形之医学・しんそう療方 小石川院長 エッセー

昭和の頃、自然と野遊び、健康と医療のことなど。

唐柿(トマト)

2012-07-04 15:10:38 | Weblog

山形で生まれ育ったおやじが、子どもの頃の夏、学校から帰ってくると、
仏壇に赤く熟した柿が供えられていたそうだ。 
おやじは柿が大好物で、 まだ柿の季節じゃないことをすっかり忘れ、
そのうまそうな赤い柿を持って逃げた。 そして庭の隅で思いきりかぶりついた。 
そしてあまりの不味さにげーっと 吐き出したそうだ。 
てっきり柿と思ったのが、トマトだったのだ。 柿とトマトじゃ大違いだ。 
それに当時のトマトはかなり青臭かったようだ。 

江戸時代には、トマトを唐柿と呼んで観賞用に栽培していたという。
どこか忘れたが、まだ江戸時代の品種が残されているところがあり、
そのトマトを写真で見たことがある。 ちょうどミカンの房のように
側面が縦にコボコボしていて、真っ赤に熟した小さな南瓜のような形をしていた。

私が小学生の頃でも、まだトマトは青臭くきらいな子どもが多かった。
私もトマトを生で食べた記憶がほとんどない。 夏休みに山形の伯父のところに
遊びにいったとき、一つ年上の従兄から、裏の自家用の畑に連れていかれた。
そこで成っているトマトをもぎ取って、「けは!(食べな)」と勧められた。 
真夏の日差しを浴びた、生ぬるくて青臭いトマトは、マズ過ぎて一生忘れ
られない味だ。 

あの青臭さがなくなったのはいつ頃からだろう。 品種改良がすすんだためと
思うが、今のトマトはずっと食べやすい。 フルーツトマトなんぞという、
水を切って作った甘い贅沢なトマトからは、昔の不味いトマトは想像もつかない。


からだの形は、生命の器
形の医学・しんそう療方 東京小石川
http://www.shinso-tokyo-koisikawa.com/


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