『源氏物語』35帖 若菜下(わかなげ)
柏木と女三の宮の不義密通
光源氏41歳春-47歳冬 准太上天皇時代
源氏41~47歳/紫上33~39歳/明石君32~38歳/秋好中宮32~38歳
玉鬘27~33歳/柏木25~31歳/夕霧20~26歳/雲井雁22~28歳
女三の宮15~21歳/明石女御13~19歳
※源氏物語での「准太上天皇」(じゅんだいじょうてんのう)は、天皇に準ずる位。
[冷泉帝の譲位]
冷泉帝が譲位し、今上が即位して4年間が経った。
東宮には明石女御の皇子が立ち、太政大臣(もとの頭中将)は隠居し、髭黒は右大臣に、夕霧は大納言兼左大将に昇進した。
[光源氏、住吉に参詣]
10月、光源氏は紫上や明石女御などを連れて、住吉明神に参詣した。
まもなく女三の宮は二品に叙された。
※二品は、親王の位階の第二等。
親王の位階は一品(いっぽん)より四品まで四等級ある。
[紫の上、重病に臥す]
翌年の正月、六条院で女楽が行われたが、その後紫の上は重病に付し、二条院に移った。
『契りおかむ この世ならでも蓮葉に
玉いる露の心へだつな』
※写真は、「蓮(はす)」/福岡で私が写したもの。
儚(はかな)い命を悲しむ紫の上に、光源氏は蓮葉に置く露のように、あの世でも一緒だと詠う。
[柏木、女三の宮と契る]
柏木は女二宮(落葉宮)と結婚したが、蹴鞠の日に見た女三の宮が忘れられず、賀茂の斎院の御禊の前日、小侍従を介して女三の宮と会い、許されぬ契りを結んでしまった。
[女三の宮、柏木の子を宿す]
やがて女三の宮は妊娠した。
光源氏は不審に思ったが、ある日柏木の手紙を発見し、すべての秘密を知った。そして、かつて光源氏も藤壺を妊娠させたことを回想し、宿命の恐ろしさにおののいた。
[柏木、病に臥す]
六条院で朱雀院御賀の試楽が催された夜から、柏木は病床に臥した。
【源氏物語35帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
准太上天皇となった光源氏は栄華を極める。
朱雀院の娘、女三の宮を正妻とするが、女三の宮は柏木と通じてしまう。
最愛の妻・紫の上の没後、亡くなったことが示唆される。
紫の上(むらさきのうえ)
光源氏の最愛の妻。女三の宮が源氏の正妻となることにショックを受ける。
胸の病気にかかった上、六条御息所の怨霊にとりつかれ、一時絶命するが蘇生。
しかし体調は完全には戻らず、43歳で亡くなる。
女三の宮(おんなさんのみや)
第二部の重要人物。朱雀院の内親王。藤壺の中宮の姪であり、紫の上のいとこ。
光源氏の正妻として降嫁するが、子どもっぽく頼りない性格で源氏をガッカリさせる。
柏木と不倫関係になり、息子・薫を出産。源氏の冷たい態度と罪の意識に耐えられず出家する。
柏木(かしわぎ)
頭中将の長男で、従兄弟の夕霧とは友人である。
血筋の高貴な内親王と結婚したいという強い理想を持った青年。
女三の宮の姿を垣間見して恋に落ち、密通の罪を犯す。
女三の宮は柏木の子を出産し、柏木は罪の意識により病気になり、亡くなる。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。
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