2012年2月9日15時3分に配信された朝日新聞のHPより引用させていただきました記事です。
コンタクトレンズ(CL)の購入希望者を専門的に検査する眼科診療所(CL診療所)が、不必要な検査などで医療費を不正請求する事例が絶えないことから、厚生労働省は、CL診療所に対し、目の病気に関する治療や検査をしないよう指導に乗り出すことを決めた。4月の診療報酬改定に合わせて実施する。
CL診療所は販売店のそばに併設される眼科診療所。レンズをつくるのに必要な検査を医師が行い、初診料や屈折検査料、精密眼圧測定料などをひとまとめにした「CL検査料」を受け取れる。しかし、中には病名を追加して必要のない検査や治療を行い、医療費を水増し請求する事例がある。CL業界の競争は激しく、販売店が実態として提携関係にある診療所の利益を確保しようとする動きが背景にあるといわれる。
2010年には厚労省の課長補佐が、大阪市のCL販売会社が運営する診療所に監査を受けずに済むよう便宜をはかり、現金を受け取ったとして、収賄容疑で逮捕される事件も起きた。
この記事を読んでの持論をのべさせて頂きます。
もともとは、コンタクトレンズを原価割れするような低価格で販売し、診察代金(保険請求)にて利益を得るというビジネスモデルができ、中には眼科専門医でない医師が眼科検査・診察をするようなことが横行し社会問題となってきました。4年前の診療報酬改定でコンタクトレンズ検査料という検査項目ができて従来に比べて診療報酬が7割カットされ多くのコンタクトレンズ診療所が閉店されるようになりました。今後、さらに厳しく指導されるということのようです。
コンタクトレンズを装用することにより多くのユーザーが多少なりのトラブルをかかえておりそこを診察時にチェックし安全にレンズを使っていくことを目的とした検診であると思っています。格好つけて言うと「眼科的主訴のないコンタクトレンズ処方はありえません!」つまり「見えにくい、かすむ、異物感がある、かゆみがある」など何らかの訴えをユーザーはもっておりそれを聞きだしそれに対する答えを導くような診察をしなければなんて思っています。
しかし、そういった眼科検査をしてはいけないというのは非常に疑問に思いますね。コンタクトレンズ検診の重要性を役所の方が理解していないのか?単なる医療費削減のためなのか?よほどコンタクトレンズの検診がいい加減にしかされていないのか?どうなんでしょう?
コンタクトレンズの検診で診ていること
1)視力検査 当たり前ですが最も大切な検査。で、いつも装用しているで(1.2)ですね~、なんて検査はダメですよ。(1.2)見えていても乱視を入れた方が格段に見えやすくなるのか?また近視の度数を落としても見えるのか?ちゃんとチェックしないと意味がありません。検査した上で最終的に同データになるのであれば現在使っている度数がベストという裏づけがとれます。
2)細隙灯顕微鏡検査 顕微鏡で角膜の状態(キズの有無)、まぶたの状態(アレルギーのチェック)、結膜充血の有無の確認。検査が10秒で終わるなんてありえないしそれは診てもらったという事実だけ
3)眼圧検査 緑内障の有無を確認するのに大切な検査
4)精密眼底検査 特に強度な近視の方は網膜はく離、緑内障のリスクが高いとされています。また初期には自覚症状には乏しく定期検査でたまたま見つかるケースが多いです。当院の規模のクリニックでも自覚症状がないにもかかわらずそういった病気が見つかる方が少なくありません。
もちろん必要以上の検査をすることは医療費の高騰の問題からもユーザーの時間的な問題からもいけませんよね。
こんだけ検査をしても、しなくても今の診療報酬の規則ではコンタクトレンズ作成の目的での検査は一律200点もしくは56点と決まっています。でも、200点しか請求できないからって見て見ぬふり、病気を見逃すような事って医師としてできませんよね。
今後の動向には目がはなせません。
今回のブログは文字だらけの長文になってしまいました(涙) それにもかかわらず最後まで読んでくださった方ありがとうございました。