将棋のプロ棋士の方と話していると、勝負は勝ちグセをつけないといけないという。
そのためには、どんな小さな対局でも全力で勝とうとしないとだめだそうだ。
私が勝ちグセというのは、勝ち運のことですかと聞くと、そういうことばかり
じゃなくて、信用を失くさないことなんですという。
「信用?」
「そう、信用です。この人は手を間違えないという信用です」
それがあると、この人には無理な手や、無謀な手は到底通用しない
からと出来なくなるのだろう。 相手がのびのび指せず、手が縮む
ということもあるかもしれない。
反対にそうした信用を失くすと、ひょっとして間違えるかもしれないと、
逆転を狙った無理な手も指してくる。 棋士は持ち時間のこともふくめて、
ぎりぎりの勝負をしているから、対応を間違えると無理が通ってしまい、
ひっくり返されることもあるのだろう。
羽生さんなどはそういう意味で、とても信用があるそうだ。
人間同士の勝負だなと思い、とても興味深く話を聞いた。
以前、世界コンピューター選手権で優勝した、コンピューターソフト<ボナンザ>
と渡辺竜王の闘いは面白かった。 だが未来に、コンピューターがプロ棋士を凌ぎ、
ついにコンピューター同士の頂点の闘いになっても、それを見たり棋譜を並べて
みたいとは思わない。 乾いた数式だけの、闘いというより比較に過ぎないからだ。
そこには人間劇のさまざまなものがすべて欠落し、心を揺さぶるものがない。
からだの形は、生命の器
形之医学・しんそう療方 東京小石川
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