これからワクチンを受けられる方々へ
茨木市の集団接種に参加してみていろんなことを感じましたので書 いてみたいと思います。
私が参加したのは、大阪府茨木市でされている日曜日の接種です。
地元の体育館で行われました。
当日は300名の高齢者接種がされました。 報道では接種のミスや集団接種のアクセスの悪さなどばかりが指摘 されていますが接種に携わった医師として感じたことは接種を受け た人から満足いただいたようです。
接種会場には医師が5名(問診担当が3名 接種後の健康観察が2名)です。健康観察医は1名でも良いのか? と思われますが
アナフィラキシーなどの重篤な副反応が起こったときのためにこの 人数になっています。
接種担当の看護師が4名程度
ワクチンの希釈とシリンジ(注射器) に充填する役割をする薬剤師が3名です。
会場の設営から案内係り、移動の解除、問診表の確認、 体温測定をしてもらう市役所の方々が30名以上です。
会場の様子はこのような感じです。
まずは、受付をすませてから
問診(予診)ブースに移動します。
かかりつけ医と相談をして接種について問題ないと説明済みの方も多く居ましたがそうでない方も多いです。接種において問われるのは薬剤アレルギーの有無やアナフィラキシーショックの既往ですが高齢者は内服薬が多く、持病を持っている方も多いです。
そこで役立つのが「お薬手帳」でした。疾患についての詳細がわからないにしても内服薬の一覧を見ればどのドクターであっても状態をある程度把握することができます。
接種会場へはお薬手帳を持参されることをおすすめします。
150名の方が全員ドクターのOKがでて無事に接種を終えることができました。
緊急時の対応として写真の通り救急用の薬品がちゃんと用意されていますので安心して接種をうけていただいて大丈夫です。
問診の際にみなさんにお話をお伺いすると
1人の予約をするのに子どもさん、お孫さん含めてスマホ7台で1人あたり100回以上電話をされていたそうです。なかなかコールセンターにつながらないのも納得ですね。
今後、接種の予約が電話先着順から年齢順に連絡がくるように変更されたようです。
大阪府茨木市といえば高齢者の接種予約で徹夜組みがでてしまい翌 日市長が謝罪することになったニュースが全国に放送され記憶にあ るかと思います。
患者さんに聞くと初日は午前8時に並びだした、 それがうわさになり翌日は午前5時に行列ができはじめた。 さらに噂がひろまり3日目には徹夜組みがでてきたということだそ うです。
なかなかワクチン接種ができない不安からのことだとは思いますが 市役所で働いている方々への誹謗中傷がすごくありました。
私の考えですが、多くの市役所の職員さんが休日出勤をして皆様に1日でも早く接種できるように頑張っておられます。
誹謗中傷は仕事のモチベーションを下げるだけです。
誰が批判されて「よしがんばるぞ!」なんて思うでしょうか?
接種会場の医師と看護師の多くはワクチン接種をすませていると思いますがお手伝いに来られている市役所の職員さんたちは未だに接種は受けておられません。
本日接種を受けられた皆様は「非常に対応がよかった」「安心して接種できました」「休日出勤ありがとうございます」と言ってくださりました。そのような激励があり仕事に対するモチベーションを保っているのだと思いました。
私も感謝の気持ちを忘れないようにしようと感じた1日でした。
この集団接種は12月までも継続すると聞いております。
私も可能な限りお手伝いに出務したいと思っています。
おまけの話
取扱いがデリケートなファイザー社製のワクチンですが、以下のように決められています。
一般的な冷凍庫(-25~-15℃)であれば、届いた日を含めて最長14日間の保管が可能です。
冷蔵庫(2~8℃)に入れた場合は、現時点では届いた日を含めて5日以内に希釈して使用する必要があります。
室温での保管期限は2時間です。希釈作業も室温に出してから2時間以内に完了してください。(再凍結厳禁)
希釈後は遮光して2~30℃で保存し6時間以内に接種してください。
開業医での個別接種がすすまない理由の1つはこの取扱いの煩雑さでしょう。
集団接種会場では希釈しシリンジにつめられたワクチンを室内で保管するわずかの時間であってもアルミホイルで遮光して保管
1本でも1人分でも無駄にならないようにするためのプレッシャー
今後、若い世代の接種が始まれば持病や基礎疾患も少ないためもっとスムーズに進めば良いのですが