形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

今日の昼食

2009-02-18 15:46:24 | Weblog

最近、文京区役所(文京シビックセンター)の職員食堂に
昼ご飯を食べに行くことが多い。
何年も、ここに一般人も入れる職員食堂があるとは知らなくて、
最近、患者さんから教えてもらった。

自分で仕事をしていると、給食の人と接するなどということはごく少ないが、
私は給食のおばちゃんや、おねえさん、おにいさんといった人たちが、
なんとなく好きだ。なにかやさしくて温かい感じがする。
小学校の給食の頃の印象からか、よくわからない。 
ここで頼むのがいつもカレーライスとラーメン。
よそってもらうとき、カレーのご飯を減らしてもうらう。
「 これでどう?」 「もうちょっと減らして」 
おばちゃんは面倒がらずに微調整して、ニッコリ渡してくれる。


行くようになった理由はいくつかある。
一つは、いつもごく近場ですませていたメニューに飽きたこと。
二つめは、やすくて、意外にうまいこと。
三つめは、区役所の26階建て高層ビルの13階にあるので、
とても眺めがいい。すぐ真下に東京ドームの白く大きな丸い屋根が見え、
目の前を後楽園遊園地のジェットコースターが走っていく。
右下には、梅が咲き始めている、7万平方メートルもの広さがある
小石川後楽園の森が見える。これは水戸黄門がつくった、水戸徳川家の上屋敷の庭だそうだ。

 



私は恐いから乗らないが、あのジェットコースターに乗っている人を見ていると面白い。
急傾斜の恐そうなところに来ると、バンザイをする人が必ず何人かいる。
あれがなんとなく、見ていておかしい。 窓が強力な防音ガラスなのだろう、
目の前を走るジェットコースターの音や悲鳴はまったく聞こえないから、
無言で静かにバンザイを始めるように見える。 だからよけいにおかしく感じるのかもしれない。
きっと手を離したほうがスリルがあるんだろうな、などと思いながら食事をする。

私の昼食はいつも遅くて、午後3時半前後。治療が一段落するのが、だいたいこの時間。
食券はカレーとラーメンしか買ったことがない。かなりの空腹で行くので、
二つともきれいに平らげる。ラーメンが340円、カレーが410円の計750円。
ラーメンも、味噌汁つきのカレーも十分にうまい。 ラーメンは子供の頃食べた
ラーメンの味に似ている。カレーも好きなジャガイモのゴロゴロ入った黄色いカレーである。

小学低学年まで、ラーメン屋で食べるラーメンなど一年に何回かぐらいしか
食べた記憶がない。 物の豊かな時代ではなく、外食も今と違って、家庭では
ほとんどしなかった。ラーメンはなかなか食べられないご馳走だった。
上にのっていたのはチャーシューではなかった。今、ビアソーセージと
いって売られているのと同じで、細かい肉や脂身を成型して固めたもので、
まわりに赤い色がつけてあった。そのソーセージを薄く切った4分の1の
切れはしがのっていた。それでもとてもうまかった。

5月5日のこどもの日は、上野動物園の子どもの入園料が無料になった。
動物園のまわりにある、ヨシズ張りの食べ物を売る店も、子どもは半額になって、
ラーメンもたしか30円ぐらいだったと思う。 年に一度のこの日、友達と
連れ立って動物園に入る前に一杯食べ、出てきてからまた一杯とお腹いっぱい食べた。

最近、昔のつましく生きていた人々のことをぼんやり考える。
ぜいたくに進化したラーメンもいいが、貧しさの中でたまに食べるラーメンほどうまいのかな。


形之医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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