見るかげもないが、初夏の頃に見る、
薄い微毛に覆われたカラスウリの葉はたいへん美しい。 図案の
題材になりそうだ。



カラスウリはウリ科の多年草、雄雌異株で雌株に7~9月頃に花を咲かせる。 
白い5弁の花で、花の周りに白いレースをあしらったような独特な花だ。 
陽の落ちる頃から、朝方にかけて花が咲くのは、受粉のため、蛾を誘うのだという。



カラスウリの種は、7、8ミリほどの、柄のない打ち出の小槌のような形を
している。 お金がたまりますようにという縁起物とされているそうだ。
私の財布にも、人からもらったものが一粒入っているが、まだご利益はない。

同じ仲間の黄カラスウリの根からはデンプンが採れ、昔は、今のベビー
パウダーと同じように、天花粉(てんかふん、雪の意味)と呼ばれて
アセモなどに使われたそうだ。 子どもの頃、風呂上がりにパタパタと
はたきつけられた白い粉も、天花粉だったのか。

                       
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おでんの屋台

2013-10-10 19:24:07 | Weblog

子どもの頃、町を流して歩く屋台といえば、私の住んでいたところでは、
おでんの屋台だった。 おでんは冬のもののようだが、夏でも屋台は
出ていた。 他には秋から冬のあいだは、焼き芋屋のリヤカーが来た。
チャルメラを吹くラーメンの屋台は、もっとあとで見かけるようになる。

おでんの屋台は、昼間から、チリンッチリンッとリヤカーの引き棒に
つけた鐘を鳴らしながら、町を歩いていた。 値段は驚くほど安かった。
大人になる頃にはもちろん値段は変わったが、他のものの値段に
比べると、なぜこんな値段で売れるのだろうと、不思議に思うほどだった。
6人分の夕食のおかずにと、中ぐらいのナベを持っていって買うと、
500円ぐらいで食べきれないほどあった。

蒲田駅の近くに、おでん種を売る、古くからの店がある。
おでんを売る屋台や店が仕入れに来るような店で、沢山の種類の
薩摩揚げや袋詰めなどを、山のように盛って売っている。 
おでん屋のおじさんもこういうところで仕入れていたのだろう。 
昼間、路地裏で屋台を出し、おでんを仕込んでいるのを幾度か見た。

夏休みのプール帰り、学校の門の前に、屋台を止めて待っていることも
あった。 夏とはいえ、プールで冷えた体で食べるおでんはうまい。 
お金がないときは、コンブが5円ぐらいで一番安かったから、それを1個、
竹串に刺してもらって食べた。 今のおでんのコンブはちゃんと結んで
あって、それなりの格好をしている。 その頃のはダシを取ったあとの、
半分溶けかけた、ヨレヨレのコンブだ。 なので竹串に巻きつけるようにして
渡され、あまりうまくなかった。 友だちがチクワなどを食べていると、 
コンブをやるから、1回だけ、かじらせてくれ と頼むこともあった。
たいていいやだと断られた。

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白い彼岸花

2013-10-08 16:18:37 | Weblog

家の裏の林の中に、今、白花の彼岸花が咲いている。
佐倉に引っ越してきた二十数年前、ご近所の老夫婦の方から
いただいて植えたもの。 鉢に植えられたこの花を持ってきて
くれた奥さんは、ふくよかな方でいつも笑顔の絶えない人だった。 
六年ほど前、ご主人が亡くなり、息子さんのもとへ引越されていった。 
二十数年年の月日が流れ、ご近所の多くのお年寄りの方たちがこの世を去っていった。 

彼岸花、別名、曼珠沙華(マンジュシャゲ)。 全草、毒草。 


 


こっちは城址公園入り口の、赤い彼岸花。 一緒に写っているのは、
これから散歩に行こうと、はりきる愛犬レオ、6歳♂。 
お菓子の「カールおじさん」ではない。 シーズとコーギーのミックス。

初秋に日本各地でよく見る美しい花だが、咲き方が面白い。
花を咲かせているときは葉が無く、地面から出た緑の棒のような
茎の先に花をつける。 花が終わったあとから、蘭の葉に似た
細い葉を地面近くに多く出す。 花はピンク色のものもある。

この彼岸花が、以前書いた、<シャガ>と同じく、遺伝子が同一の
三倍体で、雌雄がなく種子ができないという。 なので誰かが植えるか、
土ごと運ばれるような移動をさせない限りそこには存在しない。

シャガは咲いている場所からまだ想像がつくが、彼岸花のほうは
ほんとうかと思う。 というのは、多くは平地や里山などの人のいる
場所に咲いているが、とんでもないところにも出ているからだ。 
それはトンネルの上の、危険な急斜面の草むらの中だったりと。 
ほんとにこんなところに、誰かが植えたのだろうか?と思ってしまう。

また種子ができないということは、日本中の彼岸花は大昔に入ってきた、
元々一つの株から増えていって広がり、その遺伝子は同じということになる。

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富山の薬売り

2013-09-30 14:39:12 | Weblog

富山の薬売りが東京の家々を廻っていたのは、小学生の頃。
年に1回ぐらい来ただろうか。 背中に柳ごおりの入った、
黒皮の大きな荷物を、重たそうに背負って、いつもきまった
おじいさんが訪ねてくる。 薬売りが来るのは、子どもたちの
楽しみの一つだった。 それは、お土産の紙風船を何個か
くれるのと、縁側に降ろした荷物から出される、色とりどりの、
にぎやかに入っている薬袋を見る楽しさだった。



家には前に薬売りが置いていった、厚紙でできた引き出し式の
薬箱があった。 その中の箱から、使った分だけお金を払い、
減った分を補充していく。 粉薬はみんな薬包紙で三角形に
包んだものに入っていた。 中には「クマノイ(熊の胃)」という、
黒っぽい小さな塊を紙に包んだのもあって、一度だけ飲まされたそれは
とても苦かった。

「カゼ薬はどうします?」
「置いてって」
「これは新しい胃の薬だけど、よく効くよ」
「じゃそれも」 などと、
薬売りとオフクロのやりとりを聞いているのも面白かった。

                        
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藤袴(ふじばかま)

2013-09-25 14:14:19 | Weblog


秋風に なに匂ふらむ藤袴 
主はふりにし宿と知らずや



* 金塊和歌集(源実朝家集)
 「新潮古典集成」(昭和五十六年六月発行)から。
 「ふりにし」というのは、死んでしまったという意味。
  藤袴は秋の七草の一つ。 干すと芳香を放つ。


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銀トカゲ(ニホントカゲ)

2013-09-20 18:39:57 | Weblog

今年の夏は暑かったせいか、庭で珍しく銀トカゲをよく見る。
いままで、こんなに見たことはなかった。 
夏のつよい光の中で、青味がかった美しい銀色のからだを閃かせている。
たぶん1、2年前に卵がたくさん生みつけられ、それがかえったのだと思う。
見るのはたいてい4、5センチほどの子どもだ。

子どもの頃、友だちと遊ぶのは、たいてい多摩川か池上本門寺の森だった。
その頃、男の子たちが憧れていた生きものは、鬼ヤンマ、銀ヤンマ、
赤い大きなハサミをもつザリガニの真っ赤チン、銀トカゲなどだ。 
銀トカゲ以外は捕ったことがあるが、このトカゲだけは捕ったことも、
誰かが捕ったという話も、一度も聞いたことがなかった。 
正式な名称、ニホントカゲ。 

なぜ捕まらないかというと、とても警戒心が強く、近づくことさえ出来ないからだ。 
そして銀トカゲが逃げ込むところは、どうにもならない石垣の隙間や、大きな岩の
あいだときまっていた。

遠くの石の上で日向ぼっこしている銀トカゲを見つけると、私たちは
隠れながらそっと近づいていく。 しかし網が届くはるか手前で、
銀トカゲは頭を持ち上げ、じっと警戒態勢をとる。 そしてさっと岩や
石垣のあいだに入り込んでしまう。 何度、大きな岩のあいだに棒切れを
突っ込んで、動かそうと試みたことか。 捕まらないからよけいに、
男の子たちの憧れの的だった。
銀トカゲを初めて捕まえ、手の中でその姿を見たのは、
今住んでいる千葉の片田舎で、四十歳を過ぎてからだった。


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