形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

おばけ煙

2009-04-17 17:49:28 | 昭和の頃

小学校の頃、友達が手品を見せてやるというので見ていた。
前に突き出した、何も持っていない指同士を、ゆっくり擦り合わせ始めた。
と、指のあいだから、なんと煙が出てきてびっくりした。
友達はアッチッチなどと言いながら煙を出し続けた。 
ほんとうの煙だった。 そのお化け煙は、どこかの夜店で買ってきたらしい。

その後とても流行ったが、じきにこのお化け煙は姿を消し、妖怪煙という
名前に変わった。 だがこんどのは、ほんとうの煙じゃなくなってしまった。 
こっちは小さな厚紙にベタベタしたものが塗ってある。 それを指に取って、
指と指をくっつけたり離したりする。指の間のベタベタしたものは微細な
糸になって空中を漂い、煙に見えるというものだった。

だが、ほんもののお化け煙を見てしまった私たちには、どうもインチキ
臭い。 空中をふわふわ漂うが、ほんものと違って消えないのだ。

あるとき少年漫画の雑誌に、ほんものの煙を出すお化け煙の作り方が
出ているのを見つけ、大喜びで友達と作ってみた。

作り方は簡単で、マッチ箱の側面のマッチを擦るところを薄く剥がして、
皿の上で燃やすと茶色いネバネバしたものが残る。 これを指にとって
擦り合わせると、ほんとうの煙が出てくるのだ。

煙の元はほんのわずかしか取れないから、多いめのマッチ箱が必要だった。 
指から煙は出るが、なぜか全然熱くない。 友達のアッチッチ というのは
演技だった。 マッチ箱の擦るところは燐が使われていて、これが煙の元に
なるのだという。


読んでいただいてありがとう!

形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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少年探偵団、尾行する

2009-02-15 06:49:19 | 昭和の頃

小学生のとき、江戸川乱歩の「少年探偵団」が大流行し、さっそく友だちと
探偵団を結成した。 何を探偵すればいいかわからないから、とりえず怪しい
人を尾行することにした。

ラジオの少年探偵団は、あとをつけるとき、後ろから来る仲間に知らせるた
めに王冠を道に落としていく。 それがなんかカッコよく見えた。だから、
私たちも真似をして、瓶のジュースやビールのフタの王冠をひろい集めた。
これをズボンのポケット一杯に入れて、町をいくアヤシイ人を尾行するのだ。

「怪しいおじさん、いないかな~」 
「あのおじさん、怪しいんじゃない?」
「うん、怪しい、怪しい」
早い話、誰でもいい。 女の人はあまり怪しく見えないから、おじさん限定である。

テキトーに怪しいおじさんを見つけると、一人があとをつける。その後ろに
少年探偵団一行がそれぞれ身を隠しながらついていく。 先頭が、途中、途中
で目印の王冠を道に置いて仲間に知らせる。 王冠を見つけた後方の探偵団は、
ヤツはこっちに行ったんだな、などとつぶやく。 ハッキリいうと、王冠を置く
必要はない。 なぜかというと2、30メートルしか離れていないから見えてる。
でも、すでになりきっている私たちは、少年探偵団のように置きたかった。
右に曲がるときは、∟のように3個置く。左は反対に。

今思い出すと、他の人から見たら、ミエミエで植え込みに隠れていたり、人
んちの門柱にお腹を引っ込ませて身を隠していたりと丸見えだった。
あとをつけていったら、途中で王冠が切れちゃったとか、思いがけず
近所の家でがっかりしたりと、なかなかうまくいかなかった。
たまに尾行に成功すると、こんどは張り込みになるが、いつも何事も起きず、
しまいにお腹が減ってみんなで帰った。



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洋式トイレ

2008-12-20 15:04:15 | 昭和の頃

生まれて初めて洋式便器を見たのは、小学校の時だった。
どういう集まりか、まったく憶えていないが、田園調布の方にある家に
同級生たちと行った。 大きな洋風の家で、そこで初めて洋式便器を見た。

その家で、友達がトイレに入ったと思ったら、あわただしく出てきた。
「オイ、アレなんだ?!何なんだ?」
どれどれと、みんなで広い便所をのぞくと、デンッと高く据えられた、
奇妙な白い物体があった。 中には水が溜っている。
なぜか天井からは細い鎖が垂れ下がっていた。
ほんとに、「なんだコリャ!?」  である。

今はどこにでもあって、当然見慣れてなんとも思わない。 
だが和式の便器しか見たことがないと、初めて見たらびっくりする。
一番驚いたのは床からの高さで、和式のように、床と同じ高さにある
ものと全然違うから面食らう。 だいたいどうやって使うのか、見当が
つかない。 まさか腰掛けて使うとは、和式からは想像がつかなかった。

その友達は、オシッコじゃなくて大きいほうがしたかったらしい。
でもどうやればいいのかわからなくて、飛び出して来たのだった。 
誰一人使い方を知らず、「上に乗ってするんじゃない?」などとアドバイス。
そうしてみんなのアドバイスに従って、フチに乗っかって用を足したらしい。 
出てきたら、「落ちそうで、すげぇ怖かった!」 と言っていた。
流すなんて知らないから、モノはそのままで、騒ぎに駆けつけた家の
おばさんが使い方を教えてくれた。


読んでいただいてありがとう!

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