みなさん、こんにちは。ソフトコンタクトレンズの消毒剤であるMPS(多目的溶剤)のことについて書きます。MPSは非常に便利なコンタクトレンズ消毒剤です。多くのユーザーの方が使用しています。しかしユーザーの使用方法の間違いによるトラブル例も少なくなく今日はそのあたりは書こうと思います!
MPSって何が便利ってすすぎ、消毒、保存という過程を1つの液でやってくれること、多くのソフトコンタクトレンズユーザーが使用しています。市販されているMPSの写真を供覧します。モザイクがかかっています。
しかし、便利さ故の落とし穴があるんです。
・目に入っても刺激感が少ない→消毒効果が弱い。
MPSは刺激感を少なくするために濃度が1ppmから10ppm程度です。ppmとはparts per million(100万分の1) 1ppm = 0.0001%
→このためつけおき消毒の前に十分なこすり洗いをしないと効果が発揮できません。さらに、使用後のレンズケースをしっかりと水道水で洗い乾燥させなければバイオフィルムという細胞膜ができてしまってよりMPSの効果を減じてしまうんです。
・もうひとつピンとこないよ!という方に1例を
はずしたコンタクトレンズに10万個の微生物汚染が起こっているとします。あなたが持っている武器は「すすぎ」「こすり洗い」「つけおき」の3つです。それぞれが微生物汚染を1/100に減じる効果があるとします。あなたはどの武器を使いますか?
童話”3匹の子ブタ”を思い出してください。
長男:おれは昼寝とおやつが大好きなんだ。とっととレンズはずしてどぼんとレンズケースに「つけておくだけ」だ
100000個の微生物は1000個には減りましたが残念ながら角膜感染症を起こしてしまいました。
次男:僕はお兄ちゃんよりは慎重派だからはずしたレンズはちゃんとすすいでからつけおきするんだ!次男の武器は「すすぎ」+「つけおき」 1/100X1/100=1/10000 10000分の1にまで微生物を減らすことができました。
三男:僕は二人のお兄ちゃんよりも真面目だよ。僕は「すすぎ」「こすり洗い」「つけおき」すべてをかかさない。そうすれば1/100X1/100X/1/100 なんと微生物を10万分の1にまで減らして安全に使うことができるんだ!
さて、みなさんはいかがでしょうか?慣れてくればどんどん雑になったりしていませんか今一度初心にかえってレンズケアを見直しましょう。
参考文献 マルチパーパスソリューション(MPS)の消毒効果
あたらしい眼科 2009;26(9):1173-1177.
著者名 森 理 (メニコン)
ところで、繰り返しになりますが、消毒効果は過酸化水素の方が強いんです。MPSの3つの武器をリアルワンステップで可能より安全にまた快適なコンタクトレンズライフのために当院では過酸化水素の消毒液クリアケアをお勧めしています。またクリアケアでは「こすり洗い」「すすぎ」ができない!から汚れやすいんだよね。という方にはすすぎ液ソフトウエアプラスの併用が可能です。
ご相談があればいつでもどうぞ。
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